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経済


貿易と環境に関する交渉
(日本提案の提出)

平成14年11月1日

 去る10月10-11日、ジュネーブで開催された貿易と環境委員会特別会合(CTESS)において、この分野の交渉事項の一つである「WTOルールと多国間環境協定(MEA)上の特定の貿易義務(STO)との関係」(ドーハ閣僚宣言パラグラフ31(i))に関し、日本としての提案文書を提出しました。(英文はこちら)その概要は次の通りです。

(1) 趣旨・目的

 貿易と環境の分野において、異なる国際法体系がそれぞれに増大してきていることを背景として、両法体系の整合性を図ることが求められています。この点に鑑み、今後益々、国際法の分野で大きな役割を担っていくであろうMEAsとWTO協定との衝突を回避し、もって法的安定性及び予見可能性を高めようというのが、この提案文書の目的です。

(2) 概要

 MEAsにはいろいろな形で「貿易義務」が規定されていますが、この文書では、ラウンドの交渉事項として「特定性」が示されていることに着目して、4つの類型に分類しました。すなわち、

(1) MEAs上に特定の貿易措置をとることが義務的なものとして明らかに示されているもの。
(2) MEAs上に、結果の義務が明らかに示されており、貿易措置が、MEAs上の義務を満たすために加盟国がとることができる措置が列挙されているもの。
(3) 結果の義務がMEAs上に明示されているが、その義務のためにとられる貿易措置はMEAs上特定されておらず、MEAsが、締約国にその義務を満たすためにとる措置を決めることを委ねているもの。
(4) 貿易措置がMEAs上に言及されておらず、しかし、締約国がMEAsの枠組みの下で行われる関連した決定に従って、貿易措置をとることができるもの。


 そして、第1分類のMEAsにはっきりと貿易義務が明記されているものについてはWTO協定に整合的である、と整理しました。これは、MEAsに明確に規定されている貿易義務は、あやふやな形で規定されているものに比べて、偽装された形で貿易義務が用いられる可能性が少なく、また、MEAsの締約国間においては、WTO上の義務を負いながら同時に当該貿易義務を受け入れるとのより明確な認識があったと考えられるからです。
 第2分類については、第1分類ほど特定性が高いとは言えないが、ある程度の特定性が認められることから、濫用を阻止できるように、これまでGATTやWTOの紛争解決手続の中で示されてきた実体的要件(貿易措置が科学的根拠によっていることや環境目的に合理的に関係していること、及び貿易措置の程度や範囲が環境目的と比例的であること)を課すのであれば、WTO協定に適合的であると「推定」してはどうかと提案しています。
 このほか、第3、第4の分類については、特定性が高くないため、「特定の」貿易義務を対象とする今回の交渉の範囲外と整理しました。これらに分類されるMEAsの各関連規定については個々の事例毎に判断していくこととし、今後、貿易関係の人々と、環境関係の人々が、より緊密に意見交換を行う手続を整備すれば、お互いの規定に対する理解が深まり、その結果、法的安定性を高めていくことができると考えます。

 このように、ドーハ閣僚宣言で付与された交渉事項としての範囲は決して広いものではありませんが、異なる法体系が「共存」できるように、可能なところから「共通の認識」を築いていくことが交渉を成功に導いていく第一歩と思われます。


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