田中外務大臣談話
ドーハにおけるWTO閣僚会議
WTO新ラウンド交渉の開始について
平成13年11月15日
- WTO(世界貿易機関)における新たな多角的貿易交渉(新ラウンド交渉)の開始を歓迎する。99年のシアトル閣僚会議での失敗以降、わが国は、新ラウンドの早期立ち上げに向けた各国間の合意形成を促すため、様々な取組を行ってきた。そうした努力も相まって、新ラウンド交渉の立ち上げに至ったことは、貿易立国を標榜するわが国にとって喜ばしい。また、今回の閣僚会議において、わが国の隣人である中国と台湾の加入が承認されたことを歓迎する。
- 農業については、交渉が新ラウンドの幅広い交渉の重要な要素として位置づけられたことを歓迎する。今後の交渉の中で、引き続き、多様な農業の共存が図られるような農産物貿易ルールの実現を目指していきたい。
サービス分野については、交渉の遅滞のない進展を確保するための枠組みが設定されたことを評価する。サービス貿易の一層の自由化をめざし、引き続き積極的に交渉に参加していきたい。
アンチ・ダンピング(AD)措置については、かねてより規律の明確化・改善を求めてきたこともあり、AD協定が交渉対象とされたことは喜ばしい。交渉を通じてAD措置が濫用されることのないよう、その規律の強化を求めていきたい。
投資ルールに関しては、意見の対立があった中で、第5回閣僚会議のあと交渉することとなったことを歓迎する。交渉すべき協定の要素については、直ちに作業を開始することになっており、積極的にその作業に参加していきたい。
貿易と環境に関する諸問題について、今後WTOとして真剣に取り組んでいくこととなったことを評価する。また、貿易交渉においては、地球的規模の環境問題や資源の持続的利用の観点にも配慮していきたい。
知的所有権(TRIPS)協定と公衆衛生について、今回独立の宣言で、TRIPS協定が、途上国の医薬品へのアクセスに代表されるこの問題に、柔軟に対応しうることを確認したことを評価したい。HIV/AIDS等の感染症の問題には、引き続き様々な角度から真剣に取り組んでいきたい。
その他、今回の閣僚宣言では、途上国の関心事項への配慮が盛り込まれている点を重要視している。わが国は、従来からこの問題に積極的に取り組んできているが、今後も「実施」問題や後発開発途上国産品の市場アクセス改善、貿易関連の技術協力等の途上国対策について努力していきたい。
- 今回の閣僚会議に際しての日本代表団の努力に敬意を表するとともに、その成果を共に分かち合いたい。
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