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経済

WTO新ラウンドに関する次官級非公式会合
(概要ととりあえずの評価)

2001年3月27日

 27日、ジュネーブ郊外で、日・EU共催により20カ国・地域から次官級の代表を集めて行われた標記会合の概要ととりあえずの評価は以下のとおり。

1.概要

(1) 本件会合は、1月下旬の日本主催フランクフルト会合のフォローアップとして我が方が企画していたものと、EU委員会が別途計画していた会合を統合して、野上外務審議官とカールEU委貿易総局長を共同議長とし、主要なWTOメンバー20カ国・地域(注)からの参加を得て行われた。

(注) オーストラリア、ブラジル、カナダ、チリ、エジプト、EU、香港、ハンガリー、インド、日本、韓国、マレイシア、メキシコ、モロッコ、NZ、シンガポール、スイス、タイ、トルコ、WTO事務局

(2)午前のセッションでは、実施問題を中心に、それとの関係で市場アクセスとAD等のWTOルールを取り上げ、新ラウンド立ち上げの一つの障害となっている実施問題について、第4回閣僚会議に向けてどのように取り組んでいくか、率直な意見交換が行われた。一部の途上国は、実施問題の進展なくして新ラウンドの立ち上げはあり得ないとのこれまでの強硬な立場を改めて主張したが、その一方で、他の途上国を含む多くの参加国は、実施問題の重要性については同意しながらも、より実際的なアプローチを探求すべきであるとの姿勢を示した。
 議論の中で、第4回閣僚会議まで、あるいは会議の時点で決定すべき事項と新ラウンド交渉の中で取り上げるべき事項に分けて何ができるか中身を検討すべしといった考えや、実施問題を市場アクセスに係る事項とWTOルールに係る事項等に分類して、更にキャパシティ・ビルディングなども加味しながら整理すべしといった考えが示され、特に意見の収斂はみられなかったものの、何らかの建設的な方法でこの問題に取り組もうとの方向性では大方の意見の一致はあったと思われる。

(3)午後のセッションでは、投資、競争、貿易円滑化等の新しい分野と、貿易と環境の問題が取り上げられ、これらを新ラウンドの中でどう扱うべきかについて意見が交わされた。特に、投資と競争に関しては、最終的に合意に加わらないことを許容するプルリ・アプローチの可能性についても議論された。各国は基本的にはこれら問題に関するこれまでの立場を改めて表明するにとどまったが、環境を除いては、それぞれの分野ごとにフレンズ会合が組織され、主要な問題点について関係国間で相当議論が行われてきていることも反映し、実務的な意見交換となった。その中で、日本が中心となって進めている投資に関するフレンズの活動について、いくつかの参加国から積極的な評価があった。環境については、現行のWTOの規律を見直すべきかどうかという基本的な問題点についてかなりの意見の隔たりがあったが、EUは貿易と環境問題を取り上げない新ラウンドはあり得ないとの強い立場を維持していた。

2.とりあえずの評価

(1)日・EUの呼びかけに応じて、インドを始め多くの国から本国ハイレベルの参加が得られたことは、WTO新ラウンド立ち上げに向けて(あるいは少なくとも第4回閣僚会議の成功に向けて)、主要国が真剣に対応しようとしていることの証左であり、そのこと自体、今後の作業を進めていく上で好ましい進展といえよう。

(2)実施については、この問題を克服する具体的な展望は今回の会議でも得られなかったが、少なくとも何らかの実際的なアプローチを探求していくべしとの方向性は確認できたので、今回の議論をふまえ、一般理事会議長を中心にジュネーブにおいて更に協議を続けることが必要と思われる。

(3)投資、競争等の新分野については、これまで行ってきたフレンズ会合等を引き続き実施して、コンセンサスを広げていく努力を行うことが重要である。

(4)フランクフルト会合と同様、本国のハイレベルの参加による今回の非公式会合は、新ラウンド立ち上げに向けたモーメンタムを維持し、ジュネーブにおける作業に弾みをつけるという意味で重要であり、そのような会合を日・EU共催で行ったことは、日本の新ラウンド立ち上げに向けた積極的な姿勢を示すとともに、日・EUの建設的な協力関係をより強固にする上でも、効果的な試みであったと思われる。

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