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地域の平和と安定のために |
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両首脳は、以下の点で一致した。
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ASEAN+3、日韓中等の様々な地域協力の枠組みにおいて、日韓両国が積極的に協力することにより、東アジア地域全体の繁栄に大きく貢献していく。また、EASGの報告書がより良いものとなるよう協力していく。 |
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両国外相の年内の相互訪問を実現し、両国政府間の緊密な政策対話を更に促進することとし、首脳・外相間の政策対話をサポートするため外務次官級協議を毎年定期的に開催する。
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II |
相互理解を促進し、友情を育むために |
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両首脳は、サッカー・ワールドカップ日韓共催及び国民交流年である2002年を契機として、将来にわたり、両国国民間の交流・相互理解が深まり、友情が育まれることを祈念し、以下の諸点につき意見の一致を見た。
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ワールドカップ・サッカー史上初めての共催を日韓が手と手を携えて成功させることを願い、小泉総理大臣より、5月31日に韓国ソウルにて行われるワールドカップ・サッカーの開会式出席の意向を表明し、金大中大統領より、6月30日に日本国横浜にて行われる決勝戦・閉会式出席の意向を表明した。また、小泉総理より金大統領に対し、開会式には高円宮同妃両殿下の御出席を検討することを伝えた。 |
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日本側政府は、両国国民間の相互理解を一層促進する観点から、2002年冒頭より韓国国民に対する査証を緩和したが、W杯共催の歴史的意義にも鑑み、W杯を含む一定期間、韓国国民に対する査証免除を実施することとした。これらについては、金大中大統領より謝意が表明された。また、両国間の人的交流を一層促進すべく、将来条件が整った場合には恒久的査証免除を行うことをも念頭に、更に協議を継続することとなった。 |
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4月18日の成田暫定平行滑走路の供用開始を受け、航空輸送力の拡充が図られる計画であることを歓迎する。(参考:韓国を含む全ての国を対象として、4月以降羽田深夜早朝チャーター枠を拡充する他、W杯期間中、昼間時間帯についても羽田発着チャーター便の運航を可能とすることとしている) |
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日本政府は、W杯の一層の盛り上げと観光振興を図っていくために、大会期間中、外国人旅行者の移動費用を低減すべく、陸、海、空の特別割引運賃を関係事業者の協力を得て導入することとした。 |
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「日韓国民交流年」を成功に導くために両国政府は、官民を通じた文化、スポーツ、青少年等の幅広い分野での交流事業を支援する。例えば、サッカー・ワールドカップ開催期間中に両国で実施される日韓合同企画による演劇公演や両国で実施される「日韓名宝交換展」「日韓市民交流フェスティバル2002」等を積極的に支援する。 |
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日韓国民交流年を契機に、両国間の青少年交流をより充実させる観点から、日韓間のワーキング・ホリデー査証の発給枠を大幅に拡大させ、従来の年間1000件から、年間1800件とする。 |
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日韓新世紀交流プロジェクトとして、100名(平成14年度)の初等中等教育教職員の招聘事業、スポーツ交流事業、語学相互学習支援の強化等を実施し、相互理解の促進をはかる。 |
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国際交流基金ソウル日本文化センターの開設を歓迎し、その活動を支援する。 |
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日韓歴史共同研究推進計画の立ち上げを歓迎し、できるだけ早期に合同支援委員会第1回会合を開催する。共同研究委員会第1回会合が4月中に開催されるよう支援する。本件歴史共同研究における真摯な議論を通じて、歴史認識に関する両国の相互理解が深まることを期待する。今後2年間に研究成果がまとまるよう、両国政府として積極的に支援していく。
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III |
繁栄のために |
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両首脳は、アジェンダ21に基づく両国間協力が着実に進展していることを歓迎するとともに、両国の更なる繁栄に向け日韓経済パートナーシップをより確固たるものとするため、以下の諸点につき意見の一致をみた。
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日韓投資協定の署名を歓迎し、早期発効を目指し所定の手続を速やかに進めることとした。また、日韓社会保障協定に関し、昨年末の予備協議の開始を歓迎。更に積極的に取り組むこととし、予備協議の作業が将来の本交渉につながることへの期待を表明した。 |
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日韓FTAに関する産官学研究会を設置することで意見の一致をみた。両国間で合意して、速やかに研究会を立ち上げ、報告書を作成することとなった。 |
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相互承認について、アジェンダ21に基づく作業等を加速させ、その結果に基づき、実質的利益の大きい分野に絞り込んで協議を進めることとした。 |
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日本政府は、韓国産豚肉に関し、パブリックコメントを経て問題がなければ、口蹄疫清浄国の認定を4月中旬までに終了し、豚コレラの問題がない済州島からの輸入を解禁する旨表明した。 |
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日韓IT協力イニシアティブの着実な実施を評価するとともに、W杯を契機としたIT協力を進めていくこととした。また、2002年6月にソウルで開催される第2回アジアITサミットなどを通じて日韓が協力してアジアにおけるITの発展をリードしていくことに対する期待を表明した。(参考:日韓IT協力イニシアティヴに基づく主な事業は以下の通り。情報処理技術者試験の相互承認(2001.12覚書締結)、プライバシーマーク制度の相互承認(2002.2覚書締結)、日韓高速衛星通信実験の推進、第4世代移動通信システム(4G)の開発・標準化協力等) |
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第4回日韓ハイレベル経済協議を2002年7月に開催することとし、行動計画、アジェンダ21、日韓IT協力イニシアティヴの進捗状況をレビューすることとなった。両国経済関係強化に向け有益な議論が行われることへの期待が表明された。
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IV |
国際舞台における協力関係の深化のために |
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両首脳は、二国間関係の強化のみならず、国際社会における日韓両国の協力関係を将来に向け発展させていくことの重要性を確認し、以下を含む多様な協力につき、外交当局次官級協議等を通して具体化していくこととした。
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国際テロ対策の分野での日韓の協力の重要性を確認し、テロ担当大使間で協議を実施する。また、アフガニスタン復興支援に関し、両国間の協議及び現地での緊密な連絡を通じ、復興・和平に向けた努力を行う。 |
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東チモールのオクシ地区において、両国部隊が、初めて国連PKOの下で活動することになったことに関連し、この活動の成功のために協力する。 |
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WTO新ラウンド交渉を協力して推進し、今後とも、農業やルール等の分野(注)で引き続き連携していくこととした。
(注)AD等の既存分野、投資ルール・貿易円滑化等の新分野 |
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地球環境問題に関し、北東アジア地域における環境協力推進に日韓両国が主導的な役割を果たすとともに、気候変動問題の解決やヨハネスブルグサミットの成功に向けて、積極的な協力を行っていく。3月28日に韓国がIEAに正式加盟されることを歓迎する。 |