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経済
ドーハ閣僚宣言骨子


1.前文

  • マラケシュ協定の原則と目的(貿易の拡大、環境の保護・持続可能な開発等)を再確認。
  • 途上国のニーズ及び関心を「作業計画」の中心に位置付け。特にLDC配慮を強調。
  • 多角的貿易体制と環境保護・持続可能な開発の促進が相互支持的であることを確信。各国の環境アセスメントの努力に留意。WTOと国連環境計画及び他の政府間環境機関との協力を歓迎し、さらに促進。
  • 中核的労働基準に関するシンガポール閣僚宣言を再確認し、ILOの作業に留意。
  • 中国、台湾などの新規加入を歓迎。
  • 以上を踏まえ、幅広くバランスのとれた「作業計画(交渉、決定など)」の開始に合意。

2.「作業計画」

(1)「実施」問題

  • 実施問題に最大限の重要性を付与。
  • 実施についての決定を採択(本宣言に別添)。未解決の項目についての交渉は「作業計画」の一部とすることに合意。
  • 早期に合意したものは暫定的あるいは確定的に実施しうる。
  • 実施の項目のうち、この閣僚宣言において特定の交渉権限が与えられている場合にはその権限の下で扱い、それ以外のものについてはWTOの関連委員会で優先的に扱い、2002年末までに貿易交渉委員会(TNC)に対し適切な措置をとるために必要な報告を行う。

(2)農業

  • 現行農業交渉のこれまで作業を認識。
  • 農業の改革という長期的な目標を想起。
  • 交渉の結果を予断せずに、市場アクセスの実質的改善、すべての形式の輸出補助金の段階的撤廃を視野に入れた削減、貿易歪曲的な国内助成の実質的な削減に関する包括的な交渉を行う。
  • 途上国に対する特別かつ異なる待遇が交渉の不可分の一部であることを確認。
  • 非貿易的関心事項への配慮を確認。
  • 交渉の形態については、2003年3月31日までに決定し、第5回閣僚会議までに包括的なオファーを提出。
  • 農業交渉は交渉全体の一部として、全体の終結と同時に終結する。

(3)サービス

  • 経済成長の促進のためにサービス貿易交渉が行われるべき。
  • 現行サービス交渉のこれまでの作業を認識。
  • 2001年3月28日に採択された交渉ガイドラインを再確認。
  • 加盟国は、第一次リクエストを2002年6月30日までに、第一次オファーを2003年3月31日までに提出。

(4)非農産品の市場アクセス

  • タリフピーク、高関税、タリフエスカレーションを含む関税・非関税障壁の削減・撤廃。
  • 途上国、LDCの特別なニーズと関心を考慮。

(5)TRIPS協定(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)

  • 既存の医薬品へのアクセス及び新薬の研究・開発の両方を促進することにより、TRIPS協定が公衆衛生を支持するような形で実施・解釈されることの重要性を強調。
  • 地理的表示のワイン及びスピリッツに関する通報登録制度の設立について交渉に合意。地理的表示の追加的保護の対象産品拡大についてTRIPS理事会で検討し、2002年末までに取るべき適切な措置について貿易交渉委員会(TNC)に報告を行う。
  • TRIPS理事会において、生物多様性条約との関係、伝統的知識・フォークロアの保護、新技術等について検討。

(6)貿易と投資

  • 投資に関する多国間の枠組みに関し、第5回閣僚会議の後に、右会議における明確なコンセンサスによる交渉形態に関する決定を基礎として、交渉が行われることに合意する。
  • 開発途上国が義務及び約束を引き受けるにあたり、特別な開発、貿易及び財政上の必要性に考慮。開発途上国及び後発開発途上国への技術支援の必要性を認め、これらの必要性に応える支援を行うためにUNCTADを含めた国際機関等との協力を行う。
  • 第5回閣僚会議までの間、作業部会において、透明性、無差別原則、ボトムアップ・アプローチ等の明確化作業に焦点をあてる。

(7)貿易と競争

  • 競争に関する多国間枠組みに関し、第5回閣僚会議の後に、右会議における明確なコンセンサスによる交渉形態に関する決定を基礎として、交渉が行われることに合意する。
  • 開発途上国が義務及び約束を引き受けるにあたり、特別な開発、貿易及び財政上の必要性に考慮。開発途上国及び後発開発途上国への技術支援の必要性を認め、これらの必要性に応える支援を行うためにUNCTADを含めた国際機関等との協力を行う。
  • 第5回閣僚会議までの間、作業部会において、透明性、無差別原則、ハードコア・カルテル等の明確化作業に焦点をあてる。

(8)政府調達の透明性

  • 政府調達の透明性に関する多国間協定に関し、第5回閣僚会議の後に、右会議における明確なコンセンサスによる交渉形態に関する決定を基礎として、交渉が行われることに合意する。

(9)貿易円滑化

  • 通過貨物や貿易手続き等の迅速化に関し、第5回閣僚会議の後に、右会議における明確なコンセンサスによる交渉形態に関する決定を基礎として、交渉が行われることに合意する。

(10)WTOルール

  • ダンピング防止(AD)協定、補助金及び相殺関税協定、並びに右協定の目的及び措置についての、基本概念、原則及び有効性を保ちつつ、これら協定の規律の明確化及び改善について交渉。これらの交渉の中で、漁業補助金に関する規律の明確化・改善も目指す。
  • 地域貿易協定に関する既存のWTO上の規律の明確化及び改善について交渉。

(11)紛争処理了解(DSU)

  • DSUの改善・明確化について交渉。
  • 改善・明確化を2003年5月までに合意し、可能な限り早期に発効させる。

(12)貿易と環境

  • 貿易と環境の相互支持性を高める観点から次の交渉に合意。
    • WTOルールと多数国間環境協定(MEAs)の特定の貿易義務との関係。交渉対象はそのようなWTOルールと当該MEAの当事国間での適用可能性に限定される。
    • 多数国間環境条約(MEA)事務局と関連するWTOの委員会との通常の情報交換に関する手続き及びオブザーバーの地位の承認基準。
    • 環境関連の物品及びサービスに対する関税及び非関税障壁の削減または、適切な場合の撤廃
    漁業補助金は第28項における交渉の一部となることに留意
  • 貿易と環境に関する委員会(CTE)は、これまでの作業を継続する中で、特に次の作業に注意を払う
    • 環境措置が市場アクセスに及ぼす影響や、貿易制限措置の撤廃・削減が貿易、環境及び開発に資する状況
    • TRIPs協定関連条項
    • ラベリング
    委員会は第5回閣僚会議に報告し、交渉の適否を含めて勧告する。この作業及び交渉の結果は加盟国の既存のWTO協定、とりわけ動植物検疫に関する協定上の権利義務関係を変更しない。
  • 貿易と環境に関連する途上国に対する技術支援及びキャパシティ・ビルディングの重要性を認識。加盟国間の環境レビューに関する知見の共有を促す。第5回閣僚会議までに報告。

(13)電子商取引

  • 電子商取引を発展させるよう作業計画を継続。
  • 第5回閣僚会議まで引き続き関税不賦課を宣言。

(14)技術協力、低開発国(LDC)支援

  • メンバーの貿易関連能力の向上に関する要請に応える。特にLDC向け技術支援を強化。
  • LDC産品の無税・無枠の措置に向けた更なる市場アクセスの改善(LDC III行動計画への言及)。

3.作業計画の組織と管理

  • 交渉は、2005年1月1日までに終結。第5回閣僚会議では交渉の進捗状況を評価。
  • 交渉は一般理事会の下に設置される貿易交渉委員会が総覧する。貿易交渉委員会は2002年1月31日までに最初の会合を行う
  • 交渉の結果の発効は原則として一括受諾(シングル・アンダーテーキング)として取り扱う。早期に交渉が終了した分野については暫定的または確定的に実施しうる。
  • 早期合意は、全体の交渉のバランスの評価において考慮される。
  • 交渉ではない「作業計画」の要素については、高い優先度を付して、一般理事会の総括的な監視の下で検討され、一般理事会が第5回閣僚会議にその進捗状況を報告する。


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