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川口外務大臣


「中央アジア+日本」対話・外相会合/共同声明
-新時代を迎える日本・中央アジア関係-
(別添)


 この文書は、「中央アジア+日本」対話・外相会合共同声明の別添としてその一部を構成し、日本と中央アジア諸国がその関係を更に深化、拡大させ、中央アジア地域、ひいては国際社会の平和、安定及び繁栄に貢献するために協力していくに当たり、これまでの協力の例や分野ごとの課題等に言及しつつ、今後の協力のあり方を検討していく上での参考として作成されたものである。

1.平和の定着のための協力

(1) テロ対策
  • 日本は、テロ対策の国際協力推進のために2003年3月「アジア地域テロ協議」を東京において開催した(ウズベキスタン、タジキスタン、キルギス、カザフスタンを含む各国のテロ対策関係者を招聘)。
  • テロ対策の強化の一環として各国による国境管理は重要な要素の一つである。
  • 日本は、テロ対処能力向上支援の一環として、テロ資金対策、出入国管理、航空保安、税関協力、輸出管理、警察・法執行機関の協力の6分野において世界各国から積極的に研修員を受け入れてきている(2003年度には総計約280名。うち、中央アジアからは67名)。
  • 日本は、こうした研修による要員の能力向上、各国専門家間の情報交換に資するセミナー開催等による協力が可能であり、本年より3年間に亘り「司法制度セミナー」を毎年実施し、中央アジア各国の犯罪防止専門家を研修員として受け入れる方針である。
(2) アフガニスタン
  • アフガニスタンの情勢は、中央アジアの安定に大きな影響を及ぼし得る。
  • 日本は、平和の定着構想の下、和平プロセス、DDR等の治安改善努力、交通インフラ等の復興の全てにわたり、総額約8億ドルのアフガニスタンへの支援を実施してきている。
  • 中央アジア諸国と日本は引き続きアフガニスタンの安定と復興、民主的プロセスを通じた統一国家形成のために支援を継続していく。
(3) 小型武器
  • 本年3月、日本は、国連との共催によりアルマティにおいて「中央アジア・小型武器ワークショップ」を開催した(我が国が国連に拠出した国連グローバル地域軍縮信託基金より、会合開催費用を支援した。)。
  • 日本は、これまで小型武器問題について主導的な役割を果たしてきた。
  • 日本は、中央アジアにおける平和の定着、テロ対策のために、小型武器行動計画の着実な実施や、小型武器の管理体制の強化について協力する用意がある。
(4) 対人地雷
  • 日本は、普遍的かつ実効的な対人地雷の禁止と地雷除去・犠牲者支援の強化のため、犠牲者ゼロ・プログラムの下、対人地雷禁止問題の解決に積極的に取り組んできた。
  • 本年11月末に、ナイロビにおいてオタワ条約第1回検討会議が開催される。本条約の普遍化の推進及び地雷問題解決のための重要な機会となる。
  • 本年4月、タジキスタンにおけるOSCE地雷除去プロジェクトに関連し、日本は、25万ドル強の支援を実施した。
  • 日本は、国連PKO地雷対策サービス部(UNMAS)が管理・運営する国連地雷対策支援信託基金に毎年拠出(昨年は43万ドル、拠出累計額は世界第2位)しており、同拠出金を利用して世界の各地で地雷対策プロジェクトを実施している経験がある。
(5) 非核化
  • 日本は、日・カザフスタン非核化協力委員会に総額約1600万ドル(17億円7000万円)を拠出し、国内計量制度の確立、セミパラチンスク核実験場周辺地域の放射能汚染対策に協力している。また、同核実験場周辺地域の支援については、ODAで1999年に東京で支援会議を開催した他、専門家派遣、医療機材供与等の支援を実施してきた。
  • 日本は、引き続き非核化に向けた努力に支援を継続する用意がある。

2.経済・社会開発のための協力

(1) 日本からの二国間経済協力
  • 日本は、中央アジア諸国に対し、これまで経済・社会インフラ整備、BHN支援、人材育成を中心に約2600億円(約23億6千万ドル)に上る支援を実施してきている(研修員受け入れ約2600名、専門家・ボランティア派遣約600名)。
  • 日本は、今後3年間に亘り、中央アジア地域から約1000名の研修員を受け入れる方針である。
  • 日本は、引き続き各国の援助需要を踏まえつつ、民主化や市場経済化への取組を含め、中央アジア諸国が自らのオーナーシップの下で行う国造りに向けての努力を支援する二国間協力を継続する用意がある。
(2) 国境を越えた地域協力への支援
  • テロ、麻薬、運輸、水、エネルギー、環境、貿易障壁などの地域の共通の課題に取り組む中央アジア各国の努力に対し、日本は、可能な協力を検討する用意がある。
  • ODAの供与に当たっては、今後当該プロジェクトが如何なる形で地域全体に裨益することとなるのかという要素についても勘案されることとなる。
  • 日本は、本年より3年間に亘り、水質モニタリング等に関する研修を毎年実施し、中央アジア各国の水専門家を研修員として受け入れる方針である。
  • 空港改修(カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス)、道路改修(ビシュケク~オシュ)等既存の実施済み案件を地域協力に裨益させるように利用していく視点も重要である。
  • 技術協力に関し、日本は、各国からエネルギー、環境、水などの専門家を本邦に招聘し、分野ごとの「地域別研修」を実施している(中央アジア地域からの昨年度実績は25名)。この地域別研修のスキームは、地域各国の専門家による意見交換、情報交換の場の提供、専門家同士のネットワーク作りにも貢献している。
(3) 経済協力を円滑に実施するための枠組みの整備
  • これまで日本と中央アジア地域の多くの国との間で草の根・人間の安全保障無償資金協力実施に関する合意が行われている他、日本は、各国との間で技術協力協定の締結を推進してきている。
  • 日本は、引き続き、受け入れ各国と技術協力等経済協力を円滑に実施する枠組みの整備について協力していく。
(4) 経済発展の過程で生じる地域間格差の是正
  • 日本は、これまで地域間格差の是正のために、農村等貧困地域に対する支援を無償資金協力、草の根・人間の安全保障無償資金協力を通じて行ってきている。
  • 8月20日、中央アジア地域の貧困による子供の養育環境の悪化に対処するため、日本は、UNICEFと共同して、中央アジアの全5カ国において、「人間の安全保障基金」による児童保護プロジェクトを今後3年間に亘り実施(216万ドル)することを決定した。
  • 日本は、中央アジア地域の各地において、これまで小学校の修復、病院への機材供与など草の根・人間の安全保障無償資金協力を約300件(03年まで)実施している。
  • 中央アジア地域全体のバランスの取れた経済発展が行われることが重要であり、各国毎、国内の地域間の格差に対しても関心を払う必要がある。
(5) 国際金融機関・関連国際機関との連携、協力
  • 日本は、二国間ODAに加え、中央アジアに対し、世界銀行、アジア開発銀行、欧州復興開発銀行の日本信託基金を通じ支援を継続してきている(1999年以降は累計8800万ドルの支援を実施)。
  • 効率的な援助実施のために、国際金融機関、関係国際機関との連携が重要である。

3.経済交流の拡大とそのための基盤の強化

(1) 法律面等の制度面の整備やその運用の透明性の向上
  • 中央アジア諸国における10年以上の国造りの過程で進展してきた法律など制度面の整備を踏まえ、今後は、各国による制度運用の透明性向上を通じ信頼性を更に高めることが重要である。
  • 日本は、技術協力、知的支援を通じて貢献の用意があり、経営管理、プロジェクト・ファイナンス、マーケティング等経済関連の研修員を多数受け入れている他、日本センターにおける経済関連セミナーの開催を通じたキャパシティ・ビルディングに協力している。
  • 日本は、中央アジア各国のWTO加盟に向けた努力を歓迎し、支持している。日本は専門家の派遣や研修員の受け入れ等で加盟支援を行っている。
  • 本年8月、日本とカザフスタンとの二国間WTO加盟交渉においてモノの交渉が実質的に終結したことを歓迎する。日本は、今後も、中央アジア各国のWTO加盟に向けた努力を期待する。
(2) 経済交流活発化のための情報交換
  • 中央アジア全体と日本との貿易量は、1992年の約8400万ドルから2003年の4億5千万ドルへと5倍以上に増加した。
  • 日本と各国との経済交流活発化のためには、情報交換が重要な要素の一つであり、さらにこれを緊密化していく努力の余地がある。
  • 中央アジア諸国は、それぞれ大使館及び日本センターを活用し、自国及び各国の経済情報が相手国の政府、企業、国民に速やかに伝達されるよう努力を払うことが重要である。
(3) 地域の経済を底上げする中小企業、裾野産業の育成
  • 市場経済化の促進、発展のためにも各国による中小企業、裾野産業の育成が重要である。
  • 日本は、経済アドバイザー等の専門家派遣、研修員受け入れ、また、大使館、JICA、日本センター等を通じたセミナーやビジネスマッチングにより協力を行ってきており、引き続き各国と共に協力のあり方を探求していく。
(4) 地域の観光分野の発展や観光の促進
  • 日本の援助により中央アジアにおける空港改修のための協力が行われた他、直行便の開設、航空協定の締結を通じ、中央アジアと日本の距離は縮まった。
  • 中央アジア地域は、歴史的遺産、豊富な自然資源に鑑み、観光立国としての潜在的ニーズがある。シルクロード観光開発を目指す構想の下に各国が協力し、国際的観光の中心地の一つを目指すことも一案であろう。
  • アジア、欧米等域外からの観光促進に中央アジア諸国が努力することが重要であり、観光産業の人材育成等での協力も探求し得る。2003年10月、日本は、観光産業に関わる若者達を中央アジア諸国より招聘した。

4.エネルギー及び環境問題に関する協力

(1) エネルギー開発
  • カスピ海周辺国の石油、天然ガス資源の重要性は一層高まっている。
  • 今後、中国、インドといったアジア諸国を中心に国際的なエネルギー需要の増加が見込まれ、それに見合う供給源の多様化が課題となっている。
  • 市場のグローバル化も進行し、国際エネルギー市場の安定が重要である。このため中央アジア地域のエネルギー資源の安定供給が一層重要となっている。
  • この地域のエネルギー資源開発やエネルギーの効率的利用、環境に配慮した持続可能な成長に注意が払われるべきである。
  • 日本は、2002年から毎年、エネルギー研修を実施し、中央アジア諸国から研修員を受け入れ、日本のエネルギー利用事情や省エネルギーの取り組み等を紹介している。
(2) 環境分野
  • 環境と経済発展の両立が重要な課題である。
  • 日本は、公害、環境汚染等の問題に関する自国の経験を有し、環境分野における法制度などの整備支援を進めてきた知見を有している。
  • 日本は、本年から2年度に亘り、環境行政に関する研修を実施し、中央アジア諸国の環境専門家を研修員として受け入れる方針である。
(3) 効率的なエネルギー利用に向けた協力
  • 中央アジア諸国が相互に裨益するようなエネルギー利用を模索することが重要である。
  • 日本は、省エネルギーに関する日本の経験の紹介を行う用意がある。
  • 日本は、中央アジア諸国と、共同実施やクリーン開発メカニズムなど京都議定書の下で協力できることを期待している。

5.文化交流の拡大に向けた協力

(1) 二国間文化交流
  • 日本は、これまで中央アジア諸国に対し、文化・高等教育の振興のため、音響、視聴覚機材、日本語学習機材及び文化遺産の保存機材の供与など累計1000万ドルの文化協力を実施してきている。また、日本文化紹介事業も各国で実施している。
  • 中央アジア地域では、急速に日本語学習者が増加しており、現在約4000名に達している。
  • 日本は、中央アジアと日本との関係に深みを与える文化面の協力を今後も継続する用意がある。
(2) 相互理解の促進
  • 文化交流を通じた日本と中央アジア諸国間の相互理解促進のために各国が努力する余地がある。
  • インターネットやマスメディアの利用は、市民に直接発信される点で特に重要であり、日本は、IT分野の技術協力やテレビ番組の提供を通じて協力する用意がある。
(3) 世界的レベルでの対話の促進
  • 東西文明の交流の重要な一翼を担ってきた日本と中央アジアは、今後人類が必要とする世界的レベルの対話に向けて有益な貢献をするべく協力する。

6.人物交流・人材育成の円滑化及び促進

  • 日本と中央アジアは、以上の各分野を含む裾野の広い人物交流及び人材育成を推進することで、中央アジア諸国の国造り努力を促進すると共に、日本と中央アジアの協力関係を強化し、両国民の友好関係、親近感を高める。


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