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演説

明石政府代表

オスロ援助国会合
明石政府代表のオープニング・ステートメント

平成14年11月25日

1. スリランカにおける過去2回の和平交渉セッションの成功及び和平プロセスの進展を歓迎。また、和平交渉の仲介役であるノルウェーの努力を高く評価。

2. わが国は、アジアの一国としてスリランカと伝統的に深い友好関係を有してきた。古来より、インド洋上に浮かぶ「輝ける島(Sri Lanka)」は海上交通において枢要な位置を占め、大きな経済発展の潜在的可能性も秘める。そのスリランカにおいて約20年も内戦が続いてきたことは悲しむべきことであった。今般、和平プロセスが開始され、私も3週間前のスリランカ訪問の際、人々が紛争に疲弊し、永続的な平和を心から望んでいることを目の当たりにした。

3.
(1) 和平プロセスが端緒についた今、国際社会による復旧・復興支援とスリランカ国民の努力によって、国民一人一人が「平和の配当」を目に見える形で享受できれば、和平プロセスは大きく進展する可能性がある。
(2) これまでのスリランカの歴史を振り返れば、その際、「平和の配当」が、北・東部と南部との間のバランス、そしてシンハラ人、タミル人、ムスリム間のバランスをとりつつ、国民一人一人が実感できるよう還元されることが不可欠であり、永続的な平和の実現の前提となる。


4.
(1) 過去10年間、わが国は諸外国と協力しつつ、カンボディアやアフガニスタン、東ティモールなどにおいて、紛争後の復旧・復興の問題に取り組んできた。今回のスリランカのケースは、和平合意が実現する前の段階に和平プロセスを加速するために国際社会が支援・関与を行うものであり、画期的なケースである。
(2) 日本外交にとっても、小泉総理及び川口外相の提唱する「平和の定着」への貢献を具現化するものである。わが国としては、スリランカ政府からの協力要請も踏まえ、北・東部地域の復興支援に積極的に関与するとともに、両当事者に和平達成を促し、和平プロセスの進展に積極的に貢献したい。


5.
(1) わが国は、最大のドナーとして、スリランカの社会経済開発に積極的な貢献を行ってきており、電力、運輸、通信等のインフラ整備、医療、教育、水供給、衛生等の多様な分野でプロジェクトを実施している。紛争地域であった北・東部地域に対しては、草の根無償資金協力や国際機関を通じた協力により国内避難民等への緊急的、人道的支援を行ってきており、こうした努力は引き続き積極的に行っていく。
(2) わが国は、こうした種々の支援に加え、当面のスリランカ和平を支援するため、以下のような貢献を新たに実施することを発表する。
(イ) 紛争地域であったスリランカ北・東部を中心に約80万人の国内避難民がいるが既に18万人以上が自力で帰還している現状に鑑み、こうした人々の生活状況の改善のための緊急救済支援として、家庭生活用品、仮設住宅、水供給、衛生管理等の状況改善のために、UNHCRを通じて286万ドルの緊急無償を供与する。
(ロ) 貧困層に自営農家、企業家等への小規模なローンを提供するマイクロファイナンス計画に対し、13億6,800万円を限度として供与しており、これまで南部で実施してきたが、和平プロセスの進展を踏まえ、新たに北・東部も対象地域に加えることとする。
(3) また、国際社会によるスリランカへの支援を効果的なものとするためには、優先順位の明確化と、支援の重複を避けるための調整が重要である。かかる観点からは、今般設立された「北・東部における人道・復興需要に関する小委員会」が有効に優先順位の明確化と援助の調整を行うことが重要であり、わが国としても同委員会のADVISORとして貢献していきたい。さらに、ドナー国・国際機関によって援助スキームが異なっていることを踏まえ、国際社会からの広範な支援が柔軟に受け入れられることを強く期待する。

6. スリランカの永続的平和の達成にとって、対スリランカ協力に対する国際社会の一致したコミットメントは重要であり、今次オスロ会合は、その意味で大きな意義を有する。今後も、国際社会の継続的なコミットメントを示し、和平プロセスの進展を後押しするためにも、わが国は、来年の適当な時期に東京で復興支援会合を開催することを検討している。この会議においては、中長期的な復興支援も視野に入れつつ、紛争地域である北・東部はもとより、南部を含むスリランカ全体の国造りや経済社会開発を視野に入れた議論を行いたい。

7. もちろん、最終的にはスリランカ国民一人一人の自助努力により初めて和平は実現される。国際社会の支援はあくまでも側面的であり、その意味で、東京での復興支援会合が有意義なものになるには、和平交渉に実質的な進展が見られることが不可欠である。特に、紛争地域である北・東部について本格的な復興支援を実施するためには、現地における援助関係要員の安全が確保されるとともに、援助資金について透明性及び適正使用が確保される体制が確立されなければならない。そのためにも、和平に向けて両当事者の特段の努力を促したい。また、スリランカは国民の教育水準も高く、和平が確立されれば、経済発展の可能性は高い国である。ただ、経済発展を現実のものとするには、スリランカ政府自身が経済成長のための政策を強力に推進することが必要である。このような観点から、日本政府としては、ウィクラマシンハ首相による和平イニシアティヴと、同首相が提唱している経済政策:「The Future: Regaining Sri Lanka」を強く支持する。

8. 今後、国際社会の協調した支援の下、スリランカ政府とLTTEが強力に和平プロセスを推進していくことを期待する。


政府代表・幹部・大使・総領事 / 平成14年 / 目次


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