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日本提案(地域統合)

<提案>

 日本は、地域貿易協定が多角的貿易体制の優位を脅かすおそれについて他のWTO加盟国が示した懸念を共有しつつ、地域貿易協定の審査が進んでいない現状そのものが多角的貿易体制の優位に対する不信の現れとならないよう、ガット第24条及びGATS第5条の諸規定の明確化を行い、加えて審査手続きの強化を行うため、適当な交渉を行うことを提案する。

<背景>

  1. 地域統合の深化、拡大は著しく、ガット第24条が制定された当時には想定されていない規模や統合の度合いのものまでが出現している。
     「無差別原則」はWTOシステムを支える柱の一つであるが、この原則はWTOシステムへの信頼性のためにも適正に維持されなければならない。多角的貿易体制の優位はシンガポール閣僚宣言でも明確に再確認されており、地域貿易協定がWTOに整合的であることは、WTOシステムにとって必要不可欠の条件である。

  2. 地域貿易協定がWTOに整合的であるか否かの審査は、ガット時代からこれまで、ほぼ全ての審査について両論併記になっており、現在のWTOの地域貿易協定委員会(CRTA)における審査についても、当該審査は遅れており、WTO設立後現在までに一つの審査報告書も採択されていない状況である。
     CRTAは、昨年の一般理事会への報告書の中で、審査の遅れの原因は「地域貿易協定に関連する規則の各要素の解釈についてのコンセンサスの欠如」にあることを認めている。

  3. また、例えば、現行では地域貿易協定は設立時の審査を経れば後に同一内容について審査されることはなく、システミック・イシューにつき後日解決した場合でも、協定審査報告書で結論が出なかった部分(報告書の両論併記部分)について再審査の義務はないことになっていることも問題と考えられる。

  4. 我が国は、WTO加盟国が、地域貿易協定の審査が進んでおらず、従って、当該協定がWTO整合的か否かについての判断能力を喪失した状態であることを知りながら、それに対して何ら有効な手段をとらないという姿勢を示すとするならば、それは、「多角的貿易体制の優位」というガット・WTOの精神に対する大いなる脅威である、と考えざるを得ない。

  5. 「多角的貿易体制の優位」を実質的に保障するためには、地域貿易協定に対する審査を実効的に進める必要があり、現在CRTAで実施されている地域貿易協定に関連する規則の各要素の解釈に関する協議が停滞している状況に鑑みれば、次期交渉において、システミックな見地からの地域貿易協定関連規定の明確化及び審査手続きの強化を行うことが必要であると考える。

<Indicative list>

 上記背景に照らし、たとえば、次の点を次期交渉において取り上げることが必要と、とりあえず考えている。

(1)諸規定の明確化
(イ)ガット第24条5「その他の通商規則」の明確化
(ロ)ガット第24条8「その他の制限的通商規則」の明確化
(ハ)ガット第24条8「実質的に全ての貿易」の明確化
(ニ)GATS第5条1「相当な範囲の分野」の明確化
(ホ)GATS第5条1「実質的に全ての差別」の明確化

(2)審査手続きの強化
(イ)再審査手続の確立
(ロ)審査結果の実施確保
(ハ)サービス貿易に係る地域貿易協定に係る通報義務の設定



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