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経済

WTO新ラウンド立ち上げに向けた現状と今後の課題

2001年6月

1.現状・基本的立場

(1) 現状
1995年に設立された世界貿易機関(WTO;WorldTradeOrganization)においては、新たな貿易自由化交渉(ラウンド)を立ち上げるべく、1999年12月、米国シアトルで第3回閣僚会議を開催した。しかし、何をどこまで交渉するかについて、主要国間及び先進国と途上国間の立場の隔たりを埋めることができず、ラウンドの立ち上げに失敗した。
次の第4回閣僚会議は、カタルのドーハにて2001年11月9~13日に開催を予定している。

(2) 基本的立場
我が国は、カタルでの閣僚会議において貿易自由化の側面のみならず、貿易に関するルールの改善・強化を目標とした新ラウンドを立ち上げることを最重要視している。
インド等途上国の中には、新ラウンドの立ち上げに消極的な国もある。我が国としては、途上国の懸念や関心にも配慮の上、米国、EUとの協力を強化しつつ、ラウンドの立ち上げに努力するとの立場である。

参考:我が国の取り組みの具体例
2001年1月にフランクフルトで、3月にジュネーブ郊外で中堅国、主要な途上国を招き、ラウンド立ち上げに向けた意見交換を目的として、次官級(野上外審議長)の非公式会合を催した(3月会合はEUとの共催)。

2.基本的立場にある背景

(1) WTOの沿革
 WTO(ジュネーブに事務局)は1995年、第二次世界大戦後のルールに基づく国際貿易の自由化の中核となったガット(GATT:関税及び貿易に関する一般協定)を強化・拡充する機関として設立された。ガット当時に行われた、東京ラウンド、ウルグァイ・ラウンド等の多数国間の貿易自由化交渉は、我が国が貿易の拡大を通じて経済成長を達成する上で、大きな役割を果たした。

参考:ガットとWTOの違い
 WTOとガットの最大の相違として(i)貿易に関する紛争処理制度の拡充、(ii)モノの貿易に加えてサービスに関する貿易を規律するルールが設けられたことが挙げられる。

注:WTO加盟状況
 ガット発足時(1948年)は23カ国・地域であったが、2001年現在、WTO加盟国は140カ国・地域に増大(我が国は1955年にガット加入)。
 現在、中国、ロシア、台湾、ヴェトナムなどがWTOへの加盟交渉を行っている。その中で、中国の加盟交渉は、加盟申請以来すでに15年に亘り、農業及びサービス分野などのいくつかの懸案事項が残されているものの、最終段階に入っている


(2) ラウンド立ち上げを巡る主要国の動き
米国は新政権発足直後であり、今のところラウンド立ち上げに向けた動きは鈍い。ブッシュ政権は、米州自由貿易地域(FTAA)に高い関心を有しており、その動向を注視する必要がある。
EUは、日本と同様、新ラウンドにおいては幅広い議題を交渉対象とすべきと考えている。課題についても多くの点で日本と立場を同じくしている。
インド等の途上国は、ウルグァイ・ラウンド合意により、WTO協定の履行義務を負わされるばかりで、貿易自由化の恩恵に十分浴していないとの不満を有している。そのため、新ラウンドの立ち上げに取り組む前に、WTO協定の義務の軽減や途上国への利益の一層の実現等を求めている(繊維貿易の一層の自由化、途上国に対する補助金規律の緩和等)。これが「実施問題」であり、新ラウンド立ち上げの障害となっている。

3.今後の課題:11月のカタル閣僚会議での新ラウンド立ち上げ

(1) 新ラウンドの年内立ち上げ
新ラウンド立ち上げのために解決すべき課題は、「交渉議題」「実施問題」であり、いずれも途上国との関係が重要となる。
農業・サービス分野の交渉は2000年から開始されているが、これらは新ラウンドの一環として位置づけられるべき旨、我が国は主張している。

(2) 交渉議題
我が国は、各国の幅広い関心に応えるためにも、引き続き十分に幅広い議題を目指している。今後調整が必要な交渉議題に関する主な論点として以下が挙げられる。
(イ) ダンピング防止措置:我が国は、ダンピング防止措置の規律強化を主張。米国は交渉対象とすることに反対しており、新政権との協議が必要。
(ロ) 投資:一部の途上国は自国の開発政策の障害になるとの観点から、投資ルールの策定に消極的である。したがって、途上国も受け入れ可能な交渉を目指す。
(ハ) 競争:独占禁止法が整備されていない国にも配慮したルール作りが必要。
(ニ) 環境:環境保護を口実に貿易障壁を設けることになるとの途上国の懸念に対処する必要がある。我が国は、国内林水産業の維持の観点からも、有限天然資源の持続可能な利用を交渉において配慮すべき旨主張している。
(ホ) 労働:労働基準等を理由とした貿易制限措置になるとの途上国の強い懸念に鑑み、わが国は新ラウンドの交渉対象とすべきでないと考えている。

(3) 「実施問題」
途上国の新ラウンドへの積極的な支持を促す観点から、カタルでの第4回閣僚会議までに取りうる措置と、WTOの既存の協定の改正を伴う事項の新ラウンドでの取り扱い方について、途上国が満足しうるパッケージを作ることが不可欠

WTO新ラウンド立ち上げに向けた現状と今後の取り組み


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