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川口外務大臣演説
アジア・エネルギー安全保障セミナーにおける
川口外務大臣挨拶(仮訳) ~アジア地域におけるエネルギー安全保障の強化:ASEAN+3の活用~ 平成14年3月4日 ロバート・プリドルIEA事務局長、リア・ケンパー・エネルギー憲章事務局長、 ASEAN+3各国からのパネリスト及びスピーカーの皆様、 ご来賓並びにご列席の皆様 本日、「アジア・エネルギー安全保障セミナー」においてご挨拶できることを嬉しく思います。このセミナーは、アジアにおけるエネルギー安全保障を強化するとの観点からASEAN+3の枠組みにおけるエネルギー分野での協力の可能性を検討することを目的として開催されるものです。 ご列席の皆様は良くご存知かと思いますが、このセミナーは、昨年11月のブルネイでのASEAN+3首脳会議において、小泉総理大臣より提案され、ASEAN諸国、中国及び韓国の首脳の賛同を得たことを受けて、開催するものです。アジアにおいてはエネルギー需給構造が脆弱であり、エネルギー需要の増大を受けて今後さらに脆弱化することが見込まれております。このため、エネルギー安全保障の強化のため緊急時対応策の強化や他の効果的な方策がますます必要になってきております。このような認識の下に、小泉総理大臣がこのセミナーの開催を提案されました。 小泉総理大臣の提案が賛同を得た背景として、昨年9月11日に起こった心が痛む米国テロ事件以降、エネルギー安全保障の問題に対する関心が高まってきたことも挙げられるのではないかと思います。 アジアは多様性に富んでおりますが、エネルギー事情も例外ではありません。アジアは、エネルギー純輸出国と純輸入国の双方を包含するため、エネルギー貿易の拡大を通じた相互依存の強化及びエネルギー分野における一層の協力の余地があります。アジアは今日、エネルギー需要の増大が域内供給を凌駕しており、エネルギーの域外依存度、特に中東依存度がますます上昇しております。従って、アジアにおいてエネルギー安全保障の強化が喫緊の課題となってきており、地域全体として共同の取り組みが必要となってきております。日本は、東南アジアと北東アジアの国々を包含し、将来において更なる発展の潜在性を有する既存のASEAN+3の枠組みを活用することが現実的且つ有効であると考えます。 ASEAN+3エネルギー協力を検討するに際しては、ASEAN+3諸国のみではエネルギーの安定供給を確保することはできないので、域外諸国との緊密な連携を伴ってはじめて地域エネルギー協力が持続可能なものとなるということを念頭に置く必要があります。国際エネルギー機関(IEA)、エネルギー憲章事務局、アジア太平洋経済協力(APEC)及びG8などの国際機関や多国間の枠組みとの緊密な協力もこの地域のエネルギー安全保障を強化する上で有益でしょう。 本年1月のシンガポールでの政策演説において、小泉総理大臣はASEAN地域が取り組むべき「国境を越える問題」の一つとして、エネルギー安全保障を挙げました。ASEAN諸国に対して行ったスピーチにおいて、小泉総理大臣は、ASEAN+3の枠組みに、オーストラリア及びニュー・ジーランドを加え、更に域外諸国、国際機関及び多国間の枠組みとも連携した、「共に歩み共に進む」コミュニティを提案しました。 本年は、様々な国際会議が開催されますが、エネルギー関係でも5月にデトロイトでG8エネルギー大臣会合、7月にメキシコでAPECエネルギー大臣会合、9月に大阪で第8回国際エネルギー・フォーラム(いわゆる産消対話)など重要な会議が多く開催されます。特にエネルギー安全保障の問題に関し、これらの会議間で相互作用が及ぶことが望ましく、私としてはこのセミナーが有益な成果を挙げることによって、この相互作用の一部として貢献できることを期待しています。 さて、本日のセミナーのトピックについてお話したいと思います。本日のプログラムは、ASEAN+3諸国間での協議を経て作成されたものです。エネルギーを巡る国際情勢及びアジアにおけるエネルギー情勢を議論することにより、参加者は、エネルギーに関する地域協力を推進するための背景知識を得ることが出来るでしょう。 緊急時対応の問題に関しては、ASEAN+3において緊急時に備えた相当量の石油備蓄を有している国は、日本と韓国のみであり、それぞれ石油消費量の約160日分及び石油純輸入量の約90日分という状況です。私は、緊急時対応の分野においてIEAが有する経験が、この地域における緊急時対応の整備に向けた貴重な知見及び指針を提供してくれるものと考えます。また、この地域におけるエネルギー純輸出国と純輸入国間の協力も、域内における緊急時対応を推進するとの観点から考慮されるべきです。 中長期的なエネルギー協力に関しては、エネルギー・インフラ、エネルギー効率・省エネルギー及び新エネルギー・再生可能エネルギーといったメニューをご用意しております。エネルギー安全保障の強化という目的のためにこれらの問題に取り組むに際しては、環境保全も考慮する必要があります。 我々は、今回のセミナー開催にあたって、東アジア・ビジョン・グループのメンバーの一人であり、総合資源エネルギー調査会総合部会エネルギーセキュリティワーキンググループの委員長を務めておられる田中明彦東京大学教授に進行役をお願いしました。 一流のエネルギー専門家及びASEAN+3諸国を代表するパネリストの参加を得て、このセミナーが終了する頃には、ASEAN+3諸国間でのエネルギーに関する地域協力のための一般的な方向性について共通の認識が醸成されることを期待しております。もし、そうなるのであれば、私はそうなることを期待していますが、醸成された共通の認識をASEAN+3プロセスにフィードバックすることがこのセミナー主催者としての義務であると考えております。 このセミナーを通じて、活発且つ積極的な相互作用が生まれ、我々すべてにとって有益なセミナーとなることを期待しております。 ご静聴有り難うございました。素晴らしいセミナーとなることを祈念しております。 |
川口外務大臣演説 / 平成14年 / 目次 |
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