外務省 English リンクページ よくある質問集 検索 サイトマップ
外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
トップページ 報道・広報 演説
演説

浅野政務次官挨拶演説

2000年国連軍縮秋田会議における浅野政務次官挨拶

平成12年8月22日

御列席の皆様

 本日、2000年国連軍縮秋田会議の開催に当たり、日本政府を代表して御挨拶する機会を得ましたことを、大変光栄に存じます。この会議の開催のために尽力された国連軍縮局、国連アジア太平洋平和・軍縮センター及び秋田市をはじめとする関係者の方々に敬意を表するとともに、世界各国からの参加者の皆様を心から歓迎いたします。

 我が国における国連軍縮会議の開催は、今回をもって12回目を数えることとなります。これら一連の会議は、軍縮に関する国際的な議論の場を提供するとともに、日本国民の軍縮に対する理解を深める上で貴重な機会となってきました。その意味で、今回、西暦2000年という節目の年に、この会議が初めてここ秋田の地で開催されることは大変意義のあることと存じます。今回の会議には、世界各国から多くの政府関係者や軍縮問題の専門家が参加し、軍縮の現状と展望を話し合い、人類恒久の願いである世界平和へ一歩でも近づくためには、どうしたらよいかを探ることになっていると承知しています。この4日間が、秋田市民、秋田県民の皆様をはじめとする日本国民にとって、軍縮と平和の問題をより身近なものとして捉える良い契機になることを切望いたします。 

 冷戦が終結して10年が経過しましたが、国際社会はアジア、中東などの地域を中心に、種々の不安定要因や多くの課題を抱えています。例えば朝鮮半島では、先頃南北首脳会談が行われるなど、一定の前向きな動きが見られますが、北朝鮮の核・ミサイル開発といった安全保障上の懸念が依然として存在しています。また、南アジアでは、インド・パキスタンの核開発が依然大きな問題となっています。

 このような中で、我が国は、軍縮、とくに核軍縮の促進を目指して真摯な外交努力を重ねてまいりました。1日も早く核兵器のない世界を実現することを目指して、現実的な措置を着実に積み重ねていくことが重要であるというのが政府の基本方針です。この場をお借りして、核兵器を中心とした軍備管理・軍縮の分野における日本政府の具体的な取り組みを簡単にお話させていただきます。

 第一に、96年に締結された包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効を促進するために、我が国は多くの国に具体的な働きかけをしてまいりました。まず、我が国は去年10月、ウィーンで開催されたCTBT発効促進会議の議長を務め、CTBTの早期発効を世界に訴えました。我が国はその後も、一貫して批准がCTBT発効の要件となっている44カ国のうち未署名国・未批准国に対し、ハイレベルのミッションを派遣して早期批准の働きかけを行い、今年に入って、ロシア、バングラデシュ、チリ、トルコなどが批准を行ったところです。ただ今、森総理が訪問先のインド・パキスタンでCTBTの批准を早めるよう首脳に働きかけているのは御承知の通りであります。

 第二に、我が国はこの春ニュー・ヨークで開催された第6回核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議の成功に大きく貢献しました。我が国は、近年の核軍縮をめぐる国際環境が厳しい中、この会議に先駆け、「失敗は許されない」との厳しい認識の下、早い段階から核兵器国および非同盟諸国を含む関係国との協議を重ね、会議を成功させることの重要性を説き、積極的な働きかけを行ってきました。また、会議冒頭には、核軍縮・不拡散のための将来に向けた措置について8項目の提案を行い、合意形成のための基盤を提供できたと考えております。今回の会議の成功により、国際的な不拡散体制の悪化を何とか食い止めたと考えます。更に、その成果は、先頃の九州・沖縄サミットにも引き継がれ、沖縄から世界に向けて明るく力強い平和のメッセージを発出することができました。 

 第三に、我が国は、唯一の被爆国として、今後とも核軍縮の分野において積極的な役割を果たすつもりですが、その一環として、今回のNPT運用検討会議における合意を踏まえ、核廃絶について今後国際社会がどのように取り組んでいくべきかを示すような新たな決議案をこの秋の国連総会に提出したいと考えています。

 また、核兵器と並ぶ大量破壊兵器である生物兵器については、現行の生物兵器禁止条約(BWC)が開発と生産を禁止していますが、それを検証する手段については全く規定していません。このため検証議定書の作成交渉が、2001年までの妥結を目指して各国の間で精力的に続けられておりますので、我が国も、有効かつ実際的な検証制度の実現に向けて、今後とも積極的に交渉に参加してまいります。

 更に、大量破壊兵器の運搬手段となるミサイルの拡散も、世界の平和と安全を脅かしかねない問題であり、不拡散に向けた努力を一層強めていくことが重要です。ミサイル及びその開発に寄与しうる関連汎用品・技術の輸出規制を目的とする「ミサイル輸出管理レジーム」(MTCR)の役割は引き続き重要であり、我が国は、このような枠組みを中心に、ミサイル拡散問題に積極的に取り組んでいきます。

 今日私たちを取り巻く国際社会は、民族対立や国内紛争など小規模な武力紛争が増加しており、そこで使われる、拳銃・自動小銃などのいわゆる「小型武器」が新たな脅威となっています。
 我が国は、小型武器がもたらす脅威を見過ごすことのできない問題であると捉え、従来からこの問題への取り組みを推進する国連総会決議案を提出するとともに、国連政府専門家グループの議長を務めるなど主導的な役割を果たしてきました。また、先頃の九州・沖縄サミットの外相会合では、本年、国連内に小型武器基金を創設し、200万ドルを目途とした拠出を行うことを発表しました。 来年夏には、国連小型武器会議が開催される予定ですが、我が国はこの会議の成功に向けて、引き続き最大限の貢献をしていく所存です。

 終わりに、20世紀最後の節目の年に開催される今回の軍縮会議で、皆様の活発な議論により、20世紀の影の側面となってきた課題を検証し、その克服に向けた何らかの道筋が示されることを期待してやみません。
 ありがとうございました。


政務官 / 平成12年 / 目次


外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
外務省