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WTO第5回閣僚会議(概要と評価)


平成15年9月16日


1.日時・場所

 9月10日~14日 場所:メキシコ・カンクン

2.出席国・地域

 議 長: デルベス・メキシコ外務大臣
 出席国: WTOメンバーである146ヶ国・地域(今次閣僚会議でネパール、カンボジアが加盟し、148ヶ国・地域となった)


3.概要

(1) 全体
 ペレス・デル・カスティージョ一般理事会議長から、同議長の責任の下、閣僚会議に送付された、閣僚会議文書案第一次改訂版をベースに議論が開始された。会議では、農業、非農産品市場アクセス、シンガポール・イシュー、開発、その他の5分野で作業部会が構成され、それぞれにファシリテーターが指名され、議論を行った。
 13日に、それまでの議論を踏まえ、閣僚会議文書案第二次案が発出された。しかし、14日午後、シンガポール・イシューで加盟国間の差が埋まらず、デルベス議長は、これ以上の会議の進展が見込めないとして議論を打ち切り、会議を閉会した。
(参考)ファシリテーター
 農業:シンガポール・ヨー大臣、非農産品市場アクセス:香港タン大臣、シンガポール・イシュー:加ペティグルー大臣、開発:ケニア・キトゥイ大臣、その他:ガイアナ・ローヒー大臣

(2) 農業
 閣僚会議文書案第一次改訂版に各国がコメントする形で議論が行われた。改訂版二次案は各国の懸念を踏まえたものとなるよう努力したものであったが、(i) 同改訂版は途上国に有利であり、バランスを欠くとする米EU、(ii) 先進国に対する更なる補助金削減、途上国に対する市場アクセス改善軽減を求めるG22(ブラジル、印等の主要途上国からなるグループ)、(iii) 同改訂版は市場アクセスの野心が高すぎることから(関税の上限設定、関税割当枠の拡大)、3分野(市場アクセス、国内助成、輸出補助金)間のバランスを求めるG10(我が国、スイス、ノルウェー他)等の意見が纏まらなかった。

(3) 非農産品市場アクセス
 まず、閣僚会議文書第一次改訂版に各国がコメントを行ったが、先進国は関税引き下げ方式(フォーミュラ)をより野心的なものとすべき、分野別関税撤廃を全加盟国による義務的参加と明示的に位置付けるべきとした。一方、途上国はフォーミュラの係数は途上国により配慮されたものとすべき、分野別は自主的とすべきと述べた。これらの議論を踏まえて改訂版第二次案が提示されたが、主な変更点は途上国への柔軟性をより具体化するものであり、先進国は、本案は野心のレベルを下げるものであり、受け入れられるものではないとした一方で、途上国側も更なる配慮を要求し、改訂版に合意はなされなかった。

(4) シンガポール・イシュー(投資、競争、政府調達透明性、貿易円滑化)
 4分野全ての交渉化を主張する我が国、EU等のグループと、4分野全てについて交渉は時期尚早であり、更なる明確化が必要とする途上国グループの対立の構図。政府調達透明性、貿易円滑化は交渉化、投資は二段階アプローチ(モダリティに合意した後、交渉化)、競争は作業部会継続との改訂版第二次案についても、対立は解消されず、多くの途上国(AU(アフリカ統一機構)、ACP(アフリカ・カリブ・太平洋諸国)、LDCグループ)が交渉の立ち上げに反対したことから、最終的に本件での合意が得られなかった。(本件での合意がなかったことが、会議打ち切りの引き金となった。)

(5) 途上国問題・開発
 閣僚会議文書改訂版二次案の内容は、これまでの議論を公正、かつ、適切に反映しており、概ね受け入れ可能とする先進国と、S&D(途上国に対する特別かつ異なる待遇)、実施問題を始め多くの開発問題は、進展が不十分であるので、閣僚会議以降の作業を早期に完了させるため、新たな期限の明示、マンデートの強化を主張する途上国の間で対立が継続した。政治問題化して注目を浴びた西アフリカ4ヶ国提案の綿花イニシァティブについては、事務局長主催による調整作業の結果、新たな文言が提示されたものの、最終調整はなされないまま、会議が打ち切られた。


4.評価

(1) 今次閣僚会議で合意が得られなかったことは、多角的貿易体制の維持発展の観点から極めて残念な事態。

(2) 各論

(イ) シンガポール・イシューは、本来、全ての国に利益をもたらし得る公平なルールつくりを目指すものであるが、先進国・途上国の対立案件と位置付けられ、途上国から十分な理解が得られなかったことは今後の課題。
(ロ) 農業においては、交渉の最終段階では集中的に議論が行われなかったが、引き続き、閣僚会議第二次案を巡る上記3.(2)の対立は今後も続くものと思われ、今後とも、我が国はこれまでの主張を強く行っていくことが必要。
 今次閣僚会議に鑑みれば、今後の交渉においては、上記2分野を含む全ての交渉におい て、途上国の声に耳を傾けることが重要となる。
(ハ) 合意には至らなかったが、一部の作業に一定の前進があった(例:S&D、LDC二ヶ国(ネパール、カンボジア)の加盟等)。
(ニ) 今後の見通しは不明であるが、ドーハ開発アジェンダのコミットメントの実現に向けて、我が国が責任ある立場から、我が国を含む全ての加盟国が受け入れることが出来る交渉結果を目指し、尽力していく必要がある。


目次


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