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2000年8月15日付フランクフルター・ルントシャウ紙(注)への
岡田在ドイツ公使名反論(2000年10月23日フランクフルター・ルントシャウ紙に掲載)
(注) 2000年8月15日付フランクフルター・ルントシャウ紙はキム・マン・ス・ボッフム大学客員教授によるいわゆる従軍慰安婦問題に関する寄稿記事「従軍慰安婦を看護婦の如き者と考えている日本の生徒―虚しく待つ日本の償いと損害賠償―」を掲載した。
(仮訳)
「女性の尊厳を傷つけた軍部」
―元従軍慰安婦だった韓国人女性に謝罪している日本―8月15日付フランクフルター・ルントシャウ紙に掲載された日本の戦後処理、とりわけ「従軍慰安婦」と称される問題に関するキム・マン・ス教授の寄稿は、日本政府の理解と必ずしも一致しない。
日本政府はかって侵略と植民地支配により多くの国々、特に韓国を含むアジアの国の人々に多大な被害と苦痛を与えたことを深く反省しお詫びの気持ちを表明している。とりわけ戦後50周年を迎えた1995年8月15日に発表された内閣総理大臣談話(閣議決定を経たもの)では、植民地支配と侵略によって多くの国々、特にアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えたことを認め、「未来に過ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ち」を表明している。
特に韓国については、1998年10月に金大中大統領が日本を訪問した際、小渕総理(当時)より、「今世紀の日韓両国関係を回顧し、我が国が過去の一時期韓国国民に対し植民地支配により多大の侵害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受けとめ、これに対し、痛切な反省と心からのお詫び」を述べている。これは、金大中大統領と小渕総理が合意した日韓共同宣言にも明確に記されている。
また、最近対話が再開された日朝国交正常化交渉においても、日本側の歴史認識として内閣総理大臣談話に改めて言及するとともに、北朝鮮側の主張する「過去の精算」の問題に対しては真摯な態度で現実的な解決を検討するとの意向を示している。
いわゆる従軍慰安婦問題について、日本政府は、91年12月以来全力を挙げて慰安婦関係調査に取り組み、92年と93年の2回にわたりその調査結果を公表し、93年の調査結果発表の際に表明した河野官房長官談話において、本件は当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であるとし、心からお詫びと反省の気持ちを表明し、以後、元慰安婦の方々に対するお詫びと反省の気持ちを様々な機会に表明している。
また日本政府は、この問題に対する道義的な責任を果たすという観点から、95年に設立された「女性のためのアジア平和国民基金」に対し、政府予算を拠出する等の最大限の協力を行ってきている。同基金には、これまで約4億5千万円にのぼる基金が広く国民から寄せられており、同基金はこれを原資として、韓国をはじめ台湾、フィリピンにおいて、171名の元慰安婦の方々に対し、一人あたり200万円の「償い金」と共に、日本政府を代表としてお詫びと反省の気持ちを表す「総理の手紙」を直接お届けし、更に政府資金より医療・福祉サービス(住宅改善、介護サービス、医療医薬品補助など)を提供している(韓国の方に対しては、5年間で300万円相当)。
また我が国の中・高等学校の歴史教科書においては、先の大戦などにおいて我が国がアジア諸国に大きな損害と苦痛を与えた点について具体的に記述されている。いわゆる従軍慰安婦問題についても33冊の日本の歴史に関する検定教科書のうち32冊に記述がなされている。
2年前に訪日した金大中韓国大統領は、「日本側の歴史認識の表明を真摯に受けとめ、これを評価すると同時に、両国が過去の不幸な歴史を乗り越えて和解と善隣友好協力に基づいた未来指向的な関係を発展させるためにお互いに努力することが時代の要請である」旨表明され、日本国民に深い感銘を与えた。我々としても思いを同じくする者である。金大中大統領の訪日意向、日本と韓国の人たちの交流と協力は飛躍的な発展を開始した。特に2002年のサッカー・ワールドカップは、日本と韓国の共催だけではなく、北朝鮮も加わり大会の成功に向けて協力しあっていく。我々としても、これを景気に、日本人と韓国人、朝鮮人との理解と友情が一層深まることを願ってやまない。
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