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演説

国連の場における演説

ハイレベル委員会報告書及びミレニアム・プロジェクト報告書に関する国連総会非公式審議における大島賢三国連大使ステートメント(仮訳)

平成17年2月22日

(英語版はこちら)


議長、

 我が代表団は貴議長が2つの重要な報告書に関する2回の審議に引き続き、今回の非公式審議を貴議長のリーダーシップの下開催したことを歓迎し、これに感謝します。今回のラウンドは、先に貴議長が述べたとおり、既に言及された点の繰り返しを回避すべきであり、9月の首脳会合及び特に3月の事務総長報告を含むそのプロセスに対して、鍵となる要素を特定し、それを更に鋭く研ぎ澄ますことに貢献すべきです。

 我々は貴議長の力強く賢明なリーダーシップの下で、国連創設60周年をしるす歴史的なこの年に、加盟国が重要な結果を達成し、国連を現在の挑戦により良く対処させるに必要な決定をすることに自信を有しています。

 その為に、私は、我々が事務総長報告に反映されるべきであると希望するいくつかの点を強調し、9月の首脳会合に向けて我々が協働するプロセスに関し、議長が提案した4つのクラスターについて若干の意見を述べたいと思います。

 まず、多くの国は「国連の強化と機構改革」、特に、安保理改革に焦点を絞りました。1月の審議の最後に貴議長が要約したように、「安保理改革が必要であることについてコンセンサスが沸きあがってきている」ことは明瞭であります。同時に貴議長は安保理をより効果的とし、その改革をより包括的なものとすべく、安保理のメンバー拡大のみならず、安保理の作業方法の改善にも注意を向けるべきであることに言及しました。

 我々は貴議長の評価に同意します。特に、我々は安保理改革に関しては、昨秋の総会における審議及び最近の非公式審議において、計120ヶ国という圧倒的多数の加盟国が、ハイレベル・パネル報告で提示されたモデルAのアイディアを含む安保理のメンバーシップの常任・非常任双方のカテゴリーの拡大を支持したことに注目しました。その反面、全くの少数派である約10ヶ国だけがモデルBを含む非常任カテゴリーのみの拡大を支持しました。我々はこの全体的な状況の正確な描写が、安保理改革を巡る潮流の客観的な観察として事務総長報告に含まれることを望みます。

 事務総長は、加盟国に対して安保理改革に関しては「2005年に決定を行う」ように呼びかけました。我々は完全に同意します。加盟国はこの課題に膨大な時間、エネルギーそして資源を長年に亘って投資してきましたが、我々がこの投資を回収する時間が近づいています。加盟国は、安保理拡大を9月の首脳会合で検討される重要な課題の一部として提示するために、安保理拡大に関する大胆な決定を今年の夏までに行うべきです。

 我々は安保理の作業方法が改善されるべきであるという点についても同意します。安保理改革作業部会には、どのような点が改善されるべきかということを決めるための、過去10年以上に亘る作業の蓄積が存在します。これらのいくつかは既に事実上実施されていますが、コンセンサスで既に合意された改善点のうち、安保理によって未だ実施されていないものもあります。これを踏まえ、総会は作業部会で蓄積された作業の成果を刈り取ることができます。また総会は更なる改善点についてもコンセンサスを取り付けて、更に前進を図ることができます。

 安保理改革が如何に重要とは言え、国連改革の課題は安保理改革よりもずっと幅広いものです。我々はこれまでのステートメントにおいて、総会、経社理を含む鍵となる機関及び国連事務局の改革に関して目に見える結果を達成したいとの希望を既に表明しました。我々は、既に行なったコメントを繰り返しませんが、このような目的のために共通の関心を有している代表団、事務総長及び貴議長と共に緊密に協力していくつもりです。

 平和構築委員会に関する革新的なアイディアは、機構上のギャップを埋めるための有益な手段として、多くの加盟国に肯定的に受け止められました。我々は1月27日の審議の際に、仮にこの委員会を設立する際には、安保理の下部機関ではなく、安保理と経社理の共同機関又は共同フォーラムとなるべきであるとの提案を行いました。

 さらに、我々は「敵国」に言及するすべての条項は憲章を改正して削除すべきであるとのパネル報告に同意することを繰り返し述べたいと思います。

 次に、「平和と安全」のクラスターに関し、日本を含む数多くの代表は、国際の平和と安全は、国際開発問題と密接に関連しているとのハイレベル・パネル報告書の鍵となる分析に同意しました。この相互関連性という概念はそれ自体新しいものではありませんが、そのような概念に基づく具体的かつ調和のとれた国際的な活動は付加価値を持つものであり、9月の首脳会合の成果として高い注目を集めるべきです。この関連で、ハイレベル・パネル報告書に盛り込まれた6つの脅威のクラスターに加え、増加しつつある自然災害が人間にもたらす脅威には、これは第7の脅威とも呼ぶことができますが、日本を含む多くの代表は、より顕著な対処が必要であると言及しました。これに関し、サモアの常駐代表が太平洋諸島フォーラムを代表してこの点に言及しましたが、私はこの点に同意します。1月に日本の神戸で開催された国連防災世界会議はこの証明であり、この考え方は適切に反映されるべきであると考えます。

 開発のクラスターに関し、ミレニアム・プロジェクト報告書に盛り込まれた多くの有益な提案及び勧告の中から、合意された優先順位のものさし及び時間的枠組みを活用しつつ、我々が行動すべき重要な事項が特定される必要があります。そのために、3月の事務総長報告はミレニアム開発目標(MDGs)を達成するための財政リソースに関する重要な問題を取り上げることになるでしょう。国際的なリソースの動員努力に関して、我々は包括的なアプローチがとられるべきであるとの点を強調したいと思います。このような包括的なアプローチは、途上国の国内財政リソース、貿易及び投資を通じて得られる民間セクターの資金及びODA等の開発資金という全てのリソースをバランス良く考慮する必要性を十分に反映したものであるべきです。MDGsを達成する為に、「quick wins」プロジェクトが価値を有すること並びに水、健康サービス及び教育などの分野における援助努力が更なる注意を引く必要があることが認識されました。更に、経済成長による貧困削減と人間中心の開発という2つの柱に基づく戦略は、MDGsを達成する上で重要な援助目的であるとして強調されるべきです。この戦略は、特に良き統治、基礎的なインフラに対する投資、教育に対する投資及びキャパシティー・ビルディングといった基本的な要素を強調します。同様に、我々は「人間の安全保障」という理念をMDGsと開発援助に対する我々のアプローチに際しての指針及び実践的な基準として取り入れる必要性を強調してきました。

 過去10年間に亘り、世界のODAの約5分の1を担ってきた主要なドナー国として、日本はMDGsの実現に向けて、私が説明した戦略に則り、引き続き努力を行う所存です。そして、我々はそのためのODAについても増加させていくよう努力しています。

 また、「法の支配と弱者の保護」のクラスターであるに関しては、「テロリズム」の定義を行い、「保護する責任」の概念を明確化するパネルの試みは多くの代表団から評価されました。これは現出しつつある21世紀の世界の現実と潮流に対応するよう集団安全保障体制を強化していくための有益な貢献です。しかしながら、これらの重要な問題に関して表明された様々な考え方は、介入のための正当な武力の行使に関する一般的に合意された定義又はクライテリアに至る為には、更なる議論が必要であることを示しています。憲章第51条の自衛権は再書き直し又は再解釈を支持しないというパネルの見解に対して幅広い支持が表明されたことは注目に値します。

議長、

 国連は創設60周年を迎え、岐路に立っています。国連は、仮にその意義を失わず、有効であり続けたいのであれば、新しい現実に再度適応し、過去数十年以上に亘って明白となってきた時代遅れの点を克服する必要があります。さもなければ、我々は、国連を、その権威を失墜させ、信頼性と正統性を低下させるという悪循環に陥らせるというリスクに晒すことになるでしょう。これを避けて好循環に持ち込むために何らかの大胆な決定を行う必要があります。この決定は加盟国が行うものでありますが、我々は3月の事務総長報告が、多くの重要な課題を優先順位を付して特定し、過去の審議における加盟国の発言を客観的に描写することで、実質的な問題に関する有効なガイダンスを提供することを期待します。我々はそのような報告が、年内に改革を実現するために、加盟国が現段階の議論を仕上げて、今後数ヶ月間に必要な決定を行なうための助けとなることを信じます。

 4つのクラスターの問題に加え、貴議長は準備プロセスが透明性、包括性を持ち、調整される形で実施されることを提案しましたが、我々はこの提案を歓迎します。また、我々は貴議長による10名のファシリテーターの指名を歓迎し、これら及びその他のファシリテーター並びに安保理改革作業部会の2名の副議長と緊密に連携していきます。

議長、

 ステートメントを終える前に、幾つかの代表団がコンセンサスに言及したことから、これに関して一点述べたいと思います。我々はもちろんコンセンサスの重要性を支持しますが、コンセンサスは国連改革に関する行動の遅延又は不作為の口実として使用されるべきではありません。特定の問題に関して、我々が前進するための投票は排除されるべきではありません。

議長、

 我が代表団は貴議長のリーダーシップ、事務総長の思慮深い助言、そしてファシリテーターの調整の役割の全てが合わさって、歴史的な9月の首脳会合に準備するための加盟国の意志が動員されるであろうことを確信します。そして、この首脳会合は、国連を改革し、アナン事務総長が述べたように「全ての住民にとってより安全で、公正で、自由な世界」を建設するための比類の無い機会であることが証明されるでしょう。この非常に重要な仕事に関し、貴議長に対する我が代表団の完全な協力を約束します。

 ありがとうございました。



・ 国際連合日本政府代表部


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