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小泉総理大臣


小泉総理大臣の東南アジア諸国訪問
(概要と成果)

平成14年1月15日

 1月9日~15日、小泉総理は以下の日程で、東南アジアの5カ国(フィリピン、マレイシア、タイ、インドネシア、シンガポール)を訪問したところ、概要と成果以下のとおり。

1.日程

9日   フィリピン (首脳会談、上・下両院議長との懇談等)
10日   マレイシア (首脳会談、国王表敬、ラザリ国連特使の表敬等)
11日   タイ (首脳会談、国王表敬等)
12日   インドネシア (首脳会談、副大統領表敬等)
13日 午前 インドネシア (国会関係者会見等)
午後 シンガポール (首脳会談、JSEPA署名式、上級相・大統領表敬等)
14日   シンガポール (政策スピーチ、内外記者会見等)
その他、歴訪した各国において元日本人留学生と懇談

2.首脳会談と政策スピーチ概要

(1)日本の対ASEAN外交・地域協力

 日本の基本的考え方を概要以下のとおり披瀝し、各国首脳の支持を得た。また、14日には、シンガポールにおいて、政策スピーチとして表明した。

(イ) 「福田スピーチ」に基づくASEAN重視政策を継承しつつ、情勢の変化に対し、「率直なパートナー」として「共に歩み共に進む」協力を推進。

(ロ) 3つの協力

(a) 改革推進支援と「繁栄」の確保
(b) 「国境を越える問題」等への共同の取組を通じた「安定」の確保
(c) 未来のための協力(5つのイニシアティブの提案)
・教育、人材育成分野での協力(大学交流推進の政府調査団の派遣等)
・「日本ASEAN交流年2003」(文化交流、知的交流を含めた幅広い交流)
・「日・ASEAN包括的経済連携構想」(貿易、投資、科学技術、観光等の幅広い分野での経済連携を強化。具体的提案をまとめ、日・ASEAN首脳会議での合意を目指す)
・「東アジア開発イニシアティブ」(この地域の一層の繁栄と発展のため、今後の開発協力のあり方について、共に考えるための会合の開催)
・「国境を越える問題」を含めた安全保障面での日・ASEAN協力の強化


(ハ) 地域協力の将来
 ASEAN+3を最大限活用しつつ、機能的協力の積み重ねにより、豪、NZも含む「東アジア拡大コミュニティ」を志向。その際には米等との連携が不可欠。


(2)各国との個別事項

(イ) フィリピン
 総理より、地域の安定確保のため、ミンダナオ問題解決の支援を表明。また、感染症問題での両国間協力の推進に合意した。更に、首脳会談後、「日・フィリピン・パートナーシップ・プログラム」の署名を行い、東チモールの人材育成を共同で実施していくことに合意した。

(ロ) マレイシア
 双方の改革、ひいては経済の活性化の必要性につき確認したほか、ASEANの競争力強化の一環として教育・訓練の面での協力の可能性につき議論した。更に、テロ問題についても議論をしたほか、ミャンマー問題について、総理よりラザリ国連特使の役割を評価するともに、ミャンマーの民主化支援を行っていく旨表明。

(ハ) タイ
 両国間の経済連携関係を強化につき率直な意見交換を行い、総理より、タイの経済改革の努力に対する支援を表明し、投資環境の一層の整備等につきタイ側の努力を求め、タイからも前向きな反応を得た。ミャンマーの民主化の努力についても引き続き支援して行くことを確認し、麻薬問題、感染症対策等について協力して行くことで合意した。皇太子同妃両殿下のタイ御訪問招待がなされた。

(ニ) インドネシア
 インドネシアからは、投資環境改善等の各種改革推進への意欲の表明と共に、これまでの日本の支援に対する謝意が示された。総理よりは、司法、警察、徴税、中小企業育成等の分野での支援を約するとともに、アチェ、西チモール等の国内避難民問題解決のため、約1000万ドルの支援を表明。また、インドネシアの小中学生のために5億円規模の奨学金基金の設立を表明した。

(ホ) シンガポール
 首脳会談に先立って行われた経済連携協定の署名を歓迎し、今後の両国間の経済関係発展に向け努力していくことを確認した。その他、テロ問題についても意見交換した。


3.成果

(1)各国首脳との個人的信頼関係の醸成

 2001年秋以降、フィリピン、インドネシア、タイの首脳の訪日、APEC、ASEAN+3等の機会を通じて、各国首脳との議論は深められてきたが、今回の一連の首脳会談では、今後の日・ASEAN関係、テロ等の地域の共通の問題等につき率直かつ忌憚のない意見交換が行われた。首脳レベルでASEAN各国首脳との個人的信頼関係を確固たるものとできたことは、今後の日・ASEAN間の協力を各レベルで具体的に推進していく上での基礎となるものである。

(2)東アジア外交の新たなビジョンの提示

 日本の東アジア外交の新たなビジョンと具体的な5つのイニシアティブに対して各国首脳からの支持が得られたことは、国際社会との連携を維持した「共に歩み共に進むコミュニティ」という目標に向け、日・ASEAN関係が新たな段階に入ったと評価できる。

(3)日・シンガポール経済連携協定の署名と日・ASEAN経済連携強化についての合意

 本協定は、アジアで最初の経済連携協定であり、日本とアジア諸国の経済関係にとっても一つのモデルを提供するものである。本協定の締結が、日・シンガポール間の経済を一層活性化させるのみならず、WTOにおける取組みを前進させることが期待される。また、日本とASEANが幅広い分野で経済連携を強化していくことにつき、各国と合意できたことは、地域の今後の一層の繁栄に道筋をつけるものとなる。

(4)「心と心の触れあい」を中心にした協力関係の確認

 人と人との交流を通じて、東南アジアの人々と未来志向の関係を強化するとの今回の訪問の目的に則り、設立50周年を迎えたタイ国元日本留学生会やマレイシアの東方政策に代表される、各国の日本留学経験者との懇談の機会も設けた。今後の日・ASEAN関係を深める上で、人と人との繋がり、就中教育の重要性を各国と確認し、この分野での協力推進を確認し合った意味は大きい。

(5)対ASEAN重視の姿勢の確認

 日本として、25年前に「福田スピーチ」で提唱したASEAN重視政策を継承することを改めて確認し、また幅広い分野での具体的なイニシアティブを以て今後の日・ASEAN関係の強化の意向を表明したことは、ASEAN各国の日本に対する信頼感を増大させるものとなった。


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