![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() | ||||||||||
|
トップページ > 会談・訪問 > 主な要人の来日日程 |
![]() |
要人来日日程(平成12年)
21世紀に向けた日本とイラン・イスラム共和国との間の
協力に関する共同声明
(仮訳)
- 日本国総理大臣の招請により実現したセイエド・モハンマド・ハタミ・イラン・イスラム共和国大統領による2000年10月31日から同11月3日までの訪日の機会に、ハタミ大統領は天皇陛下との御会見を行い、森喜朗日本国総理大臣との間でこれまでの両国間関係の現状を振り返り、21世紀における将来的な二国間関係のあり方に関して討議した。
双方は、今次訪日が両国間のみならず国際社会全体における対話と理解の促進に向けた転機となったとの見方で一致した。将来の両国間の二国間関係が世界の平和と安定に向けて追求されていくことに留意しつつ、双方は、日本とイラン・イスラム共和国が世界の平和と繁栄に向けたより効果的かつ建設的な関係を構築すべく最大限の努力を行っていくことを再確認し、この声明を作成した。
- 日本は、イランの現行の改革努力及び対外関係における前向きな進展を称えた。日本は、イランが、この面で更なる努力を行い、国際社会においてより積極的な役割を果たしていく意図を有していることを歓迎した。
- 双方は、開かれた、建設的な対話が両国間の友好的、親善的かつ協力的な関係の堅固な基礎を創り出したことを認識しつつ、様々なレベルで、様々な分野につき、両国政府間で、対話を更に拡充し、関係を促進することで一致した。
- 双方は、1957年に署名された「日本・イラン文化協定」を十分に尊重しつつ、文化協力、並びに青年、ジャーナリスト、学者及び知識人の交流を拡充していくとの意図を共有した。
- 双方は、民間部門が両国間の経済関係拡大において、より広範な役割を果たすことへの期待を表明し、貿易、長期投資及びビジネスマン交流を含む両国の民間経済活動の活性化及び円滑化に向けて、技術協力を含む、様々な方策を両国政府が探求していくことを再確認した。イランは、これまで日本が行ってきた協力の重要性に留意し、「第3次経済社会文化開発5カ年計画」及び中小企業政策への支援等の産業開発のための諸計画を含む、イランにおける様々な開発計画に対し、日本から引き続き貢献が得られることへの高い期待を表明した。
- 双方は、観光振興における協力の重要性を認識しつつ、この分野において協力を進める準備があることを確認するとともに、そうした協力が、両国間の相互理解を深化させ、両国間の人的交流を更に促すことへの希望を表明した。
- 双方は、世界石油市場の安定及びイランの主要かつ安定的な石油供給者としての役割が世界経済の持続可能な成長、特にアジア経済の回復にとって重要であることを確認した。この関連で、双方は、アーザーデガン油田等の油田・ガス田の開発において、両国間の良好な関係が確立されようとしていることを考慮しつつ、イランの安定的な石油供給能力の重要性、代金前払いといった柔軟な措置を通じた石油貿易の円滑化を含む両国間の安定的な輸出入関係、並びにこの分野での対話及び協力の促進の重要性につき一致した。また、双方は、産油国と石油消費国との間の公正かつ相互の利益に基づく相互理解深化の意義を、世界石油市場の安定に資するものとして強調した。
- 日本は、「文明間の対話国連年」の推進に向けたイランのイニシアティブを評価した。双方は、国際社会が「文明間の対話国連年」の機会に世界全体の相互理解促進のために努力することを希望しつつ、また国際関係に関する新たな枠組みとしての「文明間の対話」の重要性を認識しつつ、両国がそうした取組みに積極的に関与していく意図を表明した。
- 双方は、薬物問題が単なる国内問題ではなく人間社会全体にとっての脅威であることを認識しつつ、薬物問題に取り組むためには二国間及び国際的な協力が必要であることを強調した。日本は、イランが薬物の密輸防止のために真剣な努力を行っていることを評価した。
- 双方は、テロリズムが人々の生命及び平和的共存、並びに国際安全保障に対する重大な脅威であると認識するとともに、テロリズムはいかなる形態であっても非難されるべきとの立場を共有した。また、双方は、テロリズムの防止と根絶のために協力し、必要な措置をとることにつきコミットメントを表明した。
- 双方は、人権に関する二国間の対話の継続に向けた双方の意思を確認した。
- 双方は、現下の大量破壊兵器の拡散が国際社会全体に重大な脅威を与えていることを認識しつつ、大量破壊兵器の軍縮・不拡散のための努力を倍加すること、並びにそのために両国間で対話及び協力を促進するとの共通の決意を表明した。日本は、大量破壊兵器の運搬が可能な手段の拡散を防止し、削減することの重要性を強調した。また、日本は、包括的核実験禁止条約の早期発効を含む、核軍縮・不拡散の分野における体系的かつ漸進的な努力に向けた具体的な措置をとることの核心的な重要性を強調した。
- 双方は、国連を21世紀の国際社会が抱える課題に有効に対応できる機関とするために改革していくことが必要であるとの認識を共有し、安保理の正統性、代表性及び実効性を向上させるために常任・非常任議席双方の拡大を含む安保理改革の実現が重要であることを強調した。この文脈で、イランは、日本の国際社会における重要な一員としての役割が、安保理の拡大に関するあらゆる意思決定において十分に考慮されるべきであることを表明した。双方は、財政資源のより効果的かつ効率的な活用、公正かつ衡平な財政負担の実現を含む国連財政改革の必要性につき確認した。
- 双方は、ヨルダン川西岸地区及びガザ地区における衝突において、無辜の人命が失われたことに対し深い遺憾の意を表明し、そうした衝突における挑発、暴力及び文民に対する武力の過剰な行使を非難した。双方は、中東地域での公正、永続的かつ包括的な和平の重要性を再確認した。
- 双方は、国際社会と協調した努力の重要性に留意しつつ、アフガニスタンにおける平和の回復と全てのアフガニスタンの人々を代表する広範な支持を得た政府の樹立に対する期待を表明した。また、双方は、国連安保理諸決議の履行を含む国際社会による和平努力に積極的に関与していくとの意図の共有を再確認した。双方は、難民問題が国際社会全体にとっての優先課題であるとの立場を共有し、特に国際機関を通じて、アフガニスタン難民に対する人道支援を行う用意があると表明した。日本は、多くのアフガニスタン難民の受入れを含むイランの人道措置を評価した。イランは、この点に関する日本の対イラン協力を評価し、「アフガニスタン和平復興会議」開催に向けた日本のイニシアティブを歓迎した。
2000年11月1日
森 喜朗
日本国内閣総理大臣セイエド・モハンマド・ハタミ
イラン・イスラム共和国大統領
BACK |
| ||||||||||
![]() |