支援委員会の設置に関する協定
支援委員会の設置に関する協定
この協定の締約国は、
アゼルバイジャン共和国、アルメニア共和国、ベラルーシ共和国、グルジア共和国、カザフスタン共和国、キルギスタン共和国、モルドヴァ共和国、ロシア連邦、タジキスタン共和国、トルクメニスタン、ウズベキスタン共和国及びウクライナ(以下「受益諸国」と総称する。)において進められている市場経済への移行を目指す改革の重要性を認識し、
このような改革を支援するための適当な機関を設置することが必要であることを認識して、次のとおり協定した。
第一条 1 受益諸国における市場経済への移行を目指す改革を支援するための活動を行う機関として支援委員会(以下「委員会」という。)と称する委員会を設置する。
2 委員会は、在ロシア連邦日本国外交使節団の長及び日本国外務省の職員であって日本国外務大臣の選定する一人の者(以下「日本国政府の代表者」と総称する。)、並びに受益諸国を構成する国であってこの協定の締約国であるものそれぞれの政府の一人の代表者により構成する。
3 2の規定にかかわらず、委員会は、次条に掲げる任務のうち、受益諸国を構成する国であってこの協定の締約国であるもののうち専ら特定の一又は二以上の国に係る任務を行う場合には、日本国政府の代表者及び当該一又は二以上の国の政府の代表者により当該任務を行うことができる。
4 委員会の事務局は、日本国に置く。
第二条 委員会は、この協定の規定に従うことを条件として、委員会の設置の目的を達成するため、次のことを行う。
(a) 受益諸国における食糧事情、医療事情等に関する情報及び意見の交換を行うこと、並びに受益諸国における市場経済への移行を目指す改革の進展及びこのような改革に対する支援に係るこの協定の締約国(受益諸国を構成する国に限る。)の要請につき検討を行うこと。
(b) (a)にいう情報及び意見の交換並びに検討に基づき、受益諸国における市場経済への移行を目指す改革に対する支援の優先分野につき検討を行うこと。
(c) この協定の下で実施された支援の進展を評価すること。
(d) 政府、政府間機関、非政府機関又は個人から資金の拠出又は寄附を受けること。
(e) 委員会の活動のために必要な支払を事務局に指示すること。
(f) 事務局の職員を雇用すること。
(g) 委員会の設置の目的に照らして委員会が適当と認めるその他の活動を行うこと。
第三条 1 日本国政府は、日本国の関係法令及び利用可能な資金の範囲内で、委員会に対し、自らが決定する額の資金を拠出する。この拠出金、委員会が第二条(d)の規定に従って受けることのある前記の拠出金以外の拠出金及び寄附並びにこれらから生ずる利子(以下「委員会資金」と総称する。)は、適切に、かつ、専ら、受益諸国における市場経済への移行を目指す改革を支援するために緊急人道支援のために、使用される。
2 日本国政府は、1の規定従い、委員会に対し、百二十五億円(一二、五〇〇、〇〇〇、〇〇〇円)の額の資金を拠出する。この拠出金及びこの拠出金から生ずる利子は、原則として、受益諸国を構成する国であってこの協定の締約国であるものに対する緊急人道支援を行うことを目的として、次に掲げる具体的使途に使用される。
(a) 食糧の購入
(b) 医薬品及び医療機器の購入
(c) 緊急人道支援の実施のために必要な機材、車両等の購入
(d) (a)から(c)までに掲げる活動の実施に伴い必要となる役務の購入
(e) 委員会及び事務局の運営に当たって必要となる経費(第六条にいう経費を含む。)の支払
第四条 日本国政府は、委員会による第二条(a)にいう要請についての検討及び同条(b)にいう優先分野についての検討を考慮に入れて、委員会による委員会資金の使用につき、受益諸国間及び具体的使途間の配分並びに具体的支援の実施方法を決定し、委員会に通報する。委員会は、前記の通報を受けたときは、第二条(e)の規定に従って事務局に必要な支払を指示するものとする。
第五条 1 委員会は、第二条(d)の規定に従って資金の拠出又は寄附を受けること及び委員会の活動のために必要な支払を行うことを目的とする委員会名義の勘定を日本国政府によって指定される日本国の外国為替公認銀行に開設する。
2 委員会資金の管理(1にいう勘定の管理を含む。)は事務局が行う。
第六条 委員会の構成員は、報酬なしで任務を行う。ただし、委員会は、委員会の構成員の委員会の会合への出席及び委員会が準備する他の公務の遂行に当たって必要な経費を支払うことができる。
第七条 委員会は、委員会資金の使用につき、適当な方法で日本国政府に通報する。
第八条 1 この協定は、日本国及び受益諸国を構成する国による署名のために開放しておく。
2 この協定は、少なくとも日本国を含む三の国がこれに署名した日に効力を生ずる。
第九条 この協定は、前条2の規定に従って効力を生じた後は、受益諸国を構成する国であって前条1の規定に従って署名を行わなかったものによる加入のために開放しておく。加入書は、日本国政府に寄託する。この協定に加入する国については、その加入書が寄託された日に効力を生ずる。
第十条 いずれの締約国も、この協定の改正を提案することができる。その改正は、すべての締約国が受諾した日に効力を生ずる。
第十一条 1 締約国は、寄託者に対して書面による通告を行うことにより、この協定を廃棄することができる。
2 廃棄は、寄託者が1の通告を受領した日の後三十日を経過した日に効力を生ずる。
第十二条 日本国政府は、この協定の寄託者とする。同政府は、この協定の認証謄本を締約国に送付する。
以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの協定に署名した。
千九百九十三年一月十二日にモスクワで、ひとしく正文である日本語及びロシア語により本書一通を作成した。
アゼルバイジャン共和国政府のために ヒクメト・アブドゥラギム・オグルィ・ガジザッデ
アルメニア共和国政府のために フェリクス・オガネソヴィチ・マミコニヤン
ベラルーシ共和国政府のために イヴァン・アリビノヴィチ・ケニク
グルジア共和国政府のために ピョートル・ペトロヴィチ・チヘイゼ
カザフスタン共和国政府のために ヴァレリー・バタエヴィチ・テミルバエフ
キルギスタン共和国政府のために アクマトベク・カスィムクロヴィチ・ナナーエフ
モルドヴァ共和国政府のために ニコライ・ヴァシリエヴィチ・ヴィルク
ロシア連邦政府のために アレクサンドル・アレクサンドロヴィチ・ジートニコフ
タジキスタン共和国政府のために ジャムシェド・ヒロロヴィチ・カリーモフ
トルクメニスタン政府のために ニヤズクルィチ・ヌルクルィチェフ
ウズベキスタン共和国政府のために ユスフ・ネグマトヴィチ・アブドゥラエフ
ウクライナ政府のために ウラジミル・ペトロヴィチ・クルィジャノフスキー
日本国政府のために 枝村純郎