1. ゴー・チョクトン首相との会談 |
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(1) |
川口大臣より、中国の経済発展が地域に与える影響に鑑み、中国をWTOや地域経済協力の枠組みに取り込んでいく必要がある旨指摘。ゴー首相より、日、シンガポールとも中国の経済発展を機会と捉え、国内経済体制を大胆に変革することにより、新たな状況に適応して共存共栄を図ることが重要である旨発言。 |
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(2) |
川口大臣より、東南アジアのイスラムについて、極めて穏健な勢力であり、極少数の過激派も存在するが、基本的には宗教的な内心の動きである旨指摘。ゴー首相より、イスラムは人々の信仰心に関係する複雑な問題であるが、イスラム教徒が多宗教社会に融和し成功しているシンガポールの現状は、将来の東南アジアのイスラム問題を前向きに解決していく例示になるとの見方が示された。 |
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(3) |
ゴー首相より、日本の東南アジアに対する関与は、中国との関係でも域内のイスラムの問題でも極めて重要であり、その観点からも本年1月に表明された小泉総理のイニシアティブを全面的に支持している旨発言。
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2. リー・クァンユー上級相との会談 |
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(1) |
リー上級相より、中国の将来について、大きな変革を経験しながら大きな経済実体となっていく旨発言。更に、繁栄するアジアを作り上げるためには、中国をWTO等の世界経済の枠組みに取り込みつつ、日本、米国、欧州、インド、ASEANが密接に協力していく必要があり、特に日米の果たす役割が重要である旨発言。川口大臣より、相互依存の社会的システムを構築する必要性を指摘し、意見の一致を見た。 |
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(2) |
リー上級相より、現在の世界的なイスラム化の動きに関しては、深い洞察力をもって理解していく必要があり、イスラム化を脅威として捉えるのみならず、機会としてとらえる必要がある旨指摘。 |
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(3) |
リー上級相より、日本の経済改革の道のりは困難であるが、経済回復を遂げると確信しており、再び力強い経済成長を遂げ、東南アジアに対する密接な関係を強化していくことを期待している旨発言。
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3. リー・シェンロン副首相との会談 |
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(1) |
リー副首相より、シンガポールを中心とする地域経済については、成長の三角地帯のようにインドネシアも巻き込んだ形で魅力を高める必要があり、同時に日本や米国のような域外国との関係も重要である旨述べた。 |
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(2) |
ASEANの将来について、リー副首相より、20-30年後には必ず大きな経済実体となるとの見方が示されると同時に、日本がこの地域に関与していくことが重要である旨述べた。 |
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(3) |
リー副首相より、中国経済は、若干の問題を抱えつつも極めて早いスピードで変革を遂げ、大きな実体となりつつあり、この事実を踏まえ、日本もこの地域に対する関わりを強めて欲しい旨発言。 |
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(4) |
川口大臣より、日本の経済改革について説明したのに対して、リー副首相より、日本の経済改革の成功を祈っており、必ずや成功すると期待している旨述べた。
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4. ジャヤクマール外相との会談 |
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(1) |
日・シンガポール両国が価値観や社会システム、米国の地域への関与やシーレーンの安全確保等の地域情勢に関する利益を共有していることについて意見が一致。 |
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(2) |
日・シンガポール経済連携協定(JSEPA)を基礎として、今後更に様々な分野で二国間関係を深めていくことにつき合意。川口大臣より、JSEPAは、域内の他の諸国と経済連携を進める上でのモデルとなるものであり、高く評価している旨発言。ジャヤクマール外相より、JSEPAには他のアジア諸国からも大変高い関心が寄せられている旨指摘。 |
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(3) |
川口大臣より、3日から予定されているミャンマー訪問に関して、ミャンマーで芽が見られている民主化の動きについて政権側とアウン・サン・スー・チー女史の双方とじっくりと話し合いを行う考えである旨説明。ジャヤクマール外相より、先進諸国の中にはミャンマーとの対話は時期尚早であるとの意見も強いが、ASEANにとって日本のイニシアティブは非常に勇気づけられるものである旨指摘。
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