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経済

貿易関連キャパシティー・ビルディング
に関する沖縄ワークショップ

(概要と評価)

平成13年3月

 平成13年3月2日から4日まで、沖縄県名護市において、日本、WTO、UNDP、OECD/DACの共催によって、「貿易関連キャパシティー・ビルディングに関する沖縄ワークショップ」が開催されました。(議長:塩尻経済局審議官、廣木技術協力課長)
 本会合には、先進国、開発途上国、国際機関の貿易及び援助関係者が参加し、開発途上国におけるWTO協定の実施を含む、貿易に関連した能力の向上、すなわち人材育成や制度整備に関する効果的な実施及び強化の方途について意見交換を行いました。
 概要ととりあえずの評価は以下のとおりです。

1.会議の概要

(1)各共催者からの冒頭挨拶に続き、以下の4セッションにおいて、活発な議論が行われました。

(イ)セッション1においては、6国際機関による「後発開発途上国(LDC)に対する貿易関連技術協力のためのフレームワーク」(Integrated Framework; IF)に焦点を当てて議論を行いました。とりわけ、IFの体制強化のための方途(信託基金や運営委員会)について意見交換が行われ、2国間協力との連携の必要性についての意見が出されました。また、途上国においても貿易関連の技術協力を貧困削減戦略文書(PRSP)などの自国の開発計画に包含すべきとの意見も出されました。
 このようなIFの考え方は、LDC以外の途上国にも適用可能であるとの指摘がありました。

(ロ)セッション2においては、EU主導で行われている、貿易関連キャパシティー・ビルディングにおける「WTOの協定別アプローチ」に焦点を当てて議論を行いました。同アプローチにおいては、WTO協定実施のための国内法制度整備に直接裨益するような協力が行われるべきであるとの意見が出されたほか、WTO協定実施によって享受されるメリットが明確に示されるよう配慮が必要であるとの意見も出されました。
 また、ドナーや途上国間で知見を共有する拠点としてのWTO事務局の重要性が指摘されたほか、世界税関機構(WCO)などの他の機関が有する知見の活用についても意見がありました。

(ハ)セッション3においては、従来より援助の世界で行われている「国別アプローチ」に焦点を当て、日本によるヴィエトナムへの支援策、DACで作業中の貿易関連キャパシティー・ビルディングに関するガイドラインの作成状況及び「APEC戦略計画」等が紹介されました。
 討論においては、ドナー間の調整の必要性と、調整に当たっての透明性と説明責任の必要性についての意見が出されました。また、南南協力などを活用した地域内協力が有効な協力の形態であるとの意見も出されました。

(ニ)セッション4においては、上記3セッションでの議論を踏まえ、今後の方向性について討論を行いました。
 援助協調においては、リードドナーが積極的に調整の役割を担うべきだとの意見が出されたほか、途上国にとってはWTO協定遵守にともなうコストと自由貿易の利益とのバランスが重要との意見が出されました。また、国内政策の形成過程においては、広範な利害関係者の関与と一般国民の理解が不可欠であり、そのためには、途上国側のオーナーシップやガバナンスが必要であるとの意見が出されました。

(2)これらの議論の結論として、以下の諸点が参加者の間で確認されました。

(イ)今回のワークショップは、先進国、途上国、国際機関から、貿易関係者と援助関係者双方が参加し、貿易関連キャパシティー・ビルディングに関する意見交換を行ったという点において、有意義であった。

(ロ)個別のセッションで意見交換を行った、IF、「協定別アプローチ」及び「国別アプローチ」はそれぞれ相互補完関係にある。途上国に対する貿易関連キャパシティー・ビルディングにより多くの関心を集め、資金源を確保するためには、それぞれの協力プログラムにおいて、目に見える成果をあげる必要がある。
 他方、途上国側におけるオーナーシップも重要であり、自国の開発政策における当該分野のプライオリティーを高めるよう努力が必要である。

(ハ)本ワークショップの成果は、各国・機関においてのフォローが期待されるとともに、5月に開催される国連LDC会議での議論に反映されることが期待される。

(ニ)さらに、途上国における貿易と開発にとっては、今回議論されたキャパシティー・ビルディングだけでなく、途上国内の供給側の強化(国際競争力強化のための産業政策支援など)と生産物の市場アクセスの改善も重要である。

2.とりあえずの評価

(1)本ワークショップは、先進国、途上国及び国際機関の開発と貿易関係者という、バックグラウンドの異なる関係者が一堂に会して意見交換を行った、非常にユニークな会合であり、新しい試みとして出席者より高い評価を得ました。

(2)当該分野における限られた援助資源を効果的・効率的に活用するためには、援助機関間での緊密な連携が不可欠であり、その点においてIFにおける2国間協力との連携の重要性が、IF関係の国際機関関係者も含めた出席者の間で確認されたことは、今後のIFの進展にも寄与するものと考えられます。

(3)また、JICAを通じた2国間協力や、APECにおける地域間協力などの、当該分野における我が国の取り組み例を紹介することで、当該分野に対する我が国の姿勢について参加者の理解を得ることができたと思われます。

(4)今回のワークショップの成果は、5月に開催される第3回国連LDC会議などの今後の国際会議等において適宜反映されることが期待されます。また、この種のテーマの会合をこれ一度にせず、引き続き関係者で議論していくためにも、他のドナー及び国際機関によるフォローアップ会合の開催も検討していくことが求められます。

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