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佐々江経済局長演説
太平洋経済協力会議(PECC)日本委員会第37回総会
「APEC・WTO・FTA等の最近の動き」(要旨)
アジア太平洋では、日ASEAN連携、ASEAN+3等の動きもあるが、米州、大洋州を含むAPECの枠組、特に首脳が集まる枠組は、引き続き非常に貴重である。本年10月の会合で閣僚会議は14回目、首脳会議は10回目を迎える。 首脳会議は第1回が93年にシアトルで開催されて以来、ボゴール(94年)、大阪(95年)と順調に発展してきた。しかし、98年のアジア経済危機、さらにはEVSL(早期自主的自由化分野)を巡る混乱で自由化を目指す路線は打撃を被った。昨年の上海会合は9.11をうけて初めて政治問題を取り上げるなど、APECも転機を迎えている。本年のAPECでは、日本としては、貿易の円滑化に力を入れ、地域協力としてのAPECの特長を打ち出したい。 さらに、APECの将来については、貿易投資の自由化といった取り組みを主眼に置いていてよいのか、2010年、2020年に迫ったボゴール目標の取扱いが議論されてくると考えている。また、地域における協力の取り組みとして、社会開発や、先般のヨハネスブルグにおけるWSSDでの議論を受けて、持続可能な開発といった分野に取り組むべきではないかとの議論もありえよう。 APEC活動の三本柱とされているのは、貿易投資の自由化・円滑化と経済技術協力(エコテク)であるが、率直に言ってAPECの場における貿易投資の自由化は進んでおらず、貿易円滑化に重点が移りつつある。 本年秋の首脳・閣僚会議の成果としては、貿易の円滑化の分野で、今後5年間で貿易取引コスト5%削減の具体的措置について合意したいと考えている。この目標は、昨年の首脳会議の宣言の付属文書である「上海アコード」において言及されており、本年はその実施に取り組むという位置付けである。具体的には、税関手続き、基準認証、電子商取引、人の移動等の分野での協力推進である。これは、ビジネスマンにとり、目に見える成果と考えている。 また、この分野では、APECビジネス・トラベル・カードへの参加を検討している。政府部内で検討中であるが、これも、ビジネスマンにとり、目に見える成果と考えている。 さらに、経済産業省とも協力して、知的所有権保護の取り組みで、APEC域内での知的所有権侵害の際に、対応等に関する一般的な情報提供を行うAPEC知的所有権サービス・センターの設立を提案するなど、APECでの協力を進めることでも、日本はリーダーシップをとっている。 貿易投資の自由化には、WTO、FTA、構造改革を通じる自発的自由化の道などがある。APECでの議論を通じて、それぞれの道がスムーズに進展するように、日本から積極的に議論をリードしているところである。 今年は、5月に開催された貿易担当大臣会合において、APECとして、WTOの作業の加速化が必要との強いメッセージを送り、具体的に非農産品の交渉方式決定の時期を来年4月30日と確立すべきことでAPEC閣僚が合意した。今後は個別の論点にどう対応するかがAPECの課題と言えよう。 また、FTA、構造改革に関しても、貿易投資の自由化に資するものであり、コンセプチュアルな問題としてAPECで取り組んで行くべきと考えている。 WTOの動きについては、今回のラウンド交渉は、2005年1月1日の交渉妥結に向け、これまで概ね順調に推移してきている。来年9月にメキシコのカンクンで開かれる第5回閣僚会合までに、主要国の閣僚が集まる非公式な会合を数回開き、交渉のモメンタムを維持することが必要である。この意味で、今年11月にシドニーで開かれるWTOミニ閣僚会合は重要である。 ここでは各論には入らないが、今ラウンドの最も困難な点として、途上国の問題が先鋭化したことがあると思う。日本としても、多角的貿易体制は貿易、投資、開発が一緒になって途上国にメリット、利益がもたらされることを理解させることが重要と考えている。 FTAについては、前ラウンド中に多数のFTAが生まれたが、FTAは、多角的貿易・投資体制を補完し、地域的あるいは二国間関係強化を促進するものとして、時間的、地域的考慮を踏まえた優先順位を考慮に入れ、積極的に取り組んでいきたい。 現在、メキシコ、韓国、ASEANが話しに上がっているが、メキシコについては本年のAPEC首脳会合の際のバイ会談における交渉開始発表を目指し、韓国については、研究を越えて、交渉に入りたいと考えている。ASEANについては、すでに両者間の作業部会が設置されているが、同時に熱心なタイ、フィリピン等との二国間の協議も進め、2トラックで取り組んでいきたい。 いずれにせよ、FTAの議論はラウンドの動き、ラウンド後を見据えながら対応する必要がある。また、前述した以外の国、地域についても、例えば日韓の話が進めば、当然中国との関係が持ち上がってくることになるであろうし、とにかくステップ・バイ・ステップで戦略的に進めていく。 以上の諸問題をAPECで議論していくべきと考えているが、その関係でAPEC、ABAC、PECC、PBEC等の相互間の連携、協力関係を強化していくことが重要と考えている。現在のAPECの課題は、将来のAPECのアジェンダ設定であり、こてについて皆様のお知恵を頂きたい。 |
政府代表・幹部・大使・総領事 / 平成14年 / 目次 |
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