外務省 English リンクページ よくある質問集 検索 サイトマップ
外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
トップページ 報道・広報 演説
演説
小泉総理大臣演説

持続可能な開発に関する世界首脳会議における小泉総理大臣スピーチ

・日本語版 骨子
・英語版 本文

ご列席の皆様 平成14年9月2日
  於:南アフリカ共和国
ヨハネスブルグ 


小泉総理大臣  私は、皆の持続可能な開発の達成のため、何をなすべきかについて明らかにするという課題に世界の指導者達とともに取り組むために、ここヨハネスブルグに参りました。 世界は厳しい現実に満ちています。世界中で紛争が絶えまなく続いています。しかし、ひとたび平和を勝ち得たとき、更に持続可能な開発を手に入れるための最大のポイントは何でしょうか。私の答えは「人」です。
 日本は、天然資源に恵まれない中、人的資源を礎として今日の日本を築いて参りました。日本は、発展の礎として教育を最重要視してきました。なればこそ、「持続可能な開発のための教育の十年」を国連が宣言するように、日本のNGOとともに提案しました。また5年間で2500億円以上の教育援助を提供することとしています。
 人々がその力を発揮するためには、教育とともに健康が不可欠です。日本人細菌学者野口英世博士は、1927年にガーナに渡り、黄熱病の研究に一身を捧げて、ついにはその病に倒れました。野口博士の夢と理想を日本の保健医療協力に活かしていきたいと思っています。

議長、

 自立する国のオーナーシップを尊重し、対等なパートナーとして支援の手をさしのべる、これが日本の援助哲学です。この哲学は、TICAD(東京アフリカ開発会議)の精神であり、これがNEPAD(アフリカ開発の新しいパートナーシップ)に引き継がれています。
 自立の重要な要素は自らの手で稼ぐことです。途上国が貿易を促進することが極めて重要です。日本は貿易関連人材育成支援を拡充します。同時に、後発開発途上国産品の無税・無枠についても、明年度の関税改正に向けて無税品目の追加について具体的な措置内容を早急に検討します。また、投資は、経済開発の大きな力です。日本は、WTOでの投資ルールづくりや国際投資促進センター支援を率先して行っています。
 重債務貧困国に対しては、その健全な政策遂行を支援するため、拡大HIPCイニシアティブにおけるG8負担分の約4分の1に上る貢献を行っています。
 日本は、アジアの経験をアフリカはじめ世界と共有したいと考えます。アジア人とアフリカ人の汗の結晶の好例として、アジアの稲とアフリカの稲をかけあわせ、双方の長所を持つネリカ米(Nerica, New Rice for Africa)をアフリカの農民の皆さんに広めていきたいと考えています。なお、南部アフリカの今日の飢饉から子供達を救うため、日本は3000万ドルの緊急食糧援助を実施することとしました。

議長、

 私は、伝統的美しさを世代を超えて受け継いでいる京都で合意された京都議定書の発効を願ってやみません。皆が共通のルールに則ることにより、子供達、そしてまたその子供達に美しい地球を継承していけるようにしようではありませんか。
 日本は、成長を遂げる過程で、深刻な公害を経験し、健康を損ない、更には人命を失いました。ウブントゥ村の日本パビリオンで、この実態をビデオで上映しています。自らの暗い経験の轍を友人には踏ませない、これこそが、先進工業国が持続的開発の実現のためにできる最大の貢献だと思います。我が国は、途上国の環境分野の人材育成を支援するために5年間で5000人に対する協力を行います。明年3月に京都で第三回「世界水フォーラム」及び閣僚級会合を開催します。2005年には、自然界との共生のあり方を探る「愛・地球博」を開催します。

議長、

 私は人間の英知を信じています。我々の社会の改革がより明るい未来を開くと信じています。南アフリカにある喜望峰(Cape of Good Hope)は、大西洋、インド洋に接する交流の要です。南アフリカが、持続可能な開発への人類の道を示す真の「希望の岬」として歴史に残るよう、すべての国、国際機関、NGOを始めとする主体(stake holders)が力を合わせることを強く訴え、私の発言を締めくくります。


小泉総理大臣演説 / 平成14年 / 目次


外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
外務省