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近年急増しているアンチ・ダンピング措置の濫用に対して重大な懸念を有している。AD措置の増加の主要な原因はその濫用であり、かつ、企業にとってハラスメントとなるような事例も多数見られ、実際、紛争処理の対象となったAD措置のうちのほとんどはWTO不整合とされている。ADの濫用は、保護主義のための安易な道具(handy tool for protectionism)となっている感がある。
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ADはドーハ開発アジェンダの他の交渉分野とも密接な関連を有するものである。AD措置の濫用は、過去の交渉により撤廃された貿易障壁にとって代わるものとなっている。また、AD調査は、被調査企業に負担を課すのみならず、貿易に対する冷却効果 (chilling effects)を及ぼすものでもあり問題である。さらにAD措置は、特に基盤の脆弱な途上国の輸出産業に甚大な影響を与えるなど、途上国の経済発展を阻害していることも問題。
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このような認識から、ドーハ・マンデートに基づき、アンチ・ダンピング措置の濫用防止のために、その規律の強化・明確化を行うことは、極めて重要であり、AD交渉の中心的目的である。AD交渉において、実質的進展を得ることは、ドーハ開発アジェンダの成功のための鍵である。 |