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WTO物品理事会公式会合(2002年5月23~24日)への
1994年GATT第10条に関する日本貢献ペーパー(日本語訳)


I.序

 GATT第10条の規定が定める原則として、透明性、予見可能性、公平性の要素があると考えられる。これらの要素を向上させることは、貿易や投資の促進につながり、ひいては、経済の発展に資する。

 これらの要素を向上させることによる利益は、先進国・途上国、輸出国・輸入国、官・民、大企業・中小企業双方に経済的メリットをもたらすことになる。

 シンガポール閣僚宣言のマンデートで行われてきた物品理での作業に持ち寄られた各国の経験に照らせば、この分野での改善に必要となる政府のコストは、政府を含む貿易の参加者の得るベネフィットに比べて小さく、また、WTOの場で取組むことで、世界的規模での向上を図れば、ベネフィットをさらに増加させることができる。

 ドーハ閣僚会議により、物品理は、GATTの5条、8条及び10条の関連する側面を検討し、適切な場合には、明確化、さらには改善することとされている。GATT第10条の3つの要素である透明性、予見可能性、公平性を世界的規模で向上させることの利益を考えるとき、以下のような措置が有用である。


II.GATT10条の原則を向上させるのに有用と考えられる点
  1. 法令で定めるべき事項の明確化

     貿易業者にとって、必要となる手続が法令に定められていないとしたら、いかなる手続が行われるか予見することは困難になる。現在のGATT第10条は、貿易関連の法令を公表することを求めているが、いかなる内容が法令とされなければならないかについて規定していない。この点を明確にしていくことは、透明性、予見可能性を実効あるものとする。

     また、政府にとっても、的確な貿易政策の執行の観点から、貿易関連手続を法令とし、これを担当部局に周知・徹底させれば、効果的な貿易政策の執行が可能となる。

  2. 法令の公表の方法の明確化

     輸出入を行う場合、貿易業者はまず自国や相手国の法令や手続を知ることが必要となるが、関連する法令へのアクセスが容易な方法でない場合、多大な労力が必要になる。特に調査能力にハンディのある中小企業や情報のアクセスに困難のある国の貿易業者にとっては不利になる。 法令の公表については既に第10条で規定されているが、公表の具体的方法を規定することは、本規定を強化し、透明性・予見可能性を向上させることになる。

  3. 運用細則の策定・公表

     一律な運用を確保するためには、運用の細則を策定し、公表することが必要になる。かかる細則がなければ、運用は、それぞれの担当官の恣意にまかされることになり、GATT第10条の定めるような一律の公平かつ合理的な方法で実施することは困難である。これは、政府にとっても、自身の定めた法令の確実な実施のために必要な措置である。

  4. 照会所の設置、事前教示制度の整備

     情報へのアクセスを容易とするため、民間が必要な情報を入手できる照会所を設置したり、適切な場合には、事前教示制度を整備していくことは、透明性、予見可能性を向上させる。

  5. 不服審査請求制度の整備

     GATT第10条の定めるような不服審査制度を実際に動くようにするためには、制度を整備し、実際の運用に必要な法令を整備する必要がある。

III.留意点
  1. 途上国が以上のような点の改善を図っていく上で、適切な技術支援が効果的であろうと考えられる。ドーハ閣僚宣言でも言及されているように技術支援が重要である。途上国の中でも特にLDCが、開放的でルールに基づく多角的貿易体制の恩恵を受けることに十分な配慮がなされることが必要である。

  2. 税関手続の分野におけるWCOのように貿易円滑化に資する専門的な知見を有する国際機関が存在する。これらの国際機関の作業に留意することが、この分野における技術支援の確保や、不要な重複を避けて、効率的に作業を進める点で重要である。


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