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経済
第4回WTO閣僚会議(11/9~14、於ドーハ)
概要と評価

平成13年11月15日

1.閣僚宣言の採択

(1)現地時間14日18時35分(東京時間15日0時35分)に閣僚宣言が採択され、WTOにおける新たな多角的貿易交渉(新ラウンド交渉)を開始することが決定された。この他に、知的所有権(TRIPS)協定と公衆衛生に関する宣言、及び「実施」に関する決定が同時に採択された。

(2)新ラウンドは、日本がこれまで主張してきた通り、貿易自由化のみならず、ダンピング防止措置などの貿易ルールも含む幅広い分野を対象としており、農業の取り扱いも含め、日本の主張が概ね取り入れられている。

(3)今回の閣僚会議には、日本から、平沼経済産業大臣(首席代表)、武部農林水産大臣、植竹外務副大臣、林田財務大臣政務官以下の代表団が出席。

2.閣僚宣言の主な内容

(1)交渉期間は3年間で、2005年1月1日までに終了する。また、交渉結果の発効は原則として一括受諾(シングル・アンダーテイキング)として取り扱う。

(2)交渉対象は、「実施」問題、農業、サービス、非農産品の市場アクセス、TRIPS協定の一部、シンガポール・アジェンダ(投資、競争、貿易円滑化、政府調達透明性)、WTOルール、紛争解決了解、貿易と環境など幅広いものとなった。

(3)この中で、農業については、ケアンズの主張する「農工一体論」は盛り込まれるところとはならず、また、交渉結果の先取りも回避された。

(4)ダンピング防止(AD)協定については、「WTOルール」の中で、規律の明確化及び改善について交渉することとなった。

(5)投資等のシンガポール・アジェンダは、まずはこれまでの検討作業を続けて、第5回閣僚会議の後に、多国間のルールについて交渉することとなった。

(6)環境については、一部の事項(多国間環境協定(MEAs)とWTOルールとの関係など)について交渉を開始することとなった。なお漁業補助金は、「WTOルール」における交渉の一部となった。

(7)労働については、前文にて国際労働機関(ILO)の作業に留意する等の言及にとどめられた。

(8)途上国との関係については、「実施」問題に関する決定を行い、未解決の項目を交渉対象とすることとなった他、技術協力の強化や後発開発途上国産品の市場アクセスの改善に努力することとなった。

3.中国、台湾の加入

 中国については現地時間10日夕刻、台湾については同11日夕刻にそれぞれコンセンサスにて承認された(中国は同11日夕刻の加盟文書署名式後直ちに加盟受諾書をWTO事務局に提出し、これにより12月11日にWTO加入が発効することとなった)。日本にとり、米国に次ぐ第二、第三の貿易相手である中国、台湾のWTO加入が承認されたことは極めて有意義。

4.現地の治安情勢

 閣僚会議開会前の7日に現地空軍基地にカタル人男性(精神異常者との情報もあった)が発砲し射殺される事件が発生したものの、会議開催中は、治安情勢は平穏に推移した。デモも初日に平和的に行われたのみ。


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