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演説

緒方貞子アフガニスタン支援総理特別代表

緒方貞子アフガニスタン支援総理特別代表による演説(仮訳)

アフガニスタン「平和の定着」東京会議
平成15年2月22日

英語版はこちら

 アフガニスタン復興東京会議から13ヵ月が経った本日ここに、カルザイ大統領とアフガニスタン政府代表団をお迎えできることは私にとって非常に大きな喜びであります。また、長年の戦争後に新しいアフガニスタンを作り上げるための「希望」や「夢」のように我々には見えたものを現実化するために共に努力した、ブラヒミ事務総長特別代表のような懐かしいお顔を拝見できる事も喜びであります。

 本日、我々は、より明確なビジョンと実行のための意思を伴って新しく生まれた数々の国家政策に焦点をあてる新しい局面にいます。現在我々は、過去1年間に遂げた進歩を確実なものにする段階に来ています。ロヤジルガは、増大した行政能力の向上を遂げつつある政府の舵取りを委ねるべくカルザイ大統領を選出することに成功しました。多数の難民が帰国しました。国内避難民は自分の家へと戻っています。学童はより改善された学校を期待し、また学校の数が増えることを期待しています。道路の修復や建設が始まりました。長らく待たれていた通貨改革も実施されました。国際社会は昨年の東京会議で約束した支援を実施することによってアフガニスタンの努力を支えてきました。カルザイ大統領が繰り返し述べてきたように、アフガニスタンの人々自身こそが主体的に取り組んできたのです。支援国、周辺国、国際機関そしてNGOとともに、彼ら自身が生まれ変わった国家運営のハンドルを握り、依然困難な道を注意深く進んでいます。

 昨年の東京会議の共同議長として、アフガニスタン復興に関する2つの目標を強調した事を思い起こします。1つ目は、機能する政府を立ち上げ、国家全体の治安を確立するための政治プロセスを強化すること。2つ目は人道支援から復旧、復興支援への継ぎ目のない移行を確保すること。これらの目標は完全に達成されてきてはいないものの、実現に移されていくプロセスの最中であります。DDRプロセスの妥当性は、これら2つの目標を関連させ集約させるところにあります。いくつもの国が、アフガニスタンの復興作業の特定の分野において、その分野の重要性のみならず、日本が推進してきた重点支援分野のいくつかと緊密につながっていることからも自発的に主導的役割を担ってくださりました。特に、DDRの分野では責任ある立場を取ることになりました。しかしこれは我々が達成しようと提案した課題の大きさに気が付いていないということではありません。目の前にある課題に取り組むために、我々はアフガニスタン政府、国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)、そしてここにいらっしゃる皆様の支援と協力を非常に頼りにしております。

 今朝、カルザイ大統領はDDRプロセスを進めるために取った目覚しいイニシアティブの概要を我々に説明してくださいました。大統領はすでにDDR実行のための主要な制度機構とタイムテーブルを組み立てられました。武装解除の第一歩に関して言えば、大統領はプロセスをどこから進めるかといういくつかの分野を特定し、そして我々は登録や職業訓練などの支援手段を通じてこの秩序立ったプロセスを促進する用意ができていなければなりません。動員解除と社会への再統合の選択肢については、日本が既に実施してきている地域総合開発支援にこのプロセスが融合されていくと信じております。地域総合開発支援は人道支援から復旧、復興支援への継ぎ目のない移行を確実にしようとする試みと共に始まりました。これは難民・国内避難民の再定住、シェルター、飲料水、農作、教育や保健サービスへの支援に焦点をあてるものです。そして支援の領域を地域社会へと拡げ、それによって広い地域と国民全体をカバーしようとする試みであります。このプログラムはすでにカンダハル地域で始まり、さらにララバードました。このプログラムは私が昨年夏、主導的役割を果たされているパシュトゥン大臣に同行していただきながらアフガニスタンを訪問した際に思いついたことから、しばしば「緒方イニシアティブ」と呼ばれます。我々は動員解除された元兵士が生活を立て直し、ゆくゆくは全国に広がっていくであろう地域開発プログラムに参加していく事を楽しみにしています。

 我々が元兵士の武装解除、動員解除、社会への復帰という大変な挑戦に取り組むときに、平和構築は人間構築であることを心に留めておかなければなりません。私はしばしば、昨年1月にショマリ平原を訪れたときの、家路につき始めた人々のことを思います。私は、そのときの荒廃と、たった5ヵ月後の6月にブドウ畑に緑が戻り、人々が家の再建を始めた時の大きな違いを目の当たりにしました。人々が明日を考え、明日を築くことに専念することができるだけの安全を感じられる環境を確保する事により、彼らは新旧両方の全ての隣人に対し心を開くでしょう。そして地域共同体は再びアフガン社会の基礎になるでしょう。

 剣を叩いて鋤の歯に変えるという聖書上の教えが、我々がDDRの行動計画を議論するときに心に浮かびます。このモットーが国々が平和と復興のために壮大な国際的取り組みを開始し、国連を創設した中核であり、そして今日、この現代版である「銃から鍬へ」というこの会議のテーマに形を変えています。我々が大きな平和と復興のためのプログラムをここ東京でアフガニスタンのために立ち上げる事はふさわしいものであると思います。多くの兵士や将校たちが彼らの「剣」や「銃」を転用して、新しい「鍬」を再び手にしながら土地を耕し始める事を一緒に望みましょう。皆様の、具体的な結果をもたらす実りある議論を期待しております。


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