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<提案>
アンチ・ダンピングを含む貿易救済措置に関する現行ルールの適切性と公正な実施についての懸念が、途上国を含む多くのWTO加盟国により共有されている。このような状況を踏まえ、アンチ・ダンピング協定の規定の明確化により適正な実施を確保するため、及び規律を強化するため、次期交渉において現行協定の関連条文をレビューし、現行協定の修正を行うべきである。
<背景>
- 累次のラウンド交渉によって関税をはじめとする貿易障壁が減少し、自由化が進んだことはGATT・WTOの大きな成果。他方でアンチ・ダンピング措置の多用は続いており、こうした措置へ安易に近づき、依存を増すことによって、関税引き下げの利益が無効化されてしまうことを懸念。アンチ・ダンピング措置はWTOのもとでも認められた貿易救済措置の一つであるが、それが保護主義的な目的で濫用されないよう常に注意が必要。
- 貿易救済措置で最も多く使われているのはアンチ・ダンピング措置であり、現在加盟国により900件以上のアンチ・ダンピング措置が実施されている。またアンチ・ダンピング調査を行っている国の数も最近10年間で約3倍となった。アンチ・ダンピング措置は、WTOの基本原則である無差別原則(最恵国待遇の付与)、譲許税率を超える関税賦課の禁止の例外規定である。保護主義的な目的で実施されないよう、その発動には厳に慎重を期すべき。しかし、実際には他の貿易措置に比べ発動が比較的容易であることから、保護主義的な目的のために用いられるケースが多い。また最終的に課税されなくても調査対象企業に大きな負担を課す、また特定国に対する輸入制限効果が大きいなどの問題点がある。
- これらの原因として、就中、(1)アンチ・ダンピング協定の規定が不明確であるために適正な実施がなされていないこと、(2)アンチ・ダンピングの関係条文が不適切なアンチ・ダンピング措置を防止するために十分な規律を備えていないこと、があげられる。
- 前者については、適正な実施の前提として、アンチ・ダンピング協定の不明確な箇所を無くし、調査当局の裁量に委ねられている判断基準を明確化することが重要な論点の一つ。これによって、調査当局の恣意的な実施が防止される一方、真に必要なアンチ・ダンピング措置については調査当局による円滑な実施が確保される。また、アンチ・ダンピング措置実施の手続や基準が明確になることにより、正当な理由に基づかないダンピング提訴や調査の濫発の防止に資することとなる。
また後者については、非難すべきダンピングにのみアンチ・ダンピング措置が実施され、かつ損害を除去するために十分なだけの措置に限定されること等を確保するために、現行協定の関連条文を改善することが必要。
日本は現行協定において見直しが必要と思われる具体的な点について、今後一般理等の場で指摘する用意がある。
- このような問題意識の下、日本は、多くの途上国がアンチ・ダンピング措置の濫用に懸念を示し、現行アンチ・ダンピング協定に内在する曖昧さや恣意性を排除するとともに規律を強化するべきであるとして問題提起していることに共感する。こうした曖昧さ・恣意性及び規律の弱さがアンチ・ダンピング措置を不公正なダンピングに対する対抗措置ではなく、保護主義の手段として使われる危険性を高めており、多角的自由貿易体制に対する脅威となっていることを懸念する。よって日本は現行のアンチ・ダンピング協定の規律の明確化と強化を支持する。
- なお途上国産品に対するアンチ・ダンピング措置については、アンチ・ダンピング協定15条を踏まえた適切な配慮を行うべきである。また、必要に応じ、途上国がアンチ・ダンピング関連条文の実施について適切なノウハウを得るための技術支援も重要。
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