The DAPAD Foundation
「在日アフリカ外交官セミナー」
山本政務次官挨拶
(平成11年11月19日、於:国連大学)
アフリカ各国駐日大使閣下の皆様、
DAPADファウンデーションの皆様、
及び
御臨席の方々、
本日は「在日アフリカ外交官セミナー」の開催を心よりお祝い申し上げます。私自身アフリカを訪問した経験があり、以前より我が国とアフリカ諸国の関係に強い関心を持って参りましたので、本日のセミナーの開会にあたり挨拶を申し上げる機会を得ましたことを誠に光栄に存じます。
わが国はアフリカの開発に対する支援は、国際社会が積極的に取り組むべき優先課題の一つとの考えにより、国連等と共催で過去二度にわたりアフリカ開発会議、TICADを開催しております。昨年10月の「第2回アフリカ開発会議会議」TICAD IIでは、アフリカにおける貧困の撲滅と世界経済への統合を目指し議論が行われ、21世紀に向けた具体的目標を掲げる「東京行動計画」が採択されました。
わが国は、その後もTICAD IIの成果を引き継ぎ、さらに育てて行くべく最大限の努力を行っているところです。8月のマレイシアでの「ヒッパロス・センター」の設立、同月末のケニアでの「TICADハイレベル債務管理セミナー」の開催はそうした努力の例であり、ごく最近では、先月末マレイシアで「アフリカ・アジア・ビジネス・フォーラム」が、またJETROにより東京で「アフリカ展」が成功裡に開催され大きな成果を挙げました。来週もザンビアで「東南部アフリカ地域別レビュー会合」が開催され、教育と保健・人口に焦点を当て「東京行動計画」の実施につき議論が行われる予定です。具体的なプロジェクトとしても、ガーナの研究所を拠点とした寄生虫対策の推進や、ケニアの大学を拠点とした人造りの推進などの構想が進められています。
もとよりアフリカの国々の開発努力への支援は政府レベルのみで行われるものではありません。アフリカ開発会議の意義や成果に共感した方々による、DAPADファウンデーションの活動は、我が国全体としての対アフリカ支援を市民レベルを含む裾野の広いものとするという意味で、素晴らしい動きであると考えております。
本日のセミナーでは、アフリカ開発における自助(セルフ・リライアンス)の精神がテーマになっていると承知しております。我が国でも、明治維新の頃より自助の精神が非常に重んじられ、我が国の発展を支える考え方となって参りました。一人一人の市民が創意工夫を発揮すること、及びそれを可能とする制度をつくることは、何れの国にとっても経済・社会を持続的に発展させていく上で不可欠なことであり、TICADプロセスでも、この考え方は「オーナーシップ」ということばで強調されています。そうした意味で本日のセミナーのテーマとして自助の精神を掲げられた主催者の慧眼に敬意を表します。我が国では近年の経済的な困難を克服し、再生を目指すための厳しい努力を進める中で、自助努力の精神と自己責任の原則が改めて強調されています。本日、アフリカの外交官の皆様と共にこうしたテーマについて考えることは、我々日本人にとっても有意義な機会になると信じます。
本日のセミナーは、現在日本で活躍中のアフリカ各国を代表する外交官の方々を対象とするものですが、これらの方々には日本での生活及び勤務を通じてできるだけたくさん日本を知っていただき、力を合わせて日本とアフリカとの関係を一層発展させていきたいと考えています。
そうした意味で、今回の催しは各国外交官の方々に、アフリカの開発に心を砕いていらっしゃる市民の方々の多様な意見に耳を傾けていただく良い機会であると思います。各国大使の方々にも御意見を皆さんに開陳していただき、セミナーを盛り上げながらこのような貴重な機会を十分に楽しんで頂ければと思います。
最後になりますが、本日のセミナーが実り多いものになりますことをお祈りすると共に、今後もDAPADファウンデーションが日本とアフリカ交流に貢献され、着実な成果を挙げられますよう期待しつつ私の挨拶とさせていただきます。