アジズ・パキスタン大蔵大臣(ムシャラフ大統領特使)
による小泉総理表敬(概要)
平成13年11月1日
1.日本の経済措置の停止とパキスタンの核不拡散・核管理に関する問題
(1)アジズ特使より、先月の小泉総理・ムシャラフ大統領の電話会談は極めて有益であった、ムシャラフ大統領は、日本の経済措置の停止に深く感謝している旨発言。
(2)小泉総理より、タリバンとの関係を断ち切り、米国と協力するとのパキスタンの姿勢に敬意を表明。日本は核兵器に対し敏感であり、措置の停止には与党内にも反対の声があった、しかし、パキスタンは自制心をもって行動しており、世界の声に耳を傾け、不拡散問題にも努力をしていることから、措置の停止を決断した、カシミール問題等難しい問題はあるが、今後も世界の核抑制の声に耳を傾けて欲しい旨発言。
(3)アジズ特使より、パキスタンは日本の核に対する敏感な感情を理解しており、(イ)核実験のモラトリアム継続を改めてコミットする、(ロ)核拡散防止の必要性を認識しており、他国と核技術を共有しないことを確認する、(ハ)パキスタンの核管理システムは極めて安全なものであるが、引き続き充分な管理を行っていく旨発言。
2.日本に期待する経済支援
(1)アジズ特使より、(イ)パキスタンは9月11日のテロ事件により、輸出、収益、投資をはじめとする経済が大打撃を被っている、(ロ)パキスタン経済の安定が最優先事項であり、これが地域の安定にもつながると考える、(ハ)ムシャラフ大統領は小泉総理との電話会談までは、累積債務の削減が必要と考えていたが、現在は長期の返済期間と低い金利を伴うリスケジュールを求めていく方針に変更した、(ニ)これにより、生じた財政的余裕によって、貧困削減、保健及び教育等の改革に力を入れていきたい、(ホ)パキスタンは軍事政権であるが、2年続けて軍事費を削減し、人材開発に資金を投入している、(ヘ)現在、核実験後の各国の経済制裁・経済措置が解除されたことにより、新しい資金提供に希望が生じている、(ト)日本には、現状を乗り越えるための短期的及び中期的な経済協力を期待している旨発言。
(2)これに対し、小泉総理より、(イ)債務削減については、パキスタンの信頼性に関わる重要な問題、(ロ)具体的な内容については、塩川財務大臣と相談して欲しい、(ハ)アフガニスタンの将来に関しては、パキスタンの果たす役割が重要、(ニ)日本として、パキスタンへの支援について何ができるか真剣に考えたい、(ホ)日本も国際協調により戦後の復興を果たしており、今回、パキスタンが国際社会との協力の道を選んだのは正しい選択である旨発言。
3.国交樹立50周年
小泉総理より、2002年の日パキスタン国交樹立50周年を契機に両国の友好関係の増進を図りたい旨発言。
(本表敬の最後にムシャラフ大統領の親書が手交された。)
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