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国連の場における演説 世界の道路交通安全危機(議題160)に関する小澤大使国連総会本会議演説(仮訳) 議長、 交通事故による死傷者は全ての国において深刻な問題となっています。先週の水曜日に世界保健機関(WHO)が道路交通事故による死傷者の防止に関する報告書を提出したところですが、総会で道路交通安全に関する課題を取り上げ、加盟国における道路交通安全を促進するために国連として果たせる役割を検討することは、時宜にかなったことであります。 議長、 道路交通安全に関する措置が効果的であるためには、各々の国において異なる道路交通の状況や交通関連規則、慣行を踏まえる必要があります。通常はこのような側面について各国政府がもっとも知識を有しているので、地方自治体とも緊密に協力しつつ、各国政府が交通事故による死傷者削減のための主要な責任を負うべきです。国連は特に最も効果を上げた例に関する情報交換の促進を通じて、加盟国間の協力を促すことにより、このような加盟国の努力を助けることができるでしょう。我々は他国の成功例や失敗例といった経験から学ぶことができます。 交換される情報はその性質上技術的なものです。今日、そのような専門的情報は地域経済委員会に集まっています。従って、情報交換を強化する試みは地域経済委員会の専門性を活用し、同委員会が既に行っている業務との重複を避けるべきです。WHOが道路交通安全に関する活動の調整役を引き受ける際にも、我が国はこのような原則が尊重されるべきと考えます。 議長、 ここで私は日本の経験に言及したいと思います。交通事故による死亡者は1970年にピークを迎え、その数は16765人に上りました。このような大きな社会問題に対して適切な措置を取ることが焦眉の急となったことを受け、同年、交通安全対策基本法が制定され、以来5カ年計画が実施されてきています。2002年には死亡者数は1970年の約半分に当たる8326人まで減少しました。また、我が国は国際社会における技術面での規制の調和を考慮しつつ、自動車安全基準の改善に取り組んできており、情報技術を駆使しながら最新の安全装置を取り入れた車両の開発と普及に努めています。 1996年から2003年にかけて、事故多発地点に焦点を当てた緊急対策事業が行われました。まず、警察庁による事故データと国土交通省による交通データを下に、事故が多発している3196地点が特定されました。続いて、道路管理者と公安委員会が共同で地点調査を行い、事故の原因を詳細に分析した上で、交差点の改良や信号機の改善などの統合的かつ系統的な措置を講じました。これらの措置により、対象となった事故多発地点における交通事故死傷者は3割減少しました。 この後者の経験から以下の教訓を得ました。第一に、関連する政府機関が共同して課題に取り組むことが不可欠です。第二に、正確なデータは効果的な措置を計画する上での前提となります。第三に、政策を絶え間なく向上させるために、各々の措置は評価されなければなりません。 議長、 道路交通安全に関する主要な責任は各国政府にある一方で、開発途上国は道路交通安全に取り組むにあたっての能力が限られていることも事実です。我が国はこのような問題も認識しており、政治的な意志はありながらも行動に移すための十分な能力に欠けている国の支援に努めています。例えば、ネパールの首都カトマンズの10交差点の状況を改善するため、2001年に約900万ドルの支援を行いました。このプロジェクトによって、道路舗装、横断防止柵の設置、車両用及び歩行者用信号機の設置等が行われました。さらに、道路交通安全に関するポスターや道路規則に関する教本、教育・訓練プログラムを通じて、行動様式の問題にも取り組みました。 議長、 道路交通安全を促進するため多くの関係者が役割を担っており、各々の関係者の責任を常に銘記しなければいけません。国連もそのような関係者の一つですが、国連がどのような付加価値をつけ得るか検討すべきです。全ての関係者の共同努力で道路交通安全という大きな挑戦に効果的・効率的に取り組むことができると確信します。 ありがとうございました。 |
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国際連合日本政府代表部 |
国連の場における演説 / 平成16年 / 目次 |
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