外務省 English リンクページ よくある質問集 検索 サイトマップ
外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
トップページ 会談・訪問 過去の記録
過去の記録

日・EU定期首脳協議に関する日・EU共同プレス発表
(仮訳)


1997年6月25日、ハーグ

 橋本龍太郎日本国内閣総理大臣、ヴィム・コック欧州理事会議長及びジャック・サンテール欧州委員会委員長は、1997年6月25日、ハーグで第6回日・EU定期首脳協議を行った。

 首脳協議参加者は、世界情勢における日・EU関係の役割が重要であることを強調し、右関係が更に発展され深められるべきであるとの見解を表明した。

 この観点から、首脳協議参加者は、マクロ経済政策の幅広い収斂に留意し、日本及びEUの現下の域内の動き及び経済構造改革が、国際政治、国際社会及び国際経済成長並びに各々の地域と地球的規模の福祉に重大な影響を与えるであろうことを強調した。加えて、これらの進展は、地球的規模の統合へ力を与えることに貢献することとなる。

 首脳協議参加者は、経済通貨統合達成に向けた進展や単一通貨(ユーロ)導入の国際的意味を含む欧州における主要な進展を再検討した。欧州側は、IGC(マーストリヒト条約の見直しのための政府間会合)の終了に続くEUの新たなる機構改革と、EUの拡大に関する見通しについて概略を説明した。双方は、このような進展が世界情勢におけるEUの役割と重要性を拡大するものであり、日本を含む域外国とEUとの政治・経済関係にとって重要な意味を有するであろうことを認識した。

 日本側は、日本において現在実施されている財政構造改革、経済構造改革、金融システム改革を含む六大構造政革の重要性を強調した。これらの諸改革は中長期的に内需主導の力強い成長を確保し、ひいてはますます統合が進む今日の世界経済の潮流と調和する社会経済システムを構築することを目的としている。

 双方は、1991年7月18日にハーグで発表された日・EC共同宣言を尊重するとのコミットメントを再確認するとともに、日・EU関係を支えている対話と協力が、日本及びEUにおいて起きている根本的な情勢変化にてらして、強化されるべきであることを強調した。双方は、91年の宣言に謳われている制度的枠組みの充分かつ定期的な活用の重要性を認織した。また、首脳協議参加者は1995年のパリ、1996年の東京における日・EU首脳協議の際の共同プレス発表が依然として妥当であることを強調した。

日・EUの政治協力の強化

 首脳協議参加者は、近年の閣僚及び政府高官レベルの対話について、率直かつ生産的な意見交換が実施されており、内容が充実していることを歓迎した。双方は、実現可能であれば、政治協力が、特にこれまで緊密な政策担当者レベルの対話を進めている分野において、政策協調という具体的な結果に結びつくよう努力する。

首脳協議参加者は、各々の地域における具体的な政治・安全保障情勢を検討し、各々の地域が引き続き経済発展を続けるためには安定的かつ安全な政治環境の維持が不可欠であると考えた。首脳協議参加者は、多国間の対話の場が緊張と誤解を減少させるために重要な役割を果たすことができるとの意見を共有し、この目的のために適切に共に作業していくとの意向を確認した。

 また、首脳協議参加者は、アジアと欧州との間の広範囲でバランスがとれた密接な関係につながる、ASEMにおける人的交流を含めた政治、経済その他の分野の一層の協力と対話を進めていくことへの期待を表明した。首脳協議参加者は、また、これまで培ってきた日・EUパートナーシップのこのプロセスにおける重要性を強調した。首脳協議参加者は、2月にシンガポールで行われた外相会合を想起し、9月に日本で予定されている経済閣僚会合及び9月にタイで予定されている蔵相会合の開催を歓迎した。双方は、1998年4月にロンドンで開催予定の第2回ASEM首脳会議の成功を特に重視した。

 双方は、また、ASEAN拡大外相会議の重要性を強調した。首脳協議参加者は、ASEAN拡大が、地域の平和、安定、繁栄の増進に貢献し、新規加盟国における人権及び民主主義の諸原則の尊重を促進するものとなることへの期待を表明した。首脳協議参加者は、また、ASEAN地域フォーラムが果たしている役割の重要性がますます高まっていることに満足の意を表明した。首脳協議参加者は、このような様々なフォーラムへのEUの積極的な参加は、アジアへの強い関心と関わり合いを表すものとして歓迎する旨強調した。

 双方は、朝鮮半島における永続的平和の達成を目指した4者会合提案への継続支持を表明し、北朝鮮に対し、4者会合提案を遅滞なく受け入れるとともに南北の対話に真剣に取り組むよう要請した。首脳協議参加者は、北朝鮮の核不拡散に関わる義務の履行を促進させるKEDOの活動等に満足の意を表明した。首脳協議参加者は、KEDOへの継続した支援が有益である旨の見解を共有した。双方は、EURATOMがKEDOに参加するための交渉の妥結を歓迎した。この過程で生まれた日・EU間の高度の協力に基づき、双方は、朝鮮半島における核不拡散の分野に関するアドホックな意見交換の有用性を認識した。

 双方は、中国が国際社会との結びつきをより一層強化するよう働きかけていく必要性を強調した。首脳協議参加者は香港の将来の平和と安定及び香港が地域における経済・金融センターとしての地位を維持することに対する強い関心を共有する。加えて首脳協議参加者は、香港が中国の特別行政区としての新しい地位に円滑に移行できるように、貢献していく旨の共通の希望を表明した。双方は、特別行政区に対し認められている政策分野全般に関し香港政府と直接協議していくことを期待し、1984年の英中共同声明及び1990年の基本法の実効的実施を期待する旨表明した。これらは香港の安定と繁栄を確保し、香港の生活様式、独立した通貨、経済制度を含めた高度の自治、基本的自由及び法の支配を確保していくことを含んでいる。

 双方は、カンボディアの全ての指導者に対して、民主主義の原則及び良い統治の強化を通じて政治的安定や市民生活の秩序を確立し、経済を復興するよう強く訴える。双方は、国際社会が有する深刻な懸念を伝えるために特使を派遣する日本の内閣総理大臣のイニシアティヴ及びカンボディア政府へのEUの働きかけを歓迎した。

 首脳協議参加者は、進んだ産業市場経済の確立に向かうに際し、ロシアが担っている役割及び責任を考慮し、ロシアが経済改革と、多国間機関への関与を深めることを通して、国際社会とのつながりを緊密にしつつあることを歓迎した。

 EU側はG‐24の文脈において、中・東欧諸国支援における日本の重要な役割を認識し、この支援が将来的にも継続されることを希望した。

 双方は、ボスニア・へルツェゴヴィナで進行中の和平安定化プロセスに引き続き関与する。首脳協議参加者は、将来の更なる協力のモデルとなりうるボスニア・ヘルツェゴヴィナにおけるUNDPの農村部雇用創出プロジェクトについて予定されている協力を歓迎した。

 首脳協議参加者は、中東和平プロセスが中東地域の平和と安定にとって唯一の方途であることを強調した。首脳協議参加者は最近の中東情勢を深く憂慮し、中東における公正かつ包括的かつ恒久な平和を推進するため、パレスチナ支援を含めあらゆる方法でできる限りの支援を行う決意であることを確認した。

 EU側と日本側は、国際平和及び安定の維持、並びにグローバル・パートナーシップ及び持続可能な開発の促進という、国際連合の極めて重要な役割について再確認した。双方は、国連の改革の様々な側面が、均衡のとれた形で実現されるべきであるとの見解を共有する。この目的のために首脳協議参加者は国連の抜本的な改革を支持する。首脳協議参加者は、コフィ・アナン国連事務総長の改革案を歓迎し、これが迅速に実施されることを支持する。また首脳協議参加者は、追加的な提案に期待する。

貿易・投資関係の改善と経済分野における協力の強化

 双方は、世界の二つの主要経済主体として、各々の経済状況を検討し、それぞれの経済の改善及び改革のための政策及び努力に関する説明を行った。

 双方は、日本の対世界経常収支黒字が減少し、1993年以来EUとの貿易・サービス収支の黒字が減少していることに留意した。EU側は、不均衡が存続しており、1997年に再度大幅に増加しつつあるとの懸念を表明した。日本側は、現在の変動にもかかわらず近年の好ましい傾向が継続するであろうと説明した。

 この文脈において、双方は、EUの対日輸出キャンペーンであるゲイトウエイ・トウ・ジャパンⅡのような貿易促進キャンペーンを継続していくことの重要性を認識した。

 日本側は、広範な規制緩和措置の実施とフォロー・アップは引き続き日本政府の経済構造改革プログラムの主要な部分であることを強調した。双方は、1994年に開始された対話を強化し、年に少なくとも一回のハイレベルの会合を含め、規制緩和の議論のためにあらゆる適切なレベルでの会合を引き続き開催する意向を確認した。

 首脳協議参加者は、OECDにおいて規制改革に関し実施されている作業が、規制問題に関する両者間の議論にとり関連性を有することに留意した。

 首脳協議参加者は、特に貿易に影響する構造的及び規制的要因から生ずる市場参入コスト高を含む市場アクセスへの障害が、世界経済の統合を抑制し、輸出者及び投資家が各々の市場や経済の潜在力を十分に利用すること及び消費者に対しより多くの選択肢を与えることを妨げることを認識した。双方は、相互に受入れ可能な解決を見出すため、そのような貿易問題への早急な取り組みを行う意図を表明した。

 首脳協議参加者は、7月に開始される流通に関する意味のある実質的な議論の開始を期待している。

 首脳協議参加者は、互いの市場における外国投資に関する基本的な傾向が同様に継続していることに留意した。日本側は、外資系企業からのより一層の直接投資を引き付ける希望を表明し、その円滑化のための努力を説明した。EU側は、日本の欧州ヘの直接投資及び欧州経済の構造の中により深く統合しようとする日本企業の継続的努力を歓迎した。首脳協議参加者は、投資に関する規則を強化し国際的な投資のフローを推進する手段としての多数国間投資協定の早期妥結を支持した。

 双方は、適切であるとされた分野において、試験と認証の双方を含む相互承認協定の締結のための作業を加速化し、強化することの重要性を強調した。次回首脳協議に達成された進捗の報告がなされるであろう。

 GMPI(輸入医療用具品質管理基準)に関し、日本側は、限られた数の最終的な技術的確認を条件として、1997年9月1日からEUの医療用具の品質試験の結果を受け入れるであろう。

 双方は、民間部門の努力を通じた世界半導体会議(SC)の設立を評価し、この分野における産業協力の拡大への期待を表明した。

 双方は、多角的貿易体制の優越性及び地域貿易協定がWTO体制を補完し、かつWTOルールと整合的なものであることを確保する意図を再確認した。この関連で、WTOルールの更なる強化が望ましい。双方は、主要な地域統合の持つグローバルな意味合いに鑑み、そのような統合が世界の他の地域にも開かれた、国際社会全体の利益となるような方法で進められるべきことを認識した。

 双方は、WTOにおける情報技術合意(ITA)の発効及び基本電気通信サービス交渉が合意に至ったことを歓迎した。

 双方は、多角的貿易体制の更なる発展を最重要視し、そのために共に作業していくことを決定した。双方は、シンガポールにおけるWTO閣僚会議の成功に依拠することの重要性を認識し、当面優先されるべきは、合意された期限(1997年12月)までに、可能な限り広範な加盟国から相当に改善された市場アクセス及び内国民待遇の約束を得て、完全な最恵国待遇(MFN)に基づく金融サービス合意に向けて共に作業することであるとの結論に至った。今後について、双方は、WTOのより幅広い作業計画が更なる自由化と多角的貿易体制の強化のための重要な基礎となるとみなし、その文脈で、1998年のWTO閣僚会議の重要性を確認した。双方は、シンガポールで承認されたタイム・テーブルに従い、貿易と競争、貿易と投資及び政府調達の透明性を含む全ての問題について、時宜を得た実質的な進展を達成する必要性を強調した。

 双方は、貿易紛争を解決するための手続に関する1995年のパリにおける日・EU首脳協議を想起し、懸案の解決のためWTOの多角的紛争解決手続に付託する権利を維持しつつ、相互に受け入れ可能な二国間の解決を得るためあらゆる努力を払うべきことを認識した。

 中国、ロシアその他の加盟申請中の国・地域を商業的に意味のある条件に基づいて多角的体制に取り込むことは、世界貿易の長期的な発展を支え、WTOルールに基づく貿易体制の世界的な適用を確保するために重要であると認識された。双方は、WTOを普遍的なものとするために緊密に協力する意図を確認した。

 双方は、WTOシンガポール閣僚会議で行われた後発開発途上国(LDC)への支援に関する約束を想起し、LDC諸国のための市場アクセスの自主的な改善並びに人材育成及び政府組織の能力の向上の分野のための技術支援をより良くコーディネイトすることの重要性を認識する。この文脈で、双方は、WTO、UNCTAD及びITCによって1997年10月にジュネーヴにおいて開催されるLDC支援ハイレベル会合が重要であるとの認識を共有する。

協力の強化

 協力は、日・EU関係を成熱させるための礎である。これまで広い分野で協力活動が増大してきているが、双方はこれからも、同じ目的を持つこうした活動が益々ふえることを望んでいる。また双方は、協力活動の成果を定期的に評価し、現在と将来の必要性に見合っているかどうか検討するべきであることを確認した。

 双方は、EUと日本の関係の多様化を反映して新たな対話への道が開かれつつあることを歓迎した。首脳協議参加者は、教育、科学技術、情報・通信技術、電子商取引及び社会保障を含む諸分野で、対話を推進し、かつ適切な場合に共同のイニシァティヴを取る意思を明らかにした。EU側は、政府調達に関する対話を行うことの重要性を強調した。首脳協議参加者は、加えて次のような個別の関心を示した。

 双方は、日・EUの関係において、欧州と日本の産業界による一層有効な貢献の重要性を強調した。

 首脳協議参加者は、日・EU産業協力センターにより運営される産業協力イニシアティヴの一層の拡大が、EUと日本の経済的つながりの強化にも貢献するという見解を共有した。

 首脳協議参加者は、リオ・プロセスに新たな弾みを与え、環境分野におけるコミットメントのよりよい実施にむけての道を開く、UNGASS(国連環境開発特別総会)の重要性につき共通の認識に達した。

 気候変動に関して、EUは欧州理事会及び閣僚理事会により想起されるよく確立した共通の立場を繰り返し述べた。一方、日本は、デンヴァー・サミットによって合意された方針を反映した立場を説明した。双方とも、来る12月に京都にて開催される、気候変動枠組条約第3回締約国会議の成功に向け、協力することで一致した。

 首脳協議参加者は、具体的な人道援助に関する情報の交換を含む人道援助分野において日本とEUが既によい協力のための基礎を築いていることを認識した。

 OECD/DAC新開発戦略の漸進的な実施の必要性を認識し、開発協力の分野におけるEUと日本の主要な役割を考慮に入れた上で、双方はこの分野での協力を強化することを決意した。首脳協議参加者は、オーナーシップの原則を完全に尊重しつつ、成果指向のアプローチとよりよい援助調整を通じて開発援助の効率を改善すること、相当な規模の政府開発援助を維持すること、そうした支援を最も必要としかつ健全な政策にコミットしている国々に対し支援を振り向けることを特に重視している。

 首脳協議参加者は、特にサハラ砂漠以南アフリカや南アジアの状況については憂慮しており、食糧安全保障政策や人材開発、能力向上、教育・保健政策への支援などの分野で進んで協力を推進する。この点に関し、首脳協議参加者は、日本が1998年に第2回アフリカ開発会議(TICAD II)を開催することを歓迎した。

 さらに、首脳協議参加者は、双方が同様の課題に直面している分野における橋本総理の世界福祉構想の重要性を強調し、多国間の議論の場において進んでいる作業を評価した。首脳協議参加者は、より良い社会を築き次世代のために引き継いでいくために他の国々と各々の知識と経験を共有することが重要であると認識した。

 首脳協議参加者はまた、テロリズム、及び、薬物関連犯罪、資金洗浄、通常兵器や核物質の密輸入を含む国際組織犯罪に対する闘いにおいて協力し、右目的のために既存のフォーラムにおいて共に行動する意図を再確認した。

 双方はまた、税関分野における協力及び相互行政支援をさらに強化することから生じる共通の利益に留意し、税関分野において協力を深める意図を確認した。

 双方は、原子力研究・開発を含む原子力の平和的利用の分野におけるEUと日本の間の良い協力に留意し、近い将来にこの協力を他の原子力分野に更に発展することに関心を示した。

 双方は、東京で9月29日から10月2日にかけて開催される日・EU協力週間を歓迎した。この行事によって、EU加盟国、欧州委員会及び日本からの専門知識を活用した日・EU協力のもたらす利益について、意識が高まるであろう。双方は、協力週間の成功を確実なものとするため、ハイ・レベルの参加などあらゆる努力を惜しまないであろう。

BACK

外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
外務省