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総領事館ほっとライン 第5回 釜山
今も昔も日韓の懸け橋
(時事通信「世界週報」2003年10月3日号より転載)


平成15年10月
在釜山総領事
阿部 孝哉


韓国で一番親日的な町

 一時期カラオケの定番だった「釜山港へ帰れ」でも有名な釜山は、朝鮮半島の東南端に位置する韓国第二の都市であり、韓国最大の国際貿易港でもあります。釜山は、古来より日本と朝鮮半島の交流の窓口として長い歴史を持ち、20世紀前半には朝鮮縦断鉄道の起点として、日本と大陸を結ぶ交通の要衝ともなりました。下関と釜山を結ぶ往時の関釜連絡船は、今は関釜フェリーとして修学旅行生や貨物を乗せ、玄界灘を行き来しています。天気のいい日には釜山から対馬が見え(釜山・対馬間は49キロ)、上対馬町からは双眼鏡でのぞくと釜山の町を走っている車まで見えるほど一衣帯水の距離です。地球温暖化や公害がなかった昔は大気も澄んでいて、元寇や豊臣秀吉の軍船は肉眼で対馬と釜山を視界に入れながら対馬海峡を渡ったであろうと、思いを巡らしたりもします。釜山港を眼下に見下ろす龍頭山公園には、かつて徳川時代に我が国唯一の在外公館であった対馬藩の「倭館」がありました。
 釜山は、日本との地理的近さから第二次大戦後も日本のラジオ放送が聴取できたこともあり、韓国の中でも最も日本に対して親近感のある土地柄であると言われています。釜山の市立公園墓地には、戦前当地で物故した日本人のための慰霊碑が釜山市によって建立されているほか、一昨年1月26日、JR新大久保駅で線路に転落した男性を助けようとして写真家の関根史郎氏と共に電車にはねられ犠牲となり、日韓両国民に深い感動を与えた李秀賢氏のお墓もあります(詳しくは、当館ホームページhttp://www.busan.kr.emb-japan.go.jp/jhtm/index_j.htmをご覧ください)。
 昨年6月の日韓共催サッカー・ワールドカップ(W杯)の際に当地を訪問された故高円宮殿下は、行く先々で市民と親しく交流され、「初めての訪韓なのに、なぜか外国に来たという感じがしない」との印象を語って帰国されました。W杯日韓共催を契機として、日韓関係は一段と親密化の度合いを増しつつあると言えます。日韓いずれか一方の単独開催でなく、共同で開催したことは、日韓の交流史において画期的な出来事であったと思います。

突発事故などへの備えにも心砕く

 昨年の日韓間の人の往来は、韓国人が約130万人、日本人が約240万人に上ります。韓国人の日本訪問は近年増加の傾向にあり、当館のビザ発給件数も2002年は16万件を超え、在外公館中第4位となっています。日本人の韓国入国は、ビザ免除(30日間滞在まで)になっており、毎年増加の趨勢にあります。韓国の治安は一般に良好で、邦人が事件・事故の被害に遭うケースは極めて少なく、安心して滞在できる環境にあると言えます。
 このような中、私が仕事の上で特に気を配っているのは、近年の交通機関の発達に伴う突発的な大規模事故の発生などに備えた緊急対応態勢の整備・点検です。たまたま、ここ1年間に当館管内で中国国際航空機墜落事故、大邱地下鉄火災事故、大邱市内列車事故などの大型事故が発生しました。幸い邦人の被害者はいませんでしたが、いずれのケースでも邦人の安否を最終確認するまでが当館の大きな仕事でした。
 一方、韓国は日本に近いこともあり、げた履き感覚で来韓される日本人観光客も多く、年配の方や持病のある方が旅先で急死するケースが近年増える傾向にあります。このような場合、日本からはるか離れた外国であれば、火葬に付して遺骨を持ち帰ることが多いかと思われますが、韓国は何分にも日本に極めて近いことから、遺体を日本まで持って帰りたいというご遺族の希望が少なくありません。しかし、言葉や法・制度も違う上に、葬儀屋に任せれば諸事万端を処理してくれるわけでもありません。
 遺体を日本に搬送するためには、自然死か変死かの死因の認定や関係当局の許可を得る必要があるほか、航空会社との間で打ち合わせなどが必要となります。総領事館では、ご遺族の要望に応じてこのような手続きの支援も行っており、こうしたことで外務省に支援してもらえるとは思っていなかったと、ご遺族に感謝されたりもします。世間にはあまり知られていない総領事館の仕事の一例かもしれません。
 釜山は、成田、大阪等との間の空の便はソウルに比べ多くはありませんが、下関、博多、対馬、広島、大阪との間の定期海上旅客輸送が盛んなことが港都釜山ならではの特色と言えます。いずれ朝鮮半島の縦断鉄道が再開通し、中国・ロシアの鉄道とも連結されるような時期が到来すれば、釜山を経由する日韓間の人や物資の交流もますます増大するでしょう。

ワンポイント・アドバイス

 韓国では、入国時に1万ドル相当以上の外貨(トラベラーズチェックを含む)を持ち込む場合には、税関に申告するとともに、出国時に確認を受けなければなりません。これを怠ったり、申告した額以上の外貨を持ち出す場合には、過失であっても罰金を徴収され、場合によっては出国停止処分等を受けることがありますので、注意が必要です。


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