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川口外務大臣


「中央アジア+日本」対話・外相会合/共同声明
-新時代を迎える日本・中央アジア関係-
(仮訳)

2004年8月28日、於アスタナ





 日本国外務大臣並びにカザフスタン共和国、キルギス共和国、タジキスタン共和国及びウズベキスタン共和国の外務大臣は、2004年8月28日にアスタナにおいて会合を行い、日本と中央アジアとの今後の協力について討議した。
 各国外相は、ここに新たな協力の枠組みとして「中央アジア+日本」対話が立ち上げられ、日本と中央アジアの関係が新たな段階に引き上げられたことを歓迎し、以下について認識の一致を見た。

1.基本原則と価値観

(1) 各国外相は、中央アジア地域の平和と安定が、ユーラシア、ひいては国際社会全体の安定と繁栄にとり極めて重要であるとの認識で一致した。
(2) 各国外相は、これまで日本と中央アジアとの間の関係、協力が着実に進展してきたことを評価した。
(3) 各国外相は、これまで築かれた良好な関係を基礎に、中央アジアと日本の関係の新たな発展の可能性や関係発展のための方途についての不断の意見交換を通じて、今後、協力関係をさらに深化させ、拡大することについて意見の一致を見た。
(4) 各国外相は、中央アジア諸国が、独立後、民主化と市場経済化を目指し、安定と成長に向けた国造りの努力を精力的に推進してきたことが、この地域の安定を保ち、ユーラシアの平和と安定に貢献してきたことに留意しつつ、これらの諸国がテロや貧困を撲滅し、自由で民主的な社会を構築し、着実な経済成長を通じて国民生活の安定と向上を図ると共に、人間の安全保障を確かなものとするために、中央アジア諸国が種々の努力を継続・強化することが引き続き極めて重要であることを確認した。日本国外務大臣は、中央アジア諸国の一層の努力への期待を表明すると共に、このような各国の努力に対する支援の意向を再確認した。
(5) 各国外相は、この地域におけるテロの脅威は依然として高いことに留意しつつ、テロはいかなる理由をもってしても正当化することはできず、断じて許容できないことについて意見の一致を見た。各国外相はこの文脈において緊密な国際協力の強化が最重要であることを再確認した。
(6) 各国外相は、日本と中央アジアが、パートナーとして、この地域の課題及び世界の課題に取り組むことを表明した。

2.日本と中央アジアとの関係の更なる深化と拡大

(1) 各国外相は、日本と中央アジアとの間には、相互の間の歴史的、文化的紐帯に基礎をおく友好関係を更に発展、深化させる確固たる基盤が存在することを再確認した。
(2) 日本国外務大臣は、中央アジア諸国によるこれまでの国造りの努力を評価した。また、中央アジア各国外相は、「シルクロード外交」の下でこれまで日本が行ってきた支援がこれら諸国の平和、安定及び繁栄のために重要な貢献を果たしてきたことに謝意を表明した。
(3) 各国外相は、現下の国際情勢の下で、地政学的重要性を増している中央アジア諸国と日本との協力関係は、中央アジア地域のみならず、国際社会全体の平和と安定に寄与するとの共通の認識に立脚して、日本と中央アジア諸国との間には、以下を含む多くの分野において協力の実績があることを踏まえつつ、今後一層の協力の可能性を探求していく意思を表明した。
- 平和の定着のための協力
- 経済・社会開発のための協力
- 経済交流の拡大とそのための基礎の強化
- エネルギー、環境問題に関する協力
- 文化交流の拡大
- 人物交流・人材育成の円滑化及び促進

3.中央アジア地域における地域内協力の重要性

(1) 各国外相は、中央アジア地域には、テロ、麻薬、輸送、水・エネルギー資源の有効利用、貿易、環境保全など地域を構成する各国の個別の取組によるのみでは解決が困難な共通の課題があるとの認識を共有すると共に、中央アジアの平和と安定及び潜在的に可能な経済的発展による繁栄の実現のためにこれら課題を克服していくべきであることについて意見が一致した。
(2) 各国外相は、また、中央アジア諸国が地域内協力を深めることによってより経済的に意味のある規模の市場が形成され得ることに留意した。会合の参加者は、この目的のために、地域の利用可能な潜在力のより十分な利用、地域の安定的な発展及び地域内協力の深化を促進する中央アジア共同市場を段階的に創るというイニシアティブを実施に移していくことの重要性を強調した。
(3) 各国外相は、このような諸課題に取り組むため、中央アジア諸国が連帯して、地域内協力を深めていくことにより、中央アジア地域全体が、まとまりを持った強靱な共同体として、力強く成長し、繁栄していく可能性があることを確認した。
(4) 各国外相は、アフガニスタンの和平・復興が中央アジア地域の安定と繁栄に不可欠であるとの認識を共有し、同国の和平・復興の実現を支援するための協力を強化するとの意思を表明した。
(5) 中央アジア各国外相は、以上の目的のため、当初は困難が伴っても、地域内協力を一歩一歩具体的に進めていくべきであるとの意思を表明した。
(6) 日本国外務大臣は、以上の諸課題を巡り、中央アジア諸国が相互に協力し合って取り組もうとする努力を支持し、これを支援する旨表明した。

4.国際場裡における協力

(1) 各国外相は、中央アジア諸国の間の連帯は、地域の成長や繁栄をもたらすのみならず、その地政学的重要性に鑑み、国際社会の中で重要な地位を占めることを確認した。
(2) 各国外相は、日本と中央アジア諸国との間で国際場裡における協力(国連を始めとする国際機関における協力を含む。)を強化し、国際的な拡がりを有する諸問題の解決のため建設的に連携するとの意図を共有した。
(3) 各国外相は、国連改革、特に安保理改革の核心は常任・非常任双方の議席数の拡大であることを確認した。中央アジア各国外相は、さらに日本が国際社会において更なる政治的な役割を果たすことへの期待を表明し、日本の安保理常任理事国入りに対して一致して支持を表明した。

5.「中央アジア+日本」対話

(1) 各国外相は、今後、中央アジア諸国と日本との協力を一層促進していくに当たり、今回開始された「中央アジア+日本」対話を、次の基本方針に従って推進していくことを確認した。
-多様性の尊重
-競争と協調
-開かれた協力
(2) 各国外相は、この対話を通じて、以下の目的を追求することを確認した。
-中央アジア地域の平和と安定、民主主義の強化
-地域内の格差是正を含む地域の経済基盤強化と改革促進・社会開発
-中央アジア諸国による地域内協力の強化
-中央アジアと近隣地域、国際社会の良好な関係の維持・発展
-地域的課題及び国際的な拡がりを有する課題についての日本と中央アジアとの協力
(3) 各国外相は、新たな対話の下での協力は、中央アジアの自主的な努力を支援し、その経済的強靱性を高め、地域の安定と発展、域内各国の間の連帯を更に強固なものとすることに資することになるとの認識で一致した。

6.今後の対話と交流の促進に向けて

(1) 各国外相は、若い世代を含む幅広い人的交流を促進することを通じて、日本と中央アジア諸国との関係の基盤を一層強固にすべきであることにつき意見の一致を見た。
(2) 各国外相は、「中央アジア+日本」対話を今後種々のレベルで継続していくことで意見の一致を見た。各国外相は、2005年の日本における「愛・地球博」はこのための重要な機会を提供し得ることにつき意見の一致を見た。 

 2004年8月28日

川口順子
外務大臣
日本国
カシムジョマルト・トカーエフ
外務大臣
カザフスタン共和国
アスカル・アイトマートフ
外務大臣
キルギス共和国
タルバック・ナザロフ
外務大臣
タジキスタン共和国
サディック・サフェーエフ
外務大臣
ウズベキスタン共和国
 


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