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平成11年7月
- <提案>
1.我が国はサービスの分野について、加盟国が広範かつ一般的な指針及び手続に基づいて、第3回閣僚会議後速やかに次期ラウンドの交渉を開始することを提案する。右交渉は、自由化約束の深化及び拡大、及びサービスの貿易に関する効果的なルールの精緻化を目的とすべきである。
2.また我が国は、交渉の指針及び手続の項目として、以下の課題をとりあげ、検討を進めるべきであると考える。課題としては、包括的な範囲、リクエスト・オファー・アプローチとフォーミュラ・アプローチを組み合わせた特定の約束に関する交渉、MFN(最恵国待遇)義務の免除、競争促進的な規律導入の可能性の検討を含む国内規制に関する規律、及びGATS(サービスの貿易に関する一般協定)のルールに関する交渉が挙げられる。また当該交渉の文脈において、開発途上加盟国に対する特別かつ異なる待遇、及びスケジュール・ガイドライン及び分類の問題についてさらに検討を進めることを提案したい。
<背景>
交渉の指針及び手続
1.目的
我が国の出発点は「漸進的に一層高い水準の自由化を達成する」(GATS第19条)ことであり、ここから多くのさらに特定される目的が生じうる。こうした目的は次の二つの概念に分類される。
a) より深淵な、かつ、より広範な自由化約束を達成すること、これにより法的に拘束力のあるより高い水準の自由化を保証すること b) サービスの貿易についての効果的なルールを精緻化すること、これにより加盟国の各々の規制制度における透明性及び確実性を確保すること
- 2.範囲
- (1)我が国は、他の加盟国と同様、サービス交渉の次期ラウンドの範囲には全ての分野及び全ての提供態様が含まれるべきであると主張してきた。如何なる要素もアプリオリに排除されるべきではない。こうすることにより、サービスの貿易に相当程度多様な利害を持つ加盟国(開発途上国を含む)は、交渉における一連の取引を通じて、各々の利害を調整できるのである。
(2)我が国は特定の分野や問題に範囲を限定する特段の必要性はないと考えているが、我が国はいくつかの分野に然るべき注意を向けることに関心を持つことにやぶさかではない。例えば、海運サービスについては次期交渉において可能な限り早期に交渉を終結させることに優先度を与えるべきである、なぜならば、極めて限定された約束しかなされず、また、MFN原則が適用されずに、当該分野の交渉が一時中断しているためである。
- 3.課題
我が国が次期交渉において想定している課題について以下に詳述する。これらの課題につき議論するにあたり、前回の交渉のラウンドにおいて未解決の問題が多く残されており、GATSの各規定及びその他の関連する決定に更なる作業が授権されていることに鑑み、我が国としては加盟国は次期交渉の議題を設定する際にこれらの授権された課題を尊重すべきと考える。
4.特定の約束に関する交渉
- (1)市場アクセス及び内国民待遇の約束の深化及び拡大を実現することは、次期交渉の最も重要な柱の一つに据えられるべきである。
(2)加盟国はいくつかのアプローチを組み合わせることによってこれらの目的を追求できよう。加盟国はこれまでのリクエスト・オファー・アプローチを引き続き採用する一方、フォーミュラ・アプローチをとる可能性も追求すべきである。特定のサービス提供形態或いは制限形態について加盟国が同一もしくは同等のレベルの約束を行う、分野横断的フォーミュラは、交渉者にとって自由化目標をより整理された形で実現するために有益な手段である。また、GATSの「使いやすさ」を高めるものである。様々なフォーミュラは分野横断的及び分野別の二つに分類し得る。我が国としては、分野別の問題は交渉開始後各分野の専門家が検討していくことが適当であることから、当面は分野横断的なイニシアティブにつき議論すべきと考える。
(3)我が国としては、MFN義務の免除、過半の外資比率の確保、グランドファザリング、企業の役員及び従業員の国籍・居住要件、及び種々のパフォーマンス要求等の問題が、分野横断的フォーミュラについての理解促進のための議論の要素となり得ると考えている。この観点から、これらのイニシアティブに参加することが困難となり得る開発途上加盟国の懸念に対応するために、適当な柔軟性の要素を検討する必要があろう。
(4)我が国は、シアトルにおける閣僚会合までに、このアプローチの可能性を探ることについてコンセンサスを得ることはできても、特定のフォーミュラについて合意を得ることは困難であると考えている。更なる検討によって加盟国は様々なフォーミュラに対する理解を増すことができようし、我が国はこうした活動に喜んで参加する用意がある。
- 5.MFN義務の免除
- (1)MFN義務の免除は多国間貿易システムが依って立つ最も基本的な原則のひとつから例外的に乖離しているため、必要最小限の例外のみが認められるべきである。MFN義務の免除に関する現状はとても満足のいくものとは言い得ない。
(2)このため、加盟国は附属書で規定されている審議を可能な限り早期に、出来得ればシアトルにおける閣僚会合の前にでも、開始すべきである。こうした免除の減免については次期ラウンドの交渉を通じて実現されるものであるが、審議自体が交渉を促進するために有益であることは間違いない。
- 6.国内規制に関する規律
- (1)我が国は、GATS第6条4の範囲内で国内規制に関する分野横断的な規律を作成することを支持する。今後の作業は、ウルグァイ・ラウンドでの閣僚決定に基づく自由職業サービスに関する作業と並行して進められるべきである。また、我が国としては、具体的な作業を早急に要する特定の分野があるとは思えないが、分野別アプローチをとる可能性を排除すべきではないと考える。我々の現在の課題は、会計規律を作成した経験を踏まえながら、必要性テスト及び透明性の概念を精査することである。
(2)競争促進的な規律に関しては、現段階においては、各分野の異なる性格を考慮に入れつつ、基本電気通信合意の際の参照文書に記されているような規律をどの分野に適用できるかについて、更には、規律適用の際にどのような問題が生じるかについて、分析を進めることは重要である。各分野での競争の現況を評価することは、上記の意味で関連している。
- 7.GATSのルール(セーフガード、補助金及び政府調達)
加盟国は、GATSのルール、とりわけセーフガードに関する作業を継続すべきである。望ましさと実現可能性との問題については、依然議論は開かれていると考えられているが、我が国としては、明確な対象範囲の定義、正当化のための基準、及び諸手続に限定して議論すべきであると考える。我が国は、現段階では、分野別アプローチや約束表アプローチではなく、分野横断的アプローチに基づき作業を進めたいと考える。我が国は、想定問題に基づく議論への参加を含め、現実的なアプローチをとる用意がある。
8.開発途上国に対する特別かつ異なる取扱
GATS第4条、第19条及び第25条において明確に規定されているとおり、開発途上加盟国に対する特別かつ異なる取扱に関して、加盟国は次期交渉において特段の注意を払う必要がある。かかる観点から、我が国はGATS第19条2.に規定する柔軟性の概念を交渉指針に盛り込むことを提案したい。
9.スケジュール・ガイドライン及び分類
スケジュール・ガイドライン及び分類の改善に関しては、多くの加盟国がその必要性を強調しているところであり、我が国としても、かかる議論には積極的に参加していく所存であるが、他方、約束表の法的安定性及び信頼性の観点から、既存の約束表の構造の改訂は、現在の約束表から生じている問題を解決するために不可欠である場合に限られるべきであることに留意すべきである。加盟国の中には、交渉の有効性及び約束の透明性を高めるとの観点から、各分野の再分類を行うことを主張する国があるかもしれないが、その場合には、交渉のためだけの分類方法を編み出し、交渉結果は既存の約束表に記載することも考えられよう。
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