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<提案>
- 電子商取引がもたらし得る利益を十分に発現するためには、不必要な規制が課されることのない、自由な取引環境が整備されることが求められる。
- そのための国際的なルールの必要性を含む取引環境の整備にかかる諸問題については、これまでの作業の結果を踏まえ、国際連合国際商取引法委員会(UNCITRAL)及びOECD等における作業との関係を整理しつつ、産業界や専門家の意見を踏まえながら、一般理の下に議論を継続し、シアトル閣僚会議までに、次期交渉における扱いについて検討すべきである。
- その際、電子的に送信されるデジタルコンテンツについては、GATTに規定されるような、最恵国待遇、内国民待遇、数量制限の一般的廃止といった原則が適用できるよう検討することが適当である。
- なお、電子送信に対する関税不賦課のスタンドスティルに関しては、WTOにおいて法的・技術的な検討を行っている間、継続していくべきと考える。また、途上国が電子商取引に関連する市場へ、より円滑に参入していくために、先進国は、情報提供をはじめ、協力していくべきである。
- また、プライバシー保護、消費者保護等のための措置は、それら自体が正当な政策目的を持つものであるが、自由な取引環境整備との観点から、いかにしてこれら措置が不必要な規制とならないようにするかとの、バランスのとれたアプローチが重要である。
<背景>
- インターネット等情報技術の飛躍的な発展により、デジタル・ネットワーク上でモノやサービスの注文、決済、流通が行われる商取引形態(電子商取引)が爆発的に増加している。日本だけで見ても、98年には8.6兆円であったB to B取引(企業間取引)が、2003年には68兆円に増加するとの予測がある。また、B to C取引(企業・消費者間取引)についても、同時期に0.065兆円から3.16兆円へと実に48倍に増加するとの予測もある。このように巨大な市場可能性が秘められている。
- また、電子商取引の利点としては、主として以下の3点が挙げられている。
(1)生産者と消費者を直結することにより、流通等にかかる各種コストを削減したり、越境取引をより容易にする。
(2)事業者がアイデアさえあれば、生産コストを多く必要とせずに多大な利益を生むチャンスがある。
(3)販売対象はインターネット利用者であり、利用状況は世界的であることから、市場は国内に留まらず、世界的に拡大する。
- このように、電子商取引は、短期間に急速に成長しつつある分野であるが、それだけに、この取引に対して如何なる法令が適用されるかについては、各国において模索が続けられている状況にある。電子商取引がもたらし得る利益を十分に発現させるためには、各国が不必要な規制を課することなく、自由な取引環境を整備することが求められる。
- こういった各国の措置を規律するものとして位置づけられる国際的なルールについては、これまで、WTO、UNCITRAL及びOECD等において初歩的な検討が行われている。WTOにおいては、ジュネーブ閣僚宣言に基づき、物品理事会、サービス貿易理事会、TRIPs理事会、CTDにて、それぞれの側面から検討が行われており、一般理事会に報告が行われる予定であるが、統一的な観点から論点が整理されている状況にあるとは言えない。
- 例えば、デジタルコンテンツを電子的に提供する行為そのものに対して、GATSの規律が適用されることについて、日本は賛成するが、ソフトウエア等デジタルコンテンツ自体については、いかなる規律が適用されるのかは、必ずしも明確ではなく、引き続き検討が必要である。その場合であっても、GATTに規定されるような最恵国待遇、内国民待遇、数量制限の一般的廃止といった原則が適用されるよう、検討が行われることが適当と考えられる。
- 電子商取引における関税の取扱いについては、電子送信に係るWTO協定上の取扱い等法律的・技術的観点も含めた議論をする間、電子送信に関する関税を賦課しないとのスタンドスティル合意を維持することが望ましい。
- 更に、WTOにおける国際的なルール策定の必要性及びその範囲を検討するにあたっては、UNCITRAL、OECD等における検討との関係も整理する必要がある。
- したがって、WTOにおいては、物品理事会、サービス貿易理事会、TRIPs理事会及びCTDから一般理事会に対して7月中に提出されるであろう報告を踏まえて、シアトル閣僚会議までの間に、上記5.~7.を含む論点を整理し、電子商取引の取引環境の整備にかかる諸問題について、次期交渉における扱いについて結論を出すよう努力すべきである。
- また、途上国が電子商取引に関連する市場へ、より円滑に参入していくために、先進国は、情報提供をはじめ、協力していくべきである。
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