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サービス貿易の自由化プロセスにおいて、他のモードに比べて約束の水準が低いレベルにとどまっているとされる第4モードにおける貿易障壁の削減を推進することには大きな意義がある。特に、一定の条件の下で、企業内移転についての制限を削減する分野横断的な約束を各国が行えば、大きな効果が期待できる。また、経済のグローバル化と技術発展に伴い、高度な技術又は専門知識を有する専門家のサービス提供に対する需要が大きくなっている。これら専門的・技術的分野の外国のサービス提供者を一時的に受け入れることは、受け入れ国の経済の活性化と国際化に資することにつながり、途上国の場合には技術移転の観点からも有意義で、長期的には受け入れ国の国際競争力の向上にも貢献するであろう。
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第4モードの対象は、サービス提供者の一時的な滞在であって、各国の長期的な移民政策及び犯罪者や感染病患者の入国等を防ぐ入国管理政策に影響を与えるものではない。第4モードの自由化に対しての抵抗が大きい原因の一つとして、サービス提供者の一時的な滞在を認めることと移民政策一般とが混同して議論される傾向があることが指摘できる。GATSの「自然人の移動に関する附属書」で合意されたように、雇用市場への参入を求める自然人に影響を及ぼす措置や永続的な市民権・居住又は雇用に関する措置は、GATSの対象外であることに留意すべきである。
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(3) |
一方、サービス提供者の一時的な移動についての自由化プロセスの進展は、サービス提供の輸出国、輸入国双方に利益をもたらし、また、それは先進国及び途上国の双方にとっても利益があることを強調しておきたい。国際化が進展する中で、サービス提供者の一時的滞在を促進するために、日本は、特に次の諸点について期待を持っている。
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