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演説

国連の場における演説

第27回情報委員会における
大嶋英一国連代表部公使ステートメント(仮訳)

平成17年4月19日
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議長、
 御承知のとおり、国連はオイルフォーフード計画の汚職疑惑やPKO要員による性的搾取との絡みで2004年末以来メディアから様々な批判を浴びています。その中には正しい指摘もあり、このような不正・汚職は正す必要があります。しかし中には過剰反応と思われるような取り上げ方も見受けられます。このような現象は誕生から60年を迎えた国連がもはや世界の中で存在理由を失いつつあるから起こっているのでしょうか? 私は全くそのように思いません。先般のアナン事務総長の報告や「脅威、課題と変革に関するハイレベル委員会」の報告で繰り返し指摘されているように、国際社会は21世紀の新たな脅威と挑戦を受け、国連はその必要性をますます増していると思います。

 しかし、今日の国連に対する批判、攻撃の背景には、このような新しい脅威や挑戦に国連が有効に対処できなくなってきている事実もあると感じています。国連がこれら脅威と挑戦に有効に対処できるよう改革される必要性について、これまでに多くのレポートや代表団から繰り返し指摘されてきました。我が国は、今年9月の首脳会合に向けて、広報局が国連改革の必要性を世界の人々にアピールし、平和と安全の確保について新たな国連の姿を世界の人々に提示し、またその結実を訴えていくことを期待します。

議長、
 我々はミレニアムプロジェクト報告書が人間中心の開発戦略に立脚していることを歓迎します。MDGsは、安定に対する様々な脅威から人々を「保護」するのみならず、人々が自らの力で脅威に対処できるよう人間一人ひとりの「能力強化」を行うことによって初めて達成されます。これはまさに我が国が推進する「人間の安全保障」とも軌を一にするアプローチです。また我が国は「国づくりは人づくりから始まる」と考え、基礎インフラへの支援とともに、教育・人材育成への支援を重視してきました。「人づくり」を進めることは、健全なオーナーシップを育てる上で極めて重要です。この点で、我が国は、「アフリカン・ビレッジ・イニシアティヴ」を提唱しています。これはコミュニティーのニーズに応じて例えば学校建設と同時に井戸の掘削や学校給食の提供、地域社会全体を対象とした保健サービスの提供などの支援を分野横断的に組み合わせて行うことにより、学校を核としたコミュニティー全体の能力強化を図るものです。コミュニティー内に井戸を掘削することにより、少なからぬ子供達は遠くの井戸へ水汲みに行く日常の仕事から解放され学校に行ける時間ができます。学校給食の提供により子供の栄養状態が良くなるのみならず、貧しい家の子供は学校給食の食べ残しを家に持ち帰るようになり、家族が子供を学校に通わせるインセンティヴが働くようになります。我が国としてはアフリカに於けるこのような取組について、一般大衆のより大きな関心と支援を喚起するために、広報面で国連広報局と協力していきたいと考えます。

議長、
 我が国は、2002年のアナン事務総長による提案以来、タルール局長の下広報局がより効率的で有効な広報が行われよう国連事事務局の中でも率先して改革に取り組んできたことを評価します。今回配布された事務総長報告書(A/AC.198/2005/2)にここ3年間に広報局が実現した具体的な対策や改革が列挙されています。中でも多くの人々がここ最近ウェブサイトは目に見えて改善されたと感じているのではないでしょうか。迅速に更新される「UN News Centre」を通じ、我々は、国連の発出するプレスリリース、ブリーフィングや記者会見の模様を素早くフォローすることができるようになりました。我々はDPIの既存のリソースの中で、国連が世界の多くの人々に国連活動を示せるようになったことを嬉しく思います。国連ウェブサイトへのアクセス数の増加の背景にこのようなUNウェブサイトに対する信頼性の向上があると思います。広報活動はイベントで終わるのではなく弛まないプロセスを通じて改善されるものと思います。広報局がこれまでに培った成果を基に引き続きこのような努力を継続されるよう期待します。

議長、
 次に国連広報センターの合理化について申し述べたいと思います。この3年間で西欧UNICの設置が実現しました。実際に地域ハブが実現したのは西欧のみであり、西欧諸国の意思と努力に敬意を表します。2002年の事務総長報告(A/57/387)にある高コスト先進国UNICの一つに、東京UNICも上げられていますが、我が国についても、UNIC東京が広報局予算の資金リソースを多大に吸収しないよう、我が国は厳しい財政状況にあるにも拘わらず、東京UNICの活動を支援する為に2005年に35万ドルに上る貢献を行ないました。これは3年間で70%以上の増加となります。

 東京UNICは、国連が日本語で情報発信する唯一の組織であって、わが国国民が国連諸活動の重要性に対する理解を深める上で極めて重要な役割を果たしています。現在、「自然の叡智」をテーマに愛知万博が開催され、国連も「多様性の祝祭」を焦点に出展しておりますが、東京UNICはその広報面で重要な役割を果たしています。また、UNIC東京はグローバルコンパクト・ジャパンネット・ワークの事務局としての機能も果たしていますが、日本企業への参加呼びかけについても、日本政府は引き続き東京UNICと協調して努力していきたいと考えます。

議長、
 今年9月の首脳会合に向け、新しい国連について合意していくことが重要です。行動の為の機は熟しています。我が国は特に改革を促す世論の形成について広報局の広報活動に期待します。



・ 国際連合日本政府代表部


国連の場における演説 / 平成17年 / 目次


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