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談話・コメント

池田外務大臣談話

フィリピン政府とモロ民族解放戦線(MNLF)の和平合意署名について


平成8年9月2日 

1.本日、フィリピン政府とモロ民族解放戦線(MNLF)との間で和平合意への署名が行われたが、わが国は今回の和平交渉の成功が、ミンダナオを中心とする南部フィリピンの平和と開発の礎となることが期待される画期的意義をもつものとして、これを歓迎する。
2.わが国は、本件合意の成立に向けて確固たる決意と指導力をもって当たられたラモス大統領に祝意を表明する。また、同大統領の指導下のフィリピン政府およびミスワリ議長をはじめとするMNLF双方の交渉関係者の粘り強い交渉努力に敬意を表明する。更に、インドネシアおよびイスラム諸国会議機構(OIC)が本件交渉の推進に重要な役割を果たしてきたことにも留意する。
3.わが国としては、本件合意の成立を踏まえ、ミンダナオを中心とする南部フィリピンが平和な環境の下で一層の発展を遂げていくことを強く期待するものであり、そのために、可能な限りの支援を検討していく所存である。

【参考】

1. MNLF(モロ民族解放戦線)及び南部ムスリム勢力
 MNLFは、1969年に結成され、長年ミンダナオ地域の独立・自治を求める活動を展開しており、推定1万数千の武装勢力を抱える(指導者は結成以来ミスワリ議長)など、南部ムスリム反政府運動の主流派である。
 一方、84年にMNLFから分離したモロ・イスラム解放戦線(MILF)はMNLFと一線を画したまま和平交渉の行方を見守っており、また、バシラン島を中心とした一部地域では、アブ・サヤフ等「イスラム原理主義者」が散発的に誘拐やテロ行為を行っている。

2.和平交渉の背景及び経緯

(1)1976年、マルコス政権(当時)とMNLFは、リビアの仲介により、ミンダナオ島南部13州の自治(但し外交、国防及び鉱物資源は中央政府に帰属)を定めるトリポリ協定に合意。その後協定の細目につき交渉がまとまらず、86年の2月革命後に実施された住民投票で4州のみが自治を受け入れた。
(2)92年以降、ラモス大統領はMNLFを相手に積極的に和平交渉を進め、インドネシアの仲介もあり、これまでに3回(第1回:93年10月、第2回:94年9月、第3回:95年11月)の正式交渉がいずれもジャカルタで開催された結果、停戦協定が締結され、自治政府の概要につき概ねの合意が得られたものの、自治政府設置の手続き及び範囲、MNLF兵士の国軍への編入等主要な懸案事項が残されていた。
(3)今回の第4回交渉においては、双方の歩み寄りの結果、南部14州の平和と開発に関する諸活動の監督・調整にあたる「南部フィリピン平和開発評議会(SPCPD)」の設置、同地域における自治政府の受け入れに関する住民投票の3年以内実施、MNLF兵士のフィリピン国軍への編入条件等につき合意がなされるなど主要な懸案事項が解決された。
(4)今回の和平合意については、SPCPD対象地域住民、議会内で若干の反対が見られるものの、上院において賛成多数で和平合意賛成決議が採択されるなど、和平合意を支持する動きが大勢となっている。


池田外務大臣談話 / 平成8年 / 目次

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