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日本提案(WTO次期交渉の作業計画)

 第2回閣僚会議における閣僚宣言パラ10にいう次期交渉の作業計画に関し、現時点での我が国の考え方を踏まえ、以下のとおり提案する。なお、今後の議論の進捗等を踏まえ、第3フェーズにおいても追加的な提案又は意見を提出する権利を留保する。

<提案>

1.一般原則(general principles)

 次期交渉は以下の原則を踏まえたものとすることが必要である。

(1)途上国を含む各加盟国の様々な関心に応え、バランスのとれた結果を達成し得る包括交渉とする。

(2)一括受諾方式(シングル・アンダーテーキング)による。

(3)3年程度の期間で交渉を妥結させる。

2.交渉対象(scope)及び目指すべき点

 各加盟国の関心に応え得る広範な分野を対象とすることについては、多くの国が支持している。先進国・途上国双方の関心に応え、かつ、経済のグローバル化の中でのWTOへの期待に応えるとの観点の下、下記の諸点を踏まえ、交渉対象を決定することが有益。なお、現時点では特定分野を交渉対象からアプリオリに排除するものではない。

(1)実施・ルール
 実施・ルールの問題には、(a)人的・組織的能力の問題に起因するもの(すなわち、技術支援の問題)と、(b)既存協定の規定の明確性に関連するもの、及び(c)既存協定の修正を要するものがある。(b)及び(c)については、次期交渉の対象として取り上げることが適当なものがある。

(2)農業
 いずれの国にとっても公平でかつ公正な貿易ルールの確立を図り、各国の農業が共存できるような国際規律とすることが重要。この場合、食料安全保障、その他の農業の多面的機能への十分な配慮を行うとともに、輸出入国間の権利義務のバランスが確保されるべき。

(3)サービス
 各加盟国の関心を踏まえた、漸進的な自由化を進めていくことが重要。

(4)鉱工業品、林・水産物
 鉱工業品関税について、一層の関税率の引き下げ、譲許率の向上等を目指して交渉を行うべき。林・水産物については、環境問題、有限天然資源の持続的利用の確保等にも適切に配慮したアプローチが重要。

(5)経済のグローバル化へのWTOとしての対応
 経済のグローバル化の中、WTOとしても各国の期待に応える必要がある。そのような観点から、既存のルールがない一定の分野についても、各加盟国の関心を踏まえ、次期交渉で取り上げることが適当。

3.交渉体制(structure)

(1)次期交渉は、閣僚会議にて統括(supervise)されるべき。閣僚会議は、次期交渉を立ち上げ、中間的なレビューを行い、交渉を妥結させる役割を担う。

(2)閣僚会議の下での交渉体制については、いくつかのオプションが考えられるが、交渉の効率的進行、途上国の負担軽減等の観点を踏まえ、今後検討していくべき。

4.時間的枠組み(time frame)

(1)次期交渉は、3年程度で妥結させるものとする。

(2)2001年頃に第4回閣僚会議を開催し、それまでの交渉結果をレビューし、残り1年乃至1年半の交渉のためのガイダンスを与える。

(3)2002年末頃に第5回閣僚会議を開催し、交渉を妥結させる。

5.その他考慮すべき事項

(1)途上国の関心への適切な考慮
 途上国による多角的貿易体制への積極的参画は、途上国自身の開発にとっても、また、多角的貿易体制全体の利益にとっても、欠くことのできない(indispensable)重要な要素である。次期交渉は、先進国、途上国がともにメリットを享受できるよう、各途上国の状況やニーズに応じて適切な考慮が払われるべき。特に、多くの途上国がアンチダンピングの規律の明確化・強化の必要性を主張していることに注意をひきたい。

(2)貿易と環境
 次期交渉において、環境に対する必要かつ適切な考慮が払われる必要がある。
 もとより、貿易と環境の問題は、WTOにおいて扱われる問題の一側面であり、バランスのとれたアプローチが必要。

(3)交渉体制との関係
 これら「途上国の関心への適切な考慮」及び「貿易と環境」の論点は、必要に応じ適切な考慮が払われるべきものと考えられる。特に林・水産物については、我が国として既に環境問題、有限天然資源の持続的利用の確保等を考慮し、他の非農産品とは区別した検討グループを設立する旨の提案を行っている。

<背景>

1.次期交渉が、全ての加盟国にとってメリットのあるバランスのとれた結果を達成するとともに、経済のグローバル化や、これまでの経験を踏まえつつ、新たな課題に応え得るものでなければならない。

2.そのような使命を負う次期交渉は、包括交渉とすべきである。なぜなら、包括交渉とすることによって、初めて、全ての加盟国の様々な関心に応えることができるからである。また、交渉成果が、各国の利益のバランスを達成したものになるためには、一括受諾方式(シングル・アンダーテーキング)によることが適当であり、さらに、3年程度の短期間で交渉を妥結させることが適当である。そのためにも、交渉対象についての考え方はバランスのとれたものとしていく必要がある。



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