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日本提案(貿易円滑化)

<提案>

 貿易円滑化は、貿易の発展や世界経済の発展にとって重要であり、民間企業、政府機関、先進国、途上国等を問わず全ての貿易関係者にとってメリットがあるとの認識のもと、他の国際機関における作業との重複を避け、関連する貿易手続の各分野に与えられた目的の確保にも留意しつつ、WTOにおいても作業を行うべきである。
 貿易・経済のグローバル化の状況に鑑みれば、一部の先進国のみの貿易円滑化推進だけでなく、途上国を含むWTO加盟国全体としての貿易円滑化が重要である。したがって、途上国も参加できる方策を検討する必要がある。
 こうした観点から貿易円滑化に関しては、まず、途上国が困難を抱え最も関心を持っている既存のWTO協定の確実な実施について検討するとともに、実施の検討の中で明らかになった問題点を踏まえ、既存の関連WTO協定をいかに補足するかについて検討を行うべきである。また、途上国については技術協力が重要であり、技術協力を促進するための措置を検討すべきである。
 既存の協定によってカバーされていない分野については、作業の効率化、資源の有効活用の観点から、他の国際機関等で当該分野についてどのような検討が行われているか調査を行いつつ、議論を進めていく必要がある。その際には、すべてのWTO加盟国にとって実施可能な内容でなければならないことに留意し、また、紛争解決手続を適用して制裁措置を課することが適当かどうかについても十分な議論が必要である。
 なお本件の次期交渉における扱いについては、今後引き続き検討していく必要がある。

<背景>

1.既存の協定の確実な実施

 貿易円滑化を進める上においては、先進国だけではなく、途上国も参加することが重要であり、貿易円滑化に関連する種々の既存協定を途上国を含む全ての加盟国が確実に実施することが重要である。このため、単に協定の一般的な説明だけでなく、具体的な実施体制にまで立ち入った問題点の解明を行い、既存の協定を確実に実施するための専門家派遣、研修等の技術協力を実施するスキーム等、必要な措置をWTOにおいてどの様に確保するか検討を行うべきである。

2.既存協定の補足

 貿易円滑化のためには、貨物が国境に到着してから国内に引き取られるまでの一連の手続を全体として円滑化する必要がある。しかしながら、関連する既存のWTO協定には、手続について必ずしも十分な規定が設けられていないものがあり、また、各手続の間の調和・簡素化についても十分な規定は定められていない。
 例えば不服申し立て手続きについては、関税評価協定には定められているがTBT協定には定められていない。このような関連する各協定の貿易円滑化の面での異同を調査し、各協定においてどの様な点が不足しているかを特定した上で、WTOの各委員会や他の国際機関等における作業に留意し、作業の重複を避けつつ、貿易円滑化の観点から既存の関連する各協定をどの様に補足していくかについて検討を行うべきである。
 また、手続きの電子化、EDI化の果たす重要性を踏まえ、(1)手続を出来る限り電子化、EDI化し、また手続に必要な様式などについて可能な限り統一化することなどによって簡易化・効率化する、(2)それぞれの協定において規定されている手続との調整を取りつつ、電子化・EDI化を通じて申請窓口の実質的な一元化に努め、的確、適正で迅速な通関を実現させる、(3)必要な技術協力の枠組みの構築等の規定を盛り込むことも考えられるのではないか。

3.貿易円滑化のための技術協力

 貿易円滑化を図る上で、電子化の推進・人材育成等は、重要な要素である。しかしながら、途上国においては、電子化に係るインフラの不足や人材不足が貿易円滑化を推進する上での障害となっている側面がある。WTOとしては、UNCTAD等の関連する国際機関とも協力しつつ、貿易円滑化を図る上での技術的困難性に考慮し、開発途上国に対する電子化の推進・人材育成等のキャパシティー・ビルディングのための技術支援の方策について検討を行うべきである。

4.既存の協定によってカバーされていない分野

 既存の協定によってカバーされていない分野については、WTOにおける作業の効率化、WTOの資源の有効活用の観点から、他の国際機関等で当該分野について検討が行われているか調査を行いつつ、WTOにおける議論を進めていく必要がある。
 調査・議論の結果、必要がある場合には、他の国際機関等における協定の実施状況ないし検討状況、手続の性格、作業の重複の回避などに留意しつつ、他の国際機関等と十分な連携を図り、また整合性を維持した上で、WTOが果たすべき役割を検討する。
 なお、貿易円滑化に関する包括的なフレームワークの策定を検討する場合には、全てのWTO加盟国にとって実施可能な内容でなければならないことに留意し、また、途上国においてキャパシティーの問題からこのフレームワークの実施に困難を生じた場合に、既存の協定によってカバーされていない分野において、紛争解決手続を適用して制裁措置を課することが適当かどうかなどについても今後十分な議論が必要である。

5.透明性

 透明性の観点からは、貿易業者が貿易に関係する各種の手続に係る要求事項を容易に知ることができなければならない。このため、各加盟国の貿易に関係する各種の手続に係る要求事項についての透明で容易にアクセスできるデータ・ベースの作成を検討することを提案する。      



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