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小渕総理大臣演説
日経新聞主催第5回国際交流会議「アジアの未来」
晩餐会における小渕総理挨拶 平成11年6月3日 御列席の皆様 今晩は。ただ今御紹介にあずかりました小渕恵三でございます。
はじめに、日本経済新聞が主催されるこの国際交流会議「アジアの未来」が5回目を迎えられましたことにつきまして心からお祝い申し上げますとともに、その重要な会議の晩餐会にお招き頂き、皆様にお話申し上げる機会を頂戴致しましたことに厚く御礼申し上げたいと思います。 私は、日程上の都合で誠に残念ながら、本日と明日の2日間に亘るこの有意義な会議における皆様の貴重なお話をうかがうことができず申し訳なく思っておりますが、5年目を迎えられましたこの会議は、アジアから世界に対してメッセージを発信する上で極めて有意義なフォーラムとなっております。 本年につきましても、会議のサブ・テーマでもある「経済危機を越えて」に関しまして、どのようなメッセージが発信されることになるのか大いに期待しているところであります。 さて本日、私自身が頂戴致しました時間は夕食会の場と言うこともあり、10分程度とのことであります。限られた時間の中で申し上げたいことをすべて網羅する訳には参りませんので、いくつかの点に絞りまして、私自身が「アジアの未来」につきましてどのように考えているかにつきお話申し上げたいと思います。 はじめにアジアの経済について若干述べさせていただきたいと思います。
我々アジアの経済は、これまでいわば「アジア・エクスプレス」として世界が羨むほどの高スピードで走って参りましたが、この2年間ほどは、その列車が暗く長いトンネルに入ってしまった状態にあります。 私は、かねてから、アジア経済の現状を正確に見据え、アジア経済の明るい未来のために、我々がお互いに力を合わせて何をすべきかについて知恵を出し合うことが重要であると考えて参りました。 そこで、私は、このたび日経連会長に就任された奥田トヨタ自動車社長に団長をお願いして、経済界や学界などの指導的立場にある方々に「アジア経済再生ミッション」として8月末から9月上旬にかけて韓国、ヴィエトナム、インドネシア、マレイシア、タイ、フィリピンの6ヶ国を巡って頂くことと致しました。昨年10月には、本日御出席の今井経団連会長自らがイニシアティヴをとられ、団長となって経団連ミッションがアジア各国をまわられましたが、今回の奥田団長のミッションからも、その成果を基に具体的な提言をとりまとめていただくようお願いしてあります。
私はしばしば日本が風邪をひいてもアジアが肺炎にならないように、日本経済の責任の大きさを自覚しながら、まず日本自身が健康な体を取り戻すためにあらゆる努力を払っていかなければならないとの考えを申し述べてきております。 いずれにせよ私は、不退転の決意で、問題があれば克服していくことにより、日本経済の再生を確実に果たして参りたいと考えております。 我々の列車「アジア・エクスプレス」号が、トンネルを抜けて、再び高スピードで走っていける日が遠からずやって参りますよう、共に努力して参りたいと思います。 さて御列席の皆様、 「アジアの未来」が明るいものであるためには、平和で安定した政治環境が整備されていることが何よりも重要であります。しかしながら我々の住むこの地域を見渡しますと、依然として不安定で不確実な状況が一部に残っていることを指摘せねばならないことは残念であります。 例えば、北東アジアの状況は、我々が、平和と安定が完全に存在すると自信と安心をもって断言できる状況には至っておりません。個別の問題に立至って申し上げる時間はございませんが、日本と致しましては、例えば対北朝鮮政策につきましては、米国、韓国と共に「包括的かつ統合されたアプローチ」により、抑止と対話の双方をバランス良くとることにより対応するという基本方針の下、先般訪朝した米国のペリー北朝鮮政策調整官を通じまして北朝鮮側に対してメッセージを送ったところであります。日本政府と致しましては、北朝鮮側が対話の扉を開くよう引き続き粘り強く働きかけて参る考えであります。 また、ASEANの大国であるインドネシアの政治的安定と経済発展は、アジアの繁栄にとりまして極めて重要であります。その意味で6月7日に行われます総選挙は、非常に重要な意味を持つものとして注目しております。日本政府としては、インドネシアの総選挙が自由かつ公正に、そして円滑に実施されるよう強く期待しており、そのために資金面とともに人員面でもできる限りの協力を行って参る方針であります。このことは本日ここに御出席のアラタス外務大臣が昨日お見えになられた際にお伝え申し上げたところであります。 ご列席の皆様、 この他にも申し上げたい点は多々ありますが、時間の関係ですべてを申し尽くす訳にも参りません。しかし私は、「21世紀のアジア」に思いを致します時に、アジアの国々が、民族、歴史、政治体制、文化、社会、経済発展の違い等、多種多様な背景を持っていることをお互いに十分尊重しあいながら、緊密な対話と協力によって、それぞれの国における「人間の尊厳」が確保される形で、政治の安定と経済の発展が図られることこそが最も重要であろうと考えます。そして、それによって初めて、アジアにおいて「平和と繁栄の世紀」が達成されるものであると確信致しております。 いずれに致しましても、「アジアの未来」が明るく、自信に満ちたものであるためには、「日本自身の未来」が明るく、自信に満ちたものでなくてはなりません。私は、昨年7月末に日本の国政をお預かりする立場に就きまして以来、経済的困難の続く中でともすれば自信を失いかけている観のありました日本人に何とか元気を取り戻してほしいとの思いから、あらゆる施策をできる限りスピーディーに打ち出し、その実施に努めて参りましたが、幸い、日本の国民の皆様からも次第に良い評価を頂戴するようになって参りました。これからも政治の安定を確保しつつ、経済の好転に向けて引き続き渾身の力をふり絞って参る所存であります。 最後に、昨年5月に外務大臣としてシンガポールで演説致しました際に申し上げたことを皆様と共に想起したいと思います。
あの時、私は、小渕版「5つのC」を提唱し、これを忘れずに是非一緒に頑張っていこうと呼びかけました。 そこで私は5つのCに2つのCを新たに付け加えたいと思います。それは、CommitmentとContinuityであります。この「7つのC」、それはラッキー7に支えられたものでありますが、これを新しい小渕版「7つのC」として提案したいと思います。この「7つのC」が、明るい「アジアの未来」を作っていく上で、私、即ち、Mr. Optimismから皆様に改めて呼びかけたいメッセージであります。 御静聴ありがとうございました。
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小渕総理大臣演説 / 平成11年 / 目次 |
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