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WTO新ラウンド交渉8月一般理事会決定に関する説明会


2004年9月8日


 8日、外務省国際貿易課の主催により民間団体等を対象にして標記説明会を行いました。


場所:外務省新庁舎7階講堂
時間:14:30から17:30まで
参加者:民間団体69団体、報道関係者7名
説明者:
  • 佐藤外務省欧州連合代表部公使
  • 梨田外務省国際貿易課長
  • 榎本農林水産省国際経済課長
  • 小野寺経済産業省通商機構部補佐
  • 小口財務省関税局参事官
  1. 上記の説明者より、7月末から行われた一般理事会に至るまでの議論、及び一般理事会での議論ないしは8月一般理事会決定の焦点(農業、非農産品、シンガポール・シンガポール・イシュー等)について説明。また、今後行われる議論の道程についても言及。

  2. 続いて質疑応答が行われたところ、概要以下の通り。

    (1) 農業の決定について

    【質問・意見のポイント】
    (イ) 今回の交渉において、日本の方針をどのような形で反映されたのか。
    (ロ) 貿易歪曲的国内支持の全体的削減のフォーミュラの枠組みはどのようなものか。
    (ハ) 今後生産調整を要件とする青の政策が拡大する可能性はあるのか。

    【答】榎本農水省国際経済課長
    (イ) 我が国としては、多様な農業の共存を目指しており、輸入国と輸出国の両者のバランスのとれた規律が作られ、公平なルールの下で貿易が行われるべきと考えている。そのような考え方を踏まえ、我が国を含むG10(スイス、ノルウェー、韓国等10ヶ国グループ)としての考え方を取りまとめ、交渉の枠組み作りに取り組んだ。合意は、全体としてみた場合、一定の評価ができるものと考えている。
    (ロ) 国内支持のうち、貿易歪曲的国内支持の全体的削減については、当初に20%削減ということは決まったが、基準額、その後の削減率等については今後の交渉に委ねられている。また、この削減は、現行支払額からの削減という事ではなく、貿易歪曲的国内支持の全体枠からの削減である。
    (ハ) 青の政策に関しては、追加的要件を含め、更に検討することになった。

    (2) 日本の農業について

    【質問・意見のポイント】
     WTOにおける農業交渉と日本の農政との関係について、従来は、米や乳製品等関税中心の政策であったが、直接支払方式にシフトした場合、関税は不要となるとの意見もあるがいかがか。交渉姿勢は変化するのか。

    【答】榎本農林水産省国際経済課長
     諸外国間で自然状況等において埋めがたい格差がある中で、多様な農業が共存していくためには、一定程度の関税は必要である。直接支払には、中山間地域直接支払のように、既に緑の政策として実施しているものがある。また作目ごとに支払われる黄色のものもあるため、基本計画見直しではできる限りWTOに整合的なものにするため品目横断的な政策を勉強しているところ。

    (3) 非関税障壁について

    【質問・意見のポイント】
     非関税障壁についてどのように扱われているのか。

    【答】佐藤外務省欧州連合代表部公使
     ドーハ・ラウンドにおいては、非農産品に係る非関税障壁は非農産品市場アクセスの交渉で取り扱うことになっている。入り口論の段階で、途上国は、全て非農産品市場アクセスの交渉で扱うべきと主張し、先進国は、適切な交渉の場で扱うべきとの主張の差違がある。

    (4) サービス貿易の人の移動について

    【質問・意見のポイント】
     今次決定において、モード4(人の移動)に関して議論があったと認識しているが、今後本分野の交渉はどのように進んでいくのか。移動の自由化との国内法律との関係はどのようになるのか。

    【答】佐藤外務省欧州連合代表部公使
     インドなど途上国が関心を持っており、サービスのモード4に関する文言を強化するよう求めていた。移動の自由化との関係においては、資格要件と一時的入国の内容に関しては各国が決めるものであり、自動的に日本国内で外国の弁護士が活動できるわけではない。なお、今次決定においては、サービス分野において、改訂オファーの期限の設定を除き、新たなことが決まったわけではない。

    【答】小野寺経済産業省通商機構部補佐
     サービスのモード4に関する今次決定の文言は、基本的には交渉ガイドラインを踏まえたものであり、何ら新たに決まったものはない。一般的には、途上国を中心として強い関心が示されている。

    (5) サービス貿易のルール交渉について

    【質問・意見のポイント】
     サービスのルール交渉に関して、ルール作業部会でどういう議論が行われているか。

    【答】佐藤外務省欧州連合代表部公使
     ドーハ・ラウンドでは開発問題に焦点が置かれ、例えば、緊急セーフガード措置(ESM)に光が当たっている。自由化約束のオファーに関しては、7月現在、44ヶ国の初期オファーが提出されている。オファーは全加盟国が出すべきであるが、ASEAN等はESMがあればオファーも出しやすいと主張している。

    (6) 綿花、医薬品、及び貿易と環境について

    【質問・意見のポイント】
    (イ) 綿花問題についての現在の議論はどのようになっているのか。
    (ロ) 医薬品問題についての現在の議論はどのようになっているのか。
    (ハ) 貿易と環境の議論に関する日本の方針には何らかの変化はあったのか。

    【答】佐藤外務省欧州連合代表部公使
    (イ) 綿花問題においては、WTOで扱うべき側面と開発問題として扱うべき側面がある。貿易関連の問題としてWTOで扱うべき点に関しては、農業交渉の中に綿花小委員会を立ち上げて議論していくこととなった。開発問題として扱うべき点については、IMFなどの国際機関と連携して対応していく。
    (ロ) 医薬品問題については、カンクン閣僚会議前の一般理事会において、安価なコピー薬がそれを必要とする途上国等で使用できるよう決定を行っており、現在はTRIPS協定の改正のための作業を2005年3月までの期限で行っているところである。
    (ハ) 貿易と環境については、我が方として、重要な問題と考えており、引き続き議論を行っているところである。

    (7) 8月合意成立の理由について

    【質問・意見のポイント】
     今回の8月合意が成立した理由・ポイントは何か。

    【答】佐藤外務省欧州連合代表部公使
     今回の一般理事会においては、ジュネーブで議論している交渉担当者の間で、カンクンと同じ失敗は許されないという危機意識が共有されていたと考える。また、カンクン以降議論を積み重ねた結果、カンクンのときのように特に途上国において消化する時間がないといった要素もなく、どの国もある程度の見通しをもって交渉できたのではないかと考える。また、グローサー農業交渉議長の役割も大きかった。彼は、さまざまなグループの議論を集約する努力を行っていた。

    【答】榎本農林水産省国際経済課長
     交渉当事者の間に危機意識の共有があったことと、やはりグローサー農業交渉議長の役割も大きかったと考える。グローサー議長はポジションは議長が決めるのではなく、加盟国が決めるものとし、加盟国間の話し合いのプロセスを重視し、意見の集約を図った。我が方も、G10と連携して、我が方の考え方を反映されるよう様々なグループと交渉を行った。

    (8) 今後のスケジュールついて

    【質問・意見のポイント】
     今後の交渉のスケジュールの中では、米の大統領選、EUの委員の改選等があり、政治的空白があるのではないかという見通しもあるが、どのように考えるか。

    【答】佐藤外務省欧州連合代表部公使
     確かに、政治的空白はあろうが、技術的な面での議論を進めていく必要もあり、しばらくは事務レベルで作業を進めることとなる。

    (9) 閣僚会議と一般理事会について

    【質問・意見のポイント】
     例えば、カンクンのときにように閣僚会議では合意がされず、今回のように一般理事会では合意されており、一般理事会の方が合意されやすいのではないかという印象を受けた。また、一般理事会に代表が参加していない途上国があったということを聞いたが、事実関係如何。

    【答】佐藤外務省欧州連合代表部公使
     閣僚の方が政治的判断をすることが可能なので合意をしやすいといった観測もあり、閣僚会議と一般理事会とにおいて、一概にどちらが合意に至りやすいということはないと考える。今回の一般理事会にはどの加盟国からも、代表が参加していた。米、EU、我が国、伯、印など代表に閣僚を出した国も相当あった。

    (10) WTOとFTAの関係について

    【質問・意見のポイント】
     WTO交渉とFTA交渉との関係をどのように考えるか。

    【答】佐藤外務省欧州連合代表部公使
     多国間(マルチ)交渉と二国間(バイ)交渉(FTA/EPA)は現在並行して行われており、両方のメリットを生かしていく必要がある。例えば、米、EUの農業の補助金は、互いに見合いで削るのでWTOでないとうまくいかない。FTA/EPAでやるのは困難である。今後ともFTA/EPAがWTOを補完するものとして、成り立つように交渉を進めていく。


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