川口外務大臣談話
パレスチナ情勢の悪化について
平成15年6月11日
- わが国は、中東和平の進展のために重要な一歩となった6月4日のアカバにおける米・イスラエル・パレスチナ三者首脳会談において、イスラエル、パレスチナ側双方の首脳から「ニ国家構想」に基づく和平の実現に向けた決意が示されたにも関わらず、その後も暴力が継続していることを、深く懸念している。
- アカバでの首脳会談において表明された和平に向けた両首脳による決意を、現実のものとして実施することが不可欠であり、そのためには双方が暴力を停止し、暴力の悪循環を断ち切らなければならない。
- わが国としては、イスラエル側、パレスチナ側双方が、最大限の自制を行使するとともに、暴力の停止に向けたあらゆる努力を尽くすことを強く期待する。
(参考)
- 8日、イスラエルとパレスチナ自治区ガザの境界にあるエレツ検問所で、武装したパレスチナ人3人がイスラエル兵を銃撃。4人が射殺され、4人が負傷、パレスチナ人3人も射殺された。イスラム原理主義主義組織「ハマス」「イスラム聖戦」とPLO(パレスチナ解放機構)主流派ファタハの軍事部門「アルアクサ殉教者旅団」の3組織が共同で犯行声明を出した。この事件は、ジョージ・ブッシュ米国大統領が中東地域を訪問し、前日の米・アラブ首脳会合に続き、ヨルダンのアカバでイスラエルのアリエル・シャロン首相とパレスチナ自治政府のアッバース首相との3者首脳会談を行った後に発生した。
- この後、10日、イスラエル軍のアパッチ攻撃ヘリコプターが、ガザ中心部で、ハマス幹部のアブドルアジーズ・ランティーシ氏の乗った乗用車にロケット弾を発射。ランティーシ氏本人は軽症であったが、少なくとも2人が死亡、約30人が負傷した。この事件を受け、ハマスが報復を宣言した。同日、ガザ地区のジャバリア難民キャンプでもイスラエル軍の攻撃でパレスチナ人4人が死亡、約30人近くが負傷した。
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