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演説
小泉総理大臣演説

スリランカ復興開発に関する東京会議開会式における小泉総理の開会演説


  平成15年6月9日

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ラニル・ウィクラマシンハ・スリランカ首相閣下、
東京会議共同議長の皆様、
各国政府並びに国際機関の代表者等の皆様、

 本日、約50ヶ国の政府及び20の国際機関等の出席を得て、「スリランカ復興開発に関する東京会議」の開会を宣言することは、私にとって、大きな喜びであります。はじめに、先月スリランカを襲った洪水で命を失われた方々のご遺族に、心からお悔やみを申し上げます。被災地域の速やかな復興を祈念します。

 スリランカでは、過去20年間、内戦が続きました。戦闘やテロにより、約6万5千人が命を落とし、80万人の避難民が発生したと聞いております。人々が、その潜在力を発揮し、豊かな社会を築く機会も奪われました。昨年2月、スリランカ政府とタミール・イーラム解放の虎(LTTE)の間に停戦が成立し、昨年9月以来、6回の和平交渉が行われております。これは、スリランカはもとより、国際社会全体にとっても朗報でした。

 世界には、民族紛争により2千万人以上の難民・避難民が発生し、厳しい暮らしを強いられております。また、9.11以降の国際的努力にもかかわらず、テロは依然深刻な脅威であります。それ故、スリランカ和平の進展は重要であります。スリランカ和平が実現すれば、民族紛争やテロの平和的解決のモデルとなり、紛争やテロに苦しむ世界の人々に、勇気と希望を与えるでしょう。

 私は、東京会議が、スリランカ和平に対する国際社会の力強い一致した決意を示す機会となることを念願しております。そのためには、国際社会は、内戦で荒廃した北・東部を含め、スリランカ全体の復興開発を支援する決意を具体的に示す必要があります。これにより、スリランカ国民が「平和の配当」を実感出来れば、和平達成への決意は一層強固となるでしょう。

 LTTEの欠席は残念なことであります。わが国は、スリランカ政府等と協力しつつ、最後までLTTEの参加を促しました。しかし、東京会議は、スリランカ国民の和平への願望に応え、国際社会が結集する場であります。もしも会議が予定通り開催されなければ、長年にわたり苦しんできた同国民に、取り返しのつかない損失を与えかねません。本日、数多くの参加者を得て、会議が予定通り開催されたことに喜んでおります。

 国際社会の支援は、和平実現に役立たなければなりません。支援は、和平の進展と並行して実施する必要があります。また、国際社会は、今後、和平の進展を注意深く監視する必要があります。一方、両当事者は、この会議で表明される支援を当然視してはならないと思います。国際社会からの支援の実施は、両当事者の努力による和平の着実な前進と関連しています。現在の和平交渉中断は大変残念であります。LTTEが直ちに和平交渉に戻るよう強く求めます。

 ご列席の皆様、

 沢山の方々が、会議の準備を行ないました。なかでも、世界銀行、アジア開発銀行及び国連は、北・東部地域のニーズ評価に労を執られました。また、米国政府は4月に事前セミナーを主催され、更に、コロンボでは、関係者の間で緊密な協議が行われて参りました。会議の準備に貢献した方々に謝意を表します。

 効果的な支援の実施には、NGOや民間部門との緊密な協力が不可欠です。会議に、双方の代表者をお迎えできたことを喜ばしく思います。

 終わりに、日本政府が提唱する「平和の定着」について申し述べます。この政策は、民族紛争等の解決のため、政府開発援助の活用などにより、和平に重要な弾みを与えようとするものであります。その一環として、わが国は、スリランカ和平に、和平合意の成立以前から、積極的に関与しております。東京会議の開催もこれに沿うものです。わが国は今後も、世界各地においてこうした努力を続けていきます。

 スリランカ和平の達成には多くの課題が残されています。今後の道のりは平坦ではないでしょう。しかし、多くのスリランカ国民が平和を熱望し、クマラトゥンガ大統領が開始され、ウィクラマシンハ首相が進められている和平プロセスを強く支持しています。国民に熱意がある限り、私は必ず和平は到来すると信じます。民族紛争とテロで荒廃したスリランカが、近い将来、粘り強い交渉で和平を実現した国として、国際社会から賞賛される日が来ることを心から期待しております。

 ご静聴有り難うございました。


小泉総理大臣演説 / 平成15年 / 目次


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