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北島外務省経済局長演説 第31回ITTO理事会における北島外務省経済局長のスピーチ 2001年10月29日、於 横浜 理事会議長、ITTO事務局長、来賓、各国代表及び御列席の皆様ホスト国を代表して一言御挨拶申し上げます。 先ず、今次理事会にお集まりいただいた皆様に心より歓迎の意を表します。 議長、 我が国には世界で木造建造物として現存している最古のものがあります。奈良の法隆寺です。法隆寺は、607年に創建、670年に焼失した後、708年頃再建されました。そして、最近の科学的分析法によると、法隆寺五重の塔の心柱の檜は、594年に伐採されたことが判明しました。この檜は実に241年に誕生したのです。ローマ帝国が東西に分裂したのが395年、フランク王国が建設されたのが486年、隋が中国を統一したのが589年ですから、如何に古いことかがおわかりになるでしょう。このことは、我が国において長く木材が利用され、木材が日本の建築において重要な役割を果たしてきたことを象徴しています。現在、毎年全世界で約1300万ヘクタールの森林が失われており、持続可能な森林経営は、喫緊のグローバルな課題となっています。 御承知のように、ITTOは設立以来、熱帯木材貿易の促進と熱帯林の保全の両立に尽力してきました。コンパクトな事務局、設立以来15年の短い期間で500以上の持続可能な熱帯林経営にとり有意義な準備プロジェクト、プロジェクト及び活動を実施し、種々の政策的なガイドラインを形成してきたことは注目に価します。 議長、 今次理事会において、ITTOの2002年から2006年までの新行動計画が議論されます。新行動計画は、現行計画の基本的な枠組みを継承し、ITTOが引き続き、持続可能な森林経営、特に、目標2000の達成に向けて、着実に準備プロジェクト、プロジェクト及び活動を実施していくことが重要と考えます。 この基礎の上に、ITTOにおける最近の動きを勘案して新しい要素を行動計画に加味していくべきと考えます。それら要素の中には、違法伐採問題、マングローブの保全及び国境地帯における森林保全等が含まれるものと考えます。 違法伐採問題に関しては、先月インドネシアのバリ島において、 森林法の施行とガバナンスに関する東アジア閣僚会合が開かれました。同会合の閣僚宣言は、「森林法違反及び森林犯罪、とりわけ違法伐採及び違法伐採に関連した違法貿易及び腐敗及びこれらが法規則に及ぼす悪影響に取り組むことを目的とした国レベルの努力、二国間・地域間及び多国間協力を強化するための緊急行動をとること」を訴えています。我が国は、この宣言をポジティブな動きとして歓迎しており、この宣言に盛り込まれた行動の実施に向けて可能な限り努力を行う所存です。ITTOがこの目的に向けて重要な貢献を行うことを希望します。この関連で、今次理事会に提出されたインドネシアの持続可能な森林経営のためのフリーザイラー氏を団長とするテクニカル・ミッションの報告書を積極的に評価し、我が国としても出来る限りの協力を行っていきたいと考えます。ITTOがこの問題に関し、今後の活動を検討するにあたっては、地域住民の福祉に配慮することが重要と考えます。また、違法伐採により深刻な影響を受け、ITTOの支援を求めている国々のニーズに応えることを念頭に対処する必要があると考えます。 マングローブに関しては、マングローブの保全、回復及び利用に関するワーク・プランが策定され、活動が促進されることを希望します。 また、トランスバウンダリー・イニシアティヴに関しては、実施プロジェクトがかなりの数に上り、8百万ヘクタール以上の国境地帯がかかる保全の対象となったことに鑑み、これら国境にまたがるプロジェクトのITTOの目標達成に果たす役割につきアセスメントを行うことが時宜を得た行動であると考えます。 議長、 我が国は、ITTOの設立以来、最大の拠出国としてITTOの活動を積極的に支援してきました。日本は今、経済的及び財政的構造改革を実施中であり、財政的に非常に厳しい状況にあります。来年度(2002年度)の我が国のODA予算は10%削減する方向で検討が行われています。我々は、ITTOへの支援を継続すべく最大の努力を行う所存ですが、同時にまた、他の資金源について、より積極的かつ真剣に開拓が行われるべきと考えます。ITTOは、バイの政府間援助スキーム、他の国際・地域機関や民間機関との連携を進めることによって資金調達を行う可能性を開拓することが可能と思われます。例えば、我が国は、国際協力事業団(JICA)を通じ、森林分野で様々な二国間協力を行っており、ITTOは今後JICAとの連携を進めていくべきと考えます。 議長、 ITTOは成功した国際商品機関として、全世界からの英知を集めて持続可能な森林経営というグローバルな課題に関し、先駆的な役割を果たしてきました。世界中の優れた専門家が集まり、高度に知的な意見交換を行う場を日本が提供出来ることを大変光栄に思います。 議長、 この機会を利用して、ITTO事務局長及び事務局職員の皆様が、この会議の準備に献身的に努力されたことに敬意を表したいと思います。 また、ITTOの活動に貴重な支援を行われている横浜市の国際機関協力会の職員の皆様にも御礼を申し上げたいと思います。 最後に、ITTOの更なる発展を祈念し、御挨拶の言葉とさせていただきます。 |
政府代表・幹部・大使・総領事 / 平成13年 / 目次 |
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