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演説

国連の場における演説

安保理決議1267委員会議長報告に関する安保理公開会合における原口国連大使演説(仮訳)

平成16年5月25日

(英語版はこちら)


議長、

 まず、ムニョス大使による詳細な報告に感謝いたします。本年に入っても、マドリードで起こったような数百人の罪なき市民を犠牲にするテロリズムが後を絶たないことを遺憾に思います。テロは如何なる理由においても正当化されるものではなく、我が国はこうした残虐なテロ行為を強く非難します。被害者の家族の方々にお悔やみ申し上げたいと思います。現在、国連がテロ対策の課題をいかに効果的に主導していくのかという点が注目されています。これに関し、我が国は、対タリバーン、アル・カーイダ制裁委員会がテロとの闘いを一層効果的に進めるべく活動していることを評価します。特に、我が国は安保理決議1526を支持しており、その履行を通じた効果的なテロ対策の実現に全面的に協力していく所存です。

議長、

 本制裁委員会議長の報告を受け、また、本制裁委員会の最近の活動を振り返りつつ、我が国として以下の点を強調したいと思います。

 第一に、引き続き発生するテロ事件に鑑みて、テロリストがテロを実施するために必要な資金源や武器の取得源を断ち切ることが重要です。さらに、各国が渡航禁止措置を含む効果的な国境管理政策を講じることが重要です。これらの措置は、アル・カーイダの主要指導者のみならず、国際的な捜索の手を逃れている新世代のアル・カーイダや復活したタリバーンの分子が、テロの目的を達成すべく世界中を自由に行き来することを防ぐために必要なものです。その観点から、本制裁委員会が編纂する包括制裁対象者リストへの各国からの情報提供が進み、各国がより充実したリストを活用できるようになることを強く望みます。最近、包括制裁対象者リストに氏名が掲載されているアル・カーイダのメンバーであるテロリストがドイツで逮捕されました。逮捕後の捜査により、同人物が我が国において一定期間、別称を用いて活動していたことが明らかとなりました。これにより、我が国では本リストへの関心が改めて喚起されています。我が国は、本リストを更に充実させるべく、関係国と協力して、このテロリストの別称を追加登録する所存です。また、本制裁委員会が、各国が制裁措置をとるに当たっての技術支援等の在り方について具体的に検討することをめざし、安保理メンバー国以外の国や対テロ委員会(CTC)をはじめとする他の専門性を有する機関とより緊密に連携することが必要と考えます。

 第二に、4月27日付報告書によれば、安保理決議1455のパラ6に基づく各国報告書の提出状況が全体の七割以下に止まっていることは残念であります。しかし、安保理決議1526が採択された結果、本年に入り、提出国が三割増えたことは評価できます。各国から提出された報告書は、本制裁委員会議長やモニタリング・チームの外国訪問と並んで、制裁措置の実施を評価する上で有用な情報を提供するものです。未提出国に対して迅速な提出を引き続き求めることが必要であると考えます。国連全体として作業の重複を避け効果的で迅速な対テロ措置の実施が可能となるよう、本委員会に対し、CTCが保有する情報との共有を更に進めるよう求めます。

 第三に、安保理決議1526により設置された新たなモニタリング・チームは、同決議パラ8により、制裁措置実施の改善及び新たな措置のための具体的勧告を含む、各国による制裁措置の実施状況に関する包括的かつ独立した三つの報告書を来年6月末までに出すこととなっています。この観点から、同モニタリング・チームが七月末までに提出を予定している最初の報告書で示される認識及び活動方針に、我が国は深い関心を持っています。我が国は、モニタリング・チームが、その活動方針に従って、制裁措置の改善に積極的に取り組むことを期待します。

議長、

 以上の点を踏まえて、我々はアフガニスタンおよびその周辺地域におけるテロとの闘いを継続する必要があります。同時に、同国がテロに立ち向かうことができるよう、我々の努力を和平・復興支援にまで広げることの重要性を強調したいと思います。3月のベルリン会議でカルザイ大統領が9月に実施すると発表した大統領選挙・議会選挙に向け、同国の政治プロセスは正念場を迎えています。武装・動員解除および社会復帰(DDR)プロセスが政治プロセスの進展への鍵となると考え、我が国は国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)と共に、DDRプロセスを主導しています。したがって、我が国は、アフガニスタンの各派に対し、タリバーンとの闘いにおけるその貢献を高く称賛するとともに、DDRプロセスによる平和的な政治プロセスへの参加が祖国再建への最も確実な道であることを強く訴えます。また、アフガニスタンの近隣諸国および国際社会に対し、同プロセスに必要な支援を提供するよう求めたいと思います。

議長、

 テロとの闘いには大変な忍耐が必要であり、一時の油断も許されません。諸国が共同してのテロとの闘いにおいて、本制裁委員会は中心的な役割を果たしています。本制裁委員会議長のムニョス大使並びにそのスタッフ、本制裁委員会事務局、そして活動を開始したモニタリング・チームの専門家の献身に感謝いたします。

議長、ありがとうございました。


・ 国際連合日本政府代表部


国連の場における演説 / 平成16年 / 目次


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