UNCTAD XI--サンパウロ精神(要旨)
2004年6月18日採択
※原文(英文)は、UNCTADホームページに掲載。
2004年6月13日から18日までブラジルのサンパウロで開かれたUNCTADXIに集まったメンバー国は、以下の宣言に合意。
- UNCTADは1964年の創設以来、世界経済の変化に対応しようとする途上国の努力を支え、貿易と開発の関係を推進する場を提供してきた。
- 我々は、ミレニアム宣言などにおいて設定された開発目標を達成するために全力を挙げる。UNCTADは目標達成に向けて重要な役割を担っている。
- 開発は、引き続き世界の中心的な課題。先進国と途上国の格差は多くの面で拡大。グローバル化により新たな機会が開かれているが、その結果は均等には実現していない。
- 大部分の途上国、特にアフリカ及び後発開発途上国(LDC)は、経済の活性化や、大量の失業者の生産部門への取り込みといった大きな課題に直面。国際貿易を通じた貧困緩和、一次産品価格の問題への取り組みが必要。
- グローバル化の進展に伴い、貿易と開発の関係を扱うUNCTADの役割は重要性を増している。
- 我々は、貧困と飢餓の撲滅のための闘いにコミットしている。国内及び国際レベルにおいて、特に貿易及び資金確保の分野において新たな財政的なイニシアティヴを含め、様々な施策を採らなければならない。
- 我々は、後発開発途上国(LDC)に対する国際的な資金、市場アクセス、技術支援を増大させ、効果的に活用していく。
- ドーハで合意された野心の水準を十分に反映させた、早期かつ成功裏の交渉終結を視野に、ドーハ作業計画の下で多角的貿易交渉を加速するべきである。ドーハ作業計画は、多角的貿易交渉の中心に開発を初めて据えており、UNCTADのマンデートと一致し、これを強化するもの。全てのWTO加盟国は、貿易交渉の結果が開発に関わる懸念に応えるものとすることにコミットしている。また、途上国、特にLDC、及び、移行経済国のWTO加盟が円滑化されるべきである。
- 国家及び国際レベルの取り組み、並びに、財政、金融、貿易システムの整合性がグローバルなガバナンスにとり重要との認識の下、国際的な経済制度が開発ニーズに応えるように包括的な取り組みが必要。特に開発のための資金フローの改善に留意すべし。
- 将来の新たな機会にも焦点をあてることが必要。情報格差(デジタル・ディバイド)の解消、政府・民間の間の協力による排他的でない情報社会の構築にコミットする。
- 途上国や移行経済国を多角的貿易システムに統合していくためには、革新・成長分野に向けて発展段階を一歩づつ上っていくための国内政策が必要。そのために、各国毎の開発戦略において最適なバランスを実現するために、様々な選択肢を模索し、必要な政策余地(space for policy)を維持するべきである。
- 開発を進める過程においては、国内でコンセンサスを形成する上で、全ての社会的、政治的勢力の参加が必要。政府、民間部門、市民社会、国際機関といった全ての関係者が各国において良い統治に寄与することが重要。開発政策においては、市場メカニズム及び国家の果たす役割がいずれも重要。
- 未だ限られた数ではあるが、南(途上国)において世界の成長源が作られてきている。これら南における活力ある新たな成長センターの出現を容易にするために、新たに出現しつつある経済を他の途上国と統合していくことが重要。この目標は、とりわけ、「途上国間の貿易特恵に関する包括的システム(GSTP)」を一層包括的なものとすることにより達成できる。
- 地域及び地域間の取り組みが重要性を増している。UNCTADは途上国のそのような取り組みへの参加を支援する能力を一層培うべきである。
- 今次UNCTADXIにおける決定は、前回のUNCTADXにおけるバンコク行動計画とともに、我々がUNCTADを支えていくにあたっての基礎となる。
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