万国郵便条約
万国郵便条約
  万国郵便連合加盟国の政府の全権委員である下名は、千九百六十四年七月十日にウィーンで作成された万国郵便連合憲章第二十二条3の規定にかんがみ、合意により、かつ、同憲章第二十五条4の規定の適用があることを条件として、国際郵便業務に適用される規則をこの条約で定めた。
第一部 国際郵便業務に適用される共通の規則
第一章 総則
第一条 普遍的な郵便業務
1 加盟国は、連合の単一の郵便境域という概念を強固にするため、すべての利用者が、その質を重視した郵便の役務を、加盟国の領域のすべての地点において、恒久的に、かつ、合理的な価格の下で受けることができるような普遍的な郵便業務の提供を受ける権利を享有することを確保する。
2 1に定める目的のため、加盟国は、自国の郵便に関する法令の範囲内で又は他の通常の手段により、自国民のニーズ及び国内事情を考慮して、関係する郵便業務の範囲を定めるとともに、その質を重視し及び合理的な価格を設定することについての条件を定める。
3 加盟国は、普遍的な郵便業務の提供を任務とする者が、このような郵便業務の提供を可能とし及び質に係る基準を尊重することを確保する。
第二条 継越しの自由
1 万国郵便連合憲章第一条に規定する継越しの自由の原則により、郵政庁は、他の郵政庁から引き渡される閉袋及び開袋通常郵便物を、いかなる場合にも、自国内で差し出される郵便物について利用する最も速達の線路によって、かつ、最も安全な方法によって送達する義務を負う。
2 死滅しやすい若しくは変敗しやすい生物学上の材料又は放射性物質を包有する書状の交換に参加しない加盟国は、自国の領域を経由するこれらの書状の開袋継越しを認めない権能を有する。通過国である加盟国は、通常郵便物(書状、郵便葉書及び点字郵便物を除く。)であって自国内における発行又は流布の条件を定める法令に抵触するものについても、同様の権能を有する。
3 陸路又は海路によって送達される小包郵便物についての継越しの自由は、小包郵便業務に参加する国の領域においてのみ保障される。
4 航空小包についての継越しの自由は、連合の全境域において保障される。ただし、小包郵便業務に参加しない加盟国は、航空小包の平面路による送達を確保することを強制されない。
5 加盟国が継越しの自由に関する規定を遵守しない場合には、他の加盟国は、当該加盟国との間の郵便業務を廃止する権利を有する。
第三条 郵便物の所属
1 郵便物は、名あて国の法令に基づいて差し押さえられた場合を除くほか、権利者に配達される時まで差出人に所属する。
第四条 新規業務の創設
1 郵政庁は、合意により、連合の文書に明文の定めのない新規業務を創設することができる。新規業務に関する料金は、関係各郵政庁が当該新規業務の運用に係る費用を参酌して定める。
第五条 貨幣単位
1 万国郵便連合憲章第七条に定められており、かつ、この条約その他の連合の文書において用いられる貨幣単位は、特別引出権(SDR)とする。
第六条 郵便切手
1 連合の文書に基づく料金納付用の郵便切手は、郵政庁のみが発行する。通常郵便に関する施行規則に定める郵便料金納付の印影、料金計器による印影及び印刷機その他の押印機器による印影は、郵政庁が認める場合にのみ使用することができる。
2 郵便切手の主題及び意匠は、万国郵便連合憲章前文及び連合の機関が行う決定の精神に従う。
第七条 料金
1 各種の国際郵便業務及び特別業務に関する料金は、この条約及びその施行規則に定める原則に従って、郵政庁が定める。これらの料金は、原則として、これらの業務の提供に必要な費用と関係を有するものでなければならない。
2 適用する料金(連合の文書においてガイドラインの対象として定められているものを含む。)は、同様の性質(種類、数量、処理時間等)を有する郵便物につき内国制度において適用する料金を下回ってはならない。
3 郵政庁は、次の場合には、連合の文書に定めるすべての料金(ガイドラインの対象として定められている料金ではないものを含む。)を超える料金を適用することができる。
3.1 内国制度における同種の業務に適用する料金が連合の文書に定める料金を超える場合
3.2 自己の業務の運用の費用を負担するために必要である場合その他合理的な理由がある場合
4 2に規定する料金の最低限度額以上であることを条件として、郵政庁は、その定めた料金を、自国内で差し出される通常郵便物について、自国の法令の定めるところにより引き下げて適用する権能を有する。郵政庁は、特に、郵便物を多量に差し出す利用者に対して優遇料金を認めることができる。
5 連合の文書に規定する料金以外の郵便料金は、種類のいかんを問わず、利用者から徴収してはならない。
6 連合の文書に別段の定めがある場合を除くほか、郵政庁は、徴収した料金を収得する。
第八条 郵便料金の免除
1 原則
1.1 郵便料金の免除は、この条約に明文の定めのある場合に限って行う。
2 郵便業務
2.1 郵政庁又は郵便局が差し出す郵便業務の事務用通常郵便物(航空郵便物、平面路郵便物又は平面路郵便物の航空路による運送(SAL)を利用した郵便物)については、郵便料金を免除する。
2.2 次の郵便業務の事務用通常郵便物については、航空増料金を除くほか、郵便料金を免除する。
2.2.1 万国郵便連合の機関と限定連合の機関との間で交換されるもの
2.2.2 万国郵便連合の機関の間又は限定連合の機関の間で交換されるもの
2.2.3 万国郵便連合の機関又は限定連合の機関が郵政庁又は郵便局にあてて差し出すもの
2.3 次の者の間で交換される郵便業務の事務用小包については、郵便料金を免除する。
2.3.1 郵政庁の間
2.3.2 郵政庁と国際事務局との間
2.3.3 加盟国の郵便局の間
2.3.4 郵便局と郵政庁との間
2.4 2.3の郵便業務の事務用小包のうち航空小包については、国際事務局が差し出すものを除くほか、航空増料金の支払を要しない。
3 捕虜及び抑留された文民
3.1 通常郵便物、小包郵便物及び郵便送金業務に係る郵便物であって、捕虜が直接又は通常郵便に関する施行規則に定める機関を通じて発受するものについては、郵便料金(航空増料金を除く。)を免除する。中立国内に収容され、かつ、抑留されている交戦者は、この3.1の規定の適用上、捕虜とみなす。
3.2 3.1の規定は、通常郵便物、小包郵便物及び郵便送金業務に係る郵便物であって、直接又は通常郵便に関する施行規則に定める機関を通じ、戦時における文民の保護に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約に規定する抑留された文民にあてて他国から発出されるもの又はこれらの者が差し出すものについても適用する。
3.3 通常郵便に関する施行規則に定める機関も、3.1及び3.2に規定する者に関する通常郵便物、小包郵便物及び郵便送金業務に係る郵便物であって、これらの機関が直接又は仲介者として発受するものについては、郵便料金の免除の利益を享受する。
3.4 3.1から3.3までの規定により郵便料金を免除される小包郵便物の差出しは、重量五キログラムを超えないものに限り認められる。内容品を分割することのできない小包郵便物及び捕虜に分配するために収容所又は捕虜の代表者にあてた小包郵便物については、この最大限度を重量十キログラムとする。
4 点字郵便物
4.1 点字郵便物については、航空増料金を除くほか、郵便料金を免除する。
第九条 郵便業務の保障
1 郵政庁は、郵便業務に対する利用者の信頼を維持し及び高め、もって市場における競争上の優位を得るために、郵便業務のすべての段階における業務の保障に関する活動の戦略を採用し及び実行する。
2 1の戦略は、次のことを目標とする。
2.1 郵便業務の実施における質を全体的に改善すること。
2.2 郵便業務の保障の重要性についての職員の認識を一層向上させること。
2.3 郵便業務の保障に関する部局を創設し又は強化すること。
2.4 郵便業務の実施上及び保障上の情報並びにこれらの分野に関して行われた調査についての情報の普及を時宜に応じて確保すること。
2.5 世界における郵便業務の質を改善し及び郵便業務の保障を強化するため、特定の法律、規則及び措置につき立法機関に対して提案することを奨励すること。
第二部  通常郵便及び小包郵便に適用される規則
第一章  業務の提供
第十条  基礎業務
1 郵政庁は、通常郵便物の引受け、取扱い、運送及び配達を確保する。郵政庁は、また、この条約の定めるところにより、又は自己が差し立てる小包の場合においては二国間の取決めを行った後に利用者に一層有利な他の方法により、小包郵便物について当該通常郵便物と同様の業務を提供する。
2 通常郵便物は、次の3及び4に規定するシステムのいずれかにより分類される。郵政庁は、自己が差し立てる郵便物に適用するシステムを選択することができる。
3 第一のシステムについては、郵便物の取扱速度によって郵便物を次のとおり分ける。
3.1 優先郵便物(最も速達の線路(航空路又は平面路)によって優先的に運送される郵便物)。重量制限は、原則二キログラム(五キログラムまでの引受けを認める郵政庁の間においては五キログラム)とし、また、書籍及び冊子を包有する郵便物(この引受けは、任意の業務とする。)については五キログラム、点字郵便物については七キログラムとする。
3.2 非優先郵便物(差出人の選択により優先郵便物に比較し低い料金が適用されかつ配達に長い時間を要する郵便物)。重量制限は、3.1に規定するものと同一とする。
4 第二のシステムについては、郵便物の内容品によって郵便物を次のとおり分ける。
4.1 書状及び郵便葉書(これらを「LC」という。)。重量制限は、二キログラム(五キログラムまでの引受けを認める郵政庁の間においては五キログラム)とする。
4.2 印刷物、点字郵便物及び小形包装物(これらを「AO」という。)。重量制限は、小形包装物については二キログラム(五キログラムまでの引受けを認める郵政庁の間においては五キログラム)、印刷物については五キログラム、また、点字郵便物については七キログラムとする。
5 同一名あて地の同一受取人にあてた新聞紙、定期刊行物、書籍その他の印刷物を包有する特別の郵袋は、3及び4に規定するシステムにおいて、「M郵袋」という。重量制限は、三十キログラムとする。
6 一個の重量が二十キログラムを超える小包の交換を行うか否かは、任意とする。ただし、一個の重量の最大限度は、五十キログラムを超えてはならない。
7 小包は、原則として、できる限り速やかに、かつ、名あて国の法令の定めるところにより受取人に配達する。小包が住所に配達されない場合には、不可能でない限り、受取人に対し遅滞なく小包の到着を通知する。
8 その郵政庁が小包の運送を行っていない国は、運送企業にこの条約の規定を実施させる権能を有する。
このような国は、小包郵便業務を、運送企業によって運送が行われる地方から発出し又は当該地方にあてた小包に限定することができる。郵政庁は、この条約及び小包郵便に関する施行規則の実施について、責任を負う。
第十一条 普通料金及び航空増料金
1 差出郵政庁は、連合の全境域における通常郵便物の運送に係る普通料金を定める。当該料金には、配達業務が名あて国において実施されているときは、郵便物の受取人の住所への配達の費用を含む。
2 優先通常郵便物に適用される料金には、迅速な送達のための追加の費用を含む。
3 通常郵便物の内容品に基づくシステムを適用する郵政庁は、次の権能を有する。
3.1 航空通常郵便物について増料金を徴収すること。
3.2 航空通常郵便物よりも低い優先度で航空路によって運送される平面路通常郵便物(SAL通常郵便物)について増料金を徴収すること。当該増料金は、航空通常郵便物について徴収する増料金よりも低いものとする。
3.3 航空通常郵便物及びSAL通常郵便物について適用する料金として、自己の郵便業務の費用及び航空運送について支払う費用を考慮に入れて併合料金を定めること。
4 郵政庁は、航空小包について徴収する航空増料金を定める。
5 航空増料金は、航空運送のための費用と関係を有するものとし、また、利用される送達線路のいかんを問わず、少なくとも、各名あて国の全領域について均一とする。郵政庁は、航空通常郵便物に適用する航空増料金の計算に当たり、公衆用の用紙が添付される場合にはその重量を算入することができる。
6 差出郵政庁は、次のものを包有する通常郵便物に関し、
6.1 自国内で発行される新聞紙及び定期刊行物については、原則として、五十パーセントを限度としてこれらが属する郵便物の種類について適用される料金を引き下げる権能を有する。
6.2 書籍、冊子、楽譜及び地図であってこれらの表紙又は扉に掲げるもの以外に広告類を有しないものについては、6.1の規定による引下げの率と同率の引下げを適用する権能を有する。
7 差出郵政庁は、定形外郵便物については、通常郵便に関する施行規則に定める定形郵便物について適用する料金と異なる料金を適用することができる。
8 6の規定に基づく料金の引下げは、航空路によって運送される通常郵便物についても適用する。ただし、航空運送のための費用に充てられる料金の部分については、いかなる引下げも認められない。
第十二条 特別料金
1 重量五百グラム未満の小形包装物については、受取人からいかなる配達料も徴収してはならない。ただし、内国制度において重量五百グラムを超える小形包装物について配達料を徴収する場合には、外国から到着する小形包装物について同額の料金を徴収することができる。
2 郵政庁は、次の料金について内国制度における料金と同額の料金を徴収することができる。
2.1 通常郵便物の締切時刻後の差出しの料金。この料金は、差出人から徴収する。
2.2 窓口通常取扱時間外の差出しの料金。この料金は、差出人から徴収する。
2.3 差出人の住所からの取集めの料金。この料金は、差出人から徴収する。
2.4 通常郵便物の窓口通常取扱時間外の交付の料金。この料金は、受取人から徴収する。
2.5 留置料。この料金は、受取人から徴収する。小包の差出人への返送又は転送の場合には、徴収額は、小包郵便に関する施行規則に定める額を超えることができない。
2.6 重量五百グラムを超える通常郵便物及び小包郵便物であって受取人が所定の期間内に引き取らなかったものに対する保管料。この料金は、点字郵便物については、徴収しない。当該小包郵便物については、配達を行う郵政庁が当該期間を超えてこれを保管した郵政庁のために徴収する。当該小包郵便物の差出人への返送又は転送の場合には、徴収額は、小包郵便に関する施行規則に定める額を超えることができない。
3 小包が受取人の住所に通常の配達により配達される場合には、受取人からいかなる配達料も徴収してはならない。小包が受取人の住所に通常の配達では配達されない場合には、到着通知書は、無料で配達される。この場合において、到着通知書への回答として受取人の住所への配達が選択されるときは、配達料を受取人から徴収することができる。この料金は、内国業務についての料金と同額とする。
4 不可抗力による危険を負担する郵政庁は、この条約の施行規則に定める額を最高限度とする不可抗力危険負担料を徴収することができる。
第十三条 書留郵便物
1 通常郵便物は、書留として発送することができる。
2 書留郵便物の料金は、普通料金及び通常郵便に関する施行規則に定める額を最高限度とする定額の書留料から成るものとし、前納される。
3 郵政庁は、特別の安全措置が必要である場合には、2に規定する料金のほかに、自国の法令に定める特別の料金を差出人又は受取人から徴収することができる。
第十四条 配達記録郵便物
1 通常郵便物は、配達記録郵便業務を行う郵政庁の間においては、当該業務によって交換することができる。
2 配達記録郵便物の料金は、普通料金及び差出郵政庁が定める配達記録料から成るものとし、前納される。ただし、配達記録料の額は、書留料よりも低い額とする。
第十五条 保険付郵便物
1 優先郵便物、非優先郵便物及び書状であって有価証券又は有価の書類若しくは物品を包有するもの並びに小包は、差出人の表記する保険金額に従って内容品を保険に付して交換することができる。その交換は、これらの郵便物を相互に又は一方的に受領することについて同意を表明した郵政庁の間においてのみ行われる。
2 保険金額は、原則として無制限とする。郵政庁は、保険金額を一定の限度額以下に制限する権能を有する。この額は、この条約の施行規則に定める額を下回ることができない。もっとも、内国業務について採用される限度額が書留郵便物又は重量一キログラムの小包の亡失について定める賠償金額と同額以上である場合には、当該限度額を適用することができる。これらの限度額については、これをSDRにより表示した上で、連合の加盟国に通報する。
3 保険付郵便物の料金は、次の料金から成るものとし、前納される。
3.1 通常郵便物については、普通料金、第十三条2に規定する定額の書留料及び保険料
3.2 小包郵便物については、主要料金、発送料及び保険料。もっとも、発送料の徴収は、任意とする。該当する場合には、主要料金に航空増料金及び特別業務の料金を加算する。発送料は、通常郵便物の書留料の額を超えてはならない。 
4 郵政庁は、定額の書留料に代えて、自国の内国業務についての料金に対応する料金又は例外的に通常郵便に関する施行規則に定める額を最高限度とする料金を徴収することができる。
5 保険料の最高限度額については、この条約の施行規則に定める。
5.1 通常郵便物の保険料については、名あて国のいかんを問わず、また、不可抗力による危険を負担する国においても、同額の料金とする。
5.2 小包郵便物の不可抗力危険負担料については、その額と保険料の額との合計額が保険料の最高限度額を超えないように、これを定める。
6 郵政庁は、特別の安全措置が必要である場合には、3から5までに規定する料金のほかに、自国の法令に定める特別の料金を差出人又は受取人かち徴収することができる。
7 郵政庁は、この条に定める条件以外の条件に従って保険付郵便物に係る業務を自己の利用者に提供する権利を有する。
第十六条 代金引換郵便物
1 一定の通常郵便物及び小包郵便物は、代金引換郵便物として差し出すことができる。代金引換郵便物の交換については、差出郵政庁と名あて郵政庁との間の事前の取決めを必要とする。
第十七条 速達郵便物
1 郵政庁が速達の業務を行っている国を名あて国とする郵便物は、差出人の請求に応じ、配達局に到着した後できる限り速やかに特別の配達人が住所に配達する。郵政庁は、速達の業務を優先郵便物、航空通常郵便物又は二の郵政庁の間において平面路のみが利用されている場合には平面路LC郵便物に限定する権利を有する。
2 通常郵便物について複数の送達の経路を有する郵政庁は、速達郵便物を到着交換局に到着後内国の最も速達の経路で送達し、かつ、その後できる限り速やかに取り扱う。
3 速達郵便物に対しては、普通料金のほかに、普通の優先郵便物若しくは非優先郵便物の料金の額又は場合に応じ第一重量段階の普通の書状の料金の額を最低限度とし、かつ、この条約の施行規則に定める額を最高限度とする料金を課する。この料金は、完全に前納される。小包に関しては、小包の配達に代えて到着通知書のみの配達による場合であっても、この3の規定による。
4 速達による配達が特別の負担を与える場合には、内国制度における同種の郵便物に関する規定に基づく補充料金を徴収することができる。小包に関しては、小包が転送され又は差出人に返送される場合にも、小包郵便に関する施行規則に定める額を最高限度として、このような補充料金を請求することができる。
5 受取人は、名あて郵政庁の規則により認められる場合には、自己あての郵便物を到着の後直ちに速達によって配達するよう配達局にさ請求することができる。この場合において、名あて郵政庁は、内国業務について適用する料金を配達の際に徴収することができる。
第十八条 受取通知
1 書留郵便物、配達記録郵便物、小包又は保険付郵便物の差出人は、差出しの際にこの条約の施行規則に定める額を最高限度とする料金を納付した上で、受取通知の請求を行うことができる。受取通知は、最も速達の線路(航空路又は平面路)によって差出人に返送される。
2 小包については、郵政庁は、内国制度において定めるところに従い、受取通知の業務を保険付小包に限定することができる。
第十九条 受取人本人への手交
1 書留郵便物、配達記録郵便物及び保険付郵便物は、合意した郵政庁の間の関係においては、差出人の請求に応じて受取人本人に手交する。郵政庁は、受取人本人への手交の取扱いを受取通知が添付されたこれらの郵便物についてのみ行うことを取り決めることができる。差出人は、当該請求を行う場合には、通常郵便に関する施行規則に定める額を最高限度とする受取人本人への手交の料金を納付する。
第二十条 料金・謀金別納郵便物
1 同意を表明した郵政庁の間の関係においては、差出人は、差出局にあらかじめ申し出ることにより、通常郵便物及び小包郵便物の配達の際に課される料金及び課金の全額を負担することができる。差出人は、通常郵便物については、差出しの後においても、受取人に配達されるまでの間は、料金・課金別納で配達されることを請求することができる。
2 差出人は、名あて局が請求する金額を納付することを約束するものとし、必要があるときは、暫定的な金額を納付する。
3 差出郵政庁は、この条約の施行規則に定める額を最高限度とする料金を差出人から徴収し、これを自国内で提供する業務の報酬として収得する。
4 1の請求が通常郵便物の差出しの後に行われる場合には、差出郵政庁は、各請求につき通常郵便に関する施行規則に定める額を最高限度とする追加料金を徴収する。
5 名あて郵政庁は、この条約の施行規則に定める額を最高限度とする手数料を課することができる。この手数料は、通関料とは別のものとし、名あて郵政庁のために差出人から徴収する。
6 郵政庁は、料金・課金別納郵便物の業務を書留郵便物及び保険付通常郵便物についてのみ行う権利を有する。
第二十一条 国際郵便料金受取人払業務
1 郵政庁は、相互間で、国際郵便料金受取人払業務(CCRI)に参加することを取り決めることができる。もっとも、同業務の返信に係る業務については、すべての郵政庁がこれを確保する義務を負う。
第二十二条 国際返信切手券
1 郵政庁は、国際事務局の発行する国際返信切手券を販売する権能及び自国の法令に従ってその販売を制限する権能を有する。
2 国際返信切手券の価額は、通常郵便に関する施行規則に定める額とする。郵政庁が設定する販売価格は、これを下回ることができない。
3 国際返信切手券は、各加盟国において、外国にあてる普通の優先郵便物又は普通の航空書状の最低料金を表示する郵便切手及び、引換国の国内法令上認められない場合を除くほか、切手付書簡類又は郵便料金納付の印影と引き換えることができる。
4 郵政庁は、また、国際返信切手券とその引換えによって料金を納付する郵便物とを同時に差し出すことを要求する権能を有する。
第二十三条 ぜい弱な小包及び取扱い困難な小包
1 「ぜい弱な小包」とは、壊れやすく、かつ、取扱いに特に注意しなければならない物品を包有する小包をいう。
2 「取扱い困難な小包」とは、次の小包をいう。
2.1 大きさが小包郵便に関する施行規則に定める制限又は郵政庁が相互間で定める制限を超える小包
2.2 形態上又は構造上の理由により、他の小包とともに荷積みすることが容易でない小包及び特別の注意を必要とする小包
3 ぜい弱な小包及び取扱い困難な小包に対しては、小包郵便に関する施行規則に定める額を最高限度とする料金を追加料金として課するものとし、ぜい弱な小包であって取扱い困難な小包でもあるものについては、一回に限り追加料金を課するものとする。ただし、これらの小包に係る航空増料金を増額することは認められない。
4 ぜい弱な小包及び取扱い困難な小包の交換は、これらの小包を引き受ける郵政庁の間においてのみ行われる。
第二十四条 小包のための集合業務
1 郵政庁は、相互間で、一の差出人から外国にあてて多量に差し出される小包のための任意の集合業務(コンサインメント)に参加することを取り決めることができる。
2 小包のための集合業務は、できる限り、小包郵便に関する施行規則に定める意匠により識別する。
3 小包のための集合業務の詳細は、郵便業務理事会が定める規定に基づき、差出郵政庁と名あて郵政庁との間で定める。
第二十五条 引き受けられない郵便物及び禁制
1 この条約及びその施行規則に定める条件を満たさない郵便物は、引き受けない。
2 次の物品は、この条約の施行規則に定める場合を除くほか、いずれの種類の郵便物にも入れてはならない。
2.1 麻薬及び向精神薬
2.2 爆発性又は発火性の物質その他危険性のある物質及び放射性物質
2.2.1 次のものは、この禁制に抵触しない。
2.2.1.1 第四十四条に規定する生物学上の材料であって通常郵便物により差し出されるもの
2.2.1.2 次条に規定する放射性物質であって通常郵便物又は小包郵便物により差し出されるもの
2.3 わいせつな又は不道徳な物品
2.4 生きた動物。ただし、3に定める場合を除く。
2.5 名あて国において輸入又は流布が禁止されている物品
2.6 その性質上又はその包装のために、取扱者に危害を及ぼし又は他の郵便物若しくは郵便設備を汚染し若しくは損傷するおそれのある物品
2.7 現実のかつ対人的な通信の性質を有する書類であって、その差出人及び受取人(これらの者の同居人を含む。)以外の者の間で交換されるもの
3 次のことについては、これを行うことができる。
3.1 保険付郵便物を除く通常郵便物に次のものを入れること。
3.1.1 みつばち、水ひる及び蚕
3.1.2 害虫に寄生し及び害虫を捕食する虫であって、害虫駆除の用に供しかつ公認の施設の間で交換するもの
3.2 小包に生きた動物を入れること。ただし、生きた動物の郵便による運送が関係国の郵便規則により認められる場合に限る。
4 次のものは、小包郵便物に入れてはならない。
4.1 現実のかつ対人的な通信の性質を有する書類であって、その差出人と受取人(これらの者の同居人を含む。)との間で交換されるもの
4.2 すべての種類の通常郵便物であって、その差出人及び受取人(これらの者の同居人を含む。)以外の者の間で交換されるもの
5 硬貨、銀行券、紙幣、各種の持参人払有価証券、旅行小切手、加工した又は加工していない白金、金又は銀、珠玉、宝石その他の貴重品は、次の郵便物に入れてはならない。
5.1 保険付通常郵便物以外の通常郵便物。ただし、差出国及び名あて国の法令上認められる場合には、これらの物品を封筒に納め封かんの上、書留郵便物として発送することができる。
5.2 保険付小包以外の小包であって保険付小包業務を行う二国の間で交換されるもの。さらに、郵政庁は、保険付小包であるか否かを問わず、自国の領域から発送され若しくは自国の領域に到着する小包又は自国の領域を経由して開袋で継ぎ越される小包に金の地金を入れることを禁止し、及びこのような小包の内容品を一定の実価以下のものに限定する権能を有する。
6 印刷物及び点字郵便物については、次のことを行ってはならない。
6.1 現実のかつ対人的な通信の性質を有する記載をすること及びこのような性質を有する書類を包有すること。
6.2 消印した若しくは消印していない郵便切手若しくは料金納付用証票又は有価の証券を包有すること。
7 誤って引き受けられた郵便物の取扱いについては、この条約の施行規則に定める。ただし、2.1から2.3までに規定する物品を包有する郵便物は、いかなる場合にも、名あて地に送達せず、受取人に配達せず、また、差出元に返送しない。
第二十六条 放射性物質
1 この条約の施行規則の定めるところにより包装された放射性物質を包有する郵便物の差出しは、当該郵便物を相互に又は一方的に受領することについて同意を表明した郵政庁の間における交換のための差出しに限って認められる。
2 放射性物質は、通常郵便物によって差し出されるときは、優先郵便物又は書状の料金が適用されるものとし、また、書留とされるものとする。
3 放射性物質を包有する通常郵便物又は小包郵便物は、最も速達の線路(通常の場合には、所要の航空増料金の納付を条件として、航空路)によって送達される。
4 放射性物質は、正式に認められた差出人のみが差し出すことができる。
第二十七条 転送
1 郵便物は、受取人がその住所を変更した場合には、この条約の施行規則に定める条件により、直ちに受取人に転送する。
2 もっとも、次の場合には、郵便物は、転送しない。
2.1 差出人により名あて国において通用する言語によって転送禁止の記載がされている場合
2.2 受取人の住所に加えて、「又は居住者」の記載がされている場合
3 内国業務について転送請求料を徴収する郵政庁は、国際業務についてもこれと同額の料金を徴収することができる。
4 通常郵便物の一国から他国への転送については、通常郵便に関する施行規則に別段の定めがある場合を除くほか、追加料金を徴収しない。もっとも、内国業務について転送料を徴収する郵政庁は、自己の業務内で転送される国際業務の通常郵便物についても、これと同額の料金を徴収することができる。
第二十八条 配達不能の郵便物
1 郵政庁は、何らかの理由により受取人に配達することのできなかった郵便物を返送することを確保する。
2 郵便物の保管期間については、この条約の施行規則に定める。
3 配達不能の小包又は職権により保留される小包については、小包郵便に関する施行規則に定める取扱いの範囲内において差出人が与える指示に従う。
4 受取人に配達することのできなかった小包については、差出人が放棄した場合には、名あて郵政庁が自国の法令の定めるところにより取り扱う。この場合において、差出人及び名あて郵政庁以外の郵政庁は、当該小包に課される郵便料金及び関税その他の課金を支払う義務を負わない。
5 小包の内容品は、損壊又は腐敗の差し迫ったおそれがある場合にのみ、予告なしにかつ司法上の手続を経ることなく直ちに売却することができる。その売却は、権利者のために行われ、また、往路又は復路の途中においても行われる。売却が不可能である場合には、損壊し又は腐敗した物品は、棄却する。
6 差出国に返送された配達不能の通常郵便物については、通常郵便に関する施行規則に別段の定めがある場合を除くほか、追加料金を徴収しない。もっとも、内国業務について返送料を徴収する郵政庁は、自国に返送される国際業務の郵便物についても、これと同額の料金を徴収することができる。
7 6の規定にかかわらず、郵政庁は、自国の領域に居住する利用者により外国において差し出された通常郵便物を差出人に返送するために受領したときは、当該通常郵便物が当該郵政庁において差し出された場合に徴収されたであろう郵便料金を超えない郵便物一通ごとの取扱料金を当該差出人から徴収することができる。
7.1 7の規定の適用上、「差出人」とは、一又は二以上の返送先としてその名称が記載されている個人又は団体をいう。
第二十九条 取戻し及び差出人の請求によるあて名の変更又は訂正
1 通常郵便物の差出人は、通常郵便に関する施行規則に定める条件に従って、郵便物を取り戻し、又はそのあて名を変更し若しくは訂正することができる。
2 郵政庁は、自国の法令上認められる場合には、他の郵政庁の業務に差し出された通常郵便物に関する取戻しの請求又はあて名の変更若しくは訂正の請求を受理する。
3 差出人は、各請求につき、この条約の施行規則に定める額を最高限度とする特別料金を納付する。
4 小包の差出人は、小包の返送又は小包のあて名の変更を請求することができる。差出人は、新たな運送について必要とされる金額の納付を保証しなければならない。
5 もっとも、郵政庁は、内国制度において認めていない場合には、4の請求を認めない権能を有する。
第三十条 調査請求
1 調査請求は、郵便物の差出しの日の翌日から起算して六箇月以内に限り認められる。
2 郵政庁は、他の郵政庁の業務に差し出された郵便物に関する調査請求を受理する義務を負う。
3 普通小包と保険付小包とは、それぞれ別個の調査請求の対象とする。
4 調査請求の料金は、無料とする。ただし、EMS業務による調査請求の送達を請求された場合には、追加の費用は、原則として請求者が負担する。
第三十一条 税関検査
1 差出国の郵政庁及び名あて国の郵政庁は、自国の法令の定めるところにより、郵便物を税関検査に付することができる。
2 税関検査に付される郵便物に対しては、この条約の施行規則に定める額を最高限度とする通関料を郵便料金として課することができる。この通関料は、関税その他同様の性質を有する課金を課された郵便物の税関への交付及び通関についてのみ徴収される。
第三十二条 通関代行料
1 利用者のために郵便物の通関手続を代行することについて許可を得た郵政庁は、業務の実際の費用に基づく料金を利用者から徴収することができる。
第三十三条 関税その他の課金
1 郵政庁は、関税その他のすべての課金を郵便物の差出人又は受取人から徴収することができる。
第二章 責任
第三十四条 郵政庁の責任及び賠償金
1 総則
1.1 次条に規定する場合を除くほか、郵政庁は、次の事項について責任を負う。
1.1.1 書留郵便物、普通小包及び保険付郵便物に関しては、これらの郵便物の亡失、盗取又は損傷
1.1.2 配達記録郵便物に関しては、その亡失
1.2 書留郵便物、普通小包若しくは保険付郵便物の亡失又はこれらの郵便物の内容品の全部の盗取若しくは全面的損傷が不可抗力によるものであるために賠償金が支払われない場合には、差出人は、納付した料金(保険料を除く。)の還付を請求する権利を有する。
2 書留郵便物
2.1 差出人は、書留郵便物の亡失又はその内容品の全部の盗取若しくは全面的損傷の場合には、通常郵便に関する施行規則に定める額の賠償金を請求する権利を有する。差出人が同施行規則に定める額を下回る額を請求する場合には、郵政庁は、当該下回る額を支払い、これに基づき他の関係郵政庁から償還を受ける権能を有する。
2.2 差出人は、書留郵便物の内容品の部分的盗取又は部分的損傷の場合には、原則として盗取又は損傷の実額に相当する賠償金を請求する権利を有する。賠償金の額は、いかなる場合にも、通常郵便に関する施行規則に定める亡失又は内容品の全部の盗取若しくは全面的損傷の場合の額を超えることができない。間接の損害及び実現されなかった利益については、考慮しない。
3 配達記録郵便物
3.1 差出人は、配達記録郵便物の亡失又はその内容品の全部の盗取若しくは全面的損傷の場合には、納付した料金の還付を請求する権利を有する。
4 普通小包
4.1 差出人は、普通小包の亡失又はその内容品の全部の盗取若しくは全面的損傷の場合には、小包郵便に関する施行規則に定める額の賠償金を請求する権利を有する。
4.2 差出人は、普通小包の内容品の部分的盗取又は部分的損傷の場合には、原則として盗取又は損傷の実額に相当する賠償金を請求する権利を有する。賠償金の額は、いかなる場合にも、小包郵便に関する施行規則に定める亡失又は内容品の全部の盗取若しくは全面的損傷の場合の額を超えることができない。 間接の損害及び実現されなかった利益については、考慮しない。
4.3 郵政庁は、小包の重量のいかんを問わず小包一個ごとに、小包郵便に関する施行規則に定める額を相互に適用することを取り決めることができる。
5 保険付郵便物
5.1 差出人は、保険付郵便物の亡失又はその内容品の全部の盗取若しくは全面的損傷の場合には、原則として保険金額のSDRによる額に相当する賠償金を請求する権利を有する。
5.2 差出人は、保険付郵便物の内容品の部分的盗取又は部分的損傷の場合には、原則として盗取又は損傷の実額に相当する賠償金を請求する権利を有する。賠償金の額は、いかなる場合にも、保険金額のSDRによる額を超えることができない。間接の損害及び実現されなかった利益については、考慮しない。
6 4及び5の規定が適用される場合には、賠償金は、郵便物の運送が引き受けられた場所及び時期における当該郵便物の内容品と同種の物品のSDRに換算した時価を基礎として計算する。時価がない場合には、賠償金は、当該場所及び時期において評価される当該同種の物品の通常の価値を基礎として計算する。
7 書留郵便物、普通小包若しくは保険付郵便物の亡失又はこれらの郵便物の内容品の全部の盗取若しくは全面的損傷について賠償金が支払われる場合には、差出人又は場合により受取人は、納付した料金及び課金(書留料及び保険料を除く。)の還付を請求する権利を有する。受取人が不良状態を理由として受取を拒絶した書留郵便物、普通小包及び保険付郵便物に関しても、当該不良状態が郵便業務によって生じ、当該郵便業務が当該不良状態について責任を負う場合には、同様とする。
8 内容品が盗取され又は損傷した書留郵便物、普通小包又は保険付郵便物が配達された後は、2、4及び5の規定にかかわらず、受取人が賠償金を請求する権利を有する。
9 差出郵政庁は、自国の差出人に対し、書留郵便物及び普通小包について自国の法令に定める賠償金を、その額が2.1及び4.1に規定する賠償金の額を下回らないことを条件として、支払う権能を有する。名あて郵政庁の受取人に対する賠償金の支払についても、同様とする。ただし、次のことについては、2.1及び4.1に規定する額を適用する。
9.1 責任郵政庁に対する求償
9.2 差出人の権利の受取人のための放棄又は受取人の権利の差出人のための放棄
第三十五条 郵政庁の免責
1 郵政庁は、書留郵便物、配達記録郵便物、小包又は保険付郵便物であって、これらと同種の郵便物について自己の規則に定める条件に従って配達したものについては、責任を負わない。ただし、次の場合には、責任を負う。
1.1 内容品の盗取又は損傷が配達の前に又は配達の際に確認された場合
1.2 郵政庁の規則により認められる場合において、内容品が盗取され又は損傷した郵便物の配達を受ける際に受取人(差出元への返送の場合にあっては差出人)が留保を付したとき。
1.3 郵政庁の規則により認められる場合において、書留郵便物が郵便受箱に配達された後、受取人が当該書留郵便物を受領していないことを調査請求の際に申し出たとき。
1.4 受取人(差出元への返送の場合にあっては差出人)が、小包又は保険付郵便物を正規に受領した場合においても、当該小包又は保険付郵便物を配達した郵政庁に対し損害を発見した旨を遅滞なく申し出て、内容品の盗取又は損傷が配達の後に生じたものでないことを立証したとき。
2 郵政庁は、次の場合には、責任を負わない。
2.1 第十二条4の規定が適用される場合を除くほか、不可抗力による場合
2.2 郵政庁の責任に関して別段の証拠がなく、かつ、郵政庁が不可抗力による業務書類の損傷のために郵便物について説明することができない場合
2.3 損害が差出人の過失若しくは怠慢又は内容品の性質から生じたものである場合
2.4 郵便物が第二十五条の禁制に抵触する内容品を包有しているために権限のある当局によって没収され又は棄却された場合
2.5 郵便物が名あて国の法令に基づいて差し押さえられた場合にその旨を名あて国の郵政庁が通報したとき。
2.6 保険付郵便物につき、内容品の実価を超える保険金額の詐欺表記がされている場合
2.7 差出人が郵便物の差出しの日の翌日から起算して六箇月以内に調査請求を行わなかった場合
2.8 捕虜又は抑留された文民が発受する小包である場合
3 郵政庁は、税関への申告の内容(形式のいかんを問わない。)について、及び税関検査に付される郵便物の検査の際に税関の行った決定について、いかなる責任も負わない。
第三十六条 差出人の責任
1 郵便物の差出人は、運送を認められない物品の差出しにより、又は郵便物の引受条件を遵守しなかったことにより、他の郵便物に与えたすべての損害について責任を負う。
2 差出人は、郵政庁が負う責任の限度まで責任を負う。
3 差出人は、差出局が1に規定する損害を与えた郵便物を引き受けた場合においても、責任う。
4 差出人は、郵政庁又は運送事業者に過失又は怠慢があった場合には、責任を負わない。
第三十七条 賠償金の支払
1 賠償金の支払並びに料金及び課金の還付の義務は、差出郵政庁又は場合により名あて郵政庁が負う。もっとも、責任郵政庁に対する求償権は、害されない。
2 差出人は賠償金を請求する権利を受取人のために放棄することができるものとし、受取人は自己の権利を差出人のために放棄することができる。差出人又は受取人は、自国の法令上認められる場合には、第三者に対し賠償金の受取を認めることができる。
3 差出郵政庁又は場合により名あて郵政庁は、運送に参加した郵政庁が正規に照会を受けた後二箇月(調査請求の受理を確認することのできるファクシミリその他の電子的手段によって問題が通報された場合にあっては三十日)を経過する時までに、当該問題を最終的に解決しないとき又は次のいずれかのことについて通報しなかったときは、権利者に対し、当該運送に参加した郵政庁に代わって賠償を行うことができる。
3.1 損害が不可抗力によるものであると思われること。
3.2 郵便物がその内容品の性質のために権限のある当局によって保留され、没収され若しくは棄却され、又は名あて国の法令に基づいて差し押さえられたこと。
4 差出郵政庁又は場合により名あて郵政庁は、調査請求用紙の記載が不十分なことにより追加の情報を得るために返送が必要である場合であっても、3に規定する期間を経過したときは、権利者に対し賠償を行うことができる。
5 代金引換郵便物に関する調査請求については、差出郵政庁は、名あて郵政庁が正規に照会を受けた後二箇月を経過する時までに問題を最終的に解決しない場合には、権利者に対し、当該名あて郵政庁に代わって引換金の額まで賠償を行うことができる。
第三十八条 差出人又は受取人からの賠償金の回収
1 亡失したものとさきに認められた書留郵便物、小包若しくは保険付郵便物(このような郵便物の内容品の一部を含む。)が賠償金の支払の後に発見された場合には、差出人又は場合により受取人に対し、当該郵便物は三箇月間保管され、支払われた賠償金の返付と引換えに当該郵便物を受け取ることができる旨を通知し、同時に、当該郵便物を交付すべき者について照会する。差出人が受取を拒絶し又は所定の期間内に回答を行わなかった場合にあっては受取人に対し、受取人が受取を拒絶し又は所定の期間内に回答を行わなかった場合にあっては差出人に対して同様の措置をとる。
2 差出人及び受取人が郵便物を受け取ることを放棄した場合には、当該郵便物は、損害を負担した郵政庁の所有に帰する。
3 保険付郵便物が賠償金の支払の後に発見され、かつ、その内容品が支払われた賠償金の額よりも低い価額のものであると認定された場合には、差出人又は場合により受取人は、当該保険付郵便物の交付を受けることと引換えに当該支払われた賠償金を返付する。ただし、このことにより保険金額の詐欺表記に対する措置をとることが妨げられるものではない。
第三十九条 郵便物の交換
1 郵政庁は、この条約の施行規則に基づき、一又は二以上の郵政庁の仲介により、閉袋又は開袋郵便物を交換することができる。
2 郵政庁は、特別の事情により業務の全部又は一部の実施を一時的に停止しなければならなくなった場合には、直ちに、関係郵政庁に通報する。
3 通過国の郵政庁が関与することなく郵便物の継越運送が行われる場合には、当該郵政庁は、事前に通報されるものとする。当該郵政庁は、このような継越しに関しては、責任を負わない。
4 郵政庁は、平面路郵便物の閉袋を、航空郵便物よりも低い優先度で、航空路により発送する権能を有する。ただし、当該閉袋を自国の空港において受領する郵政庁の同意がある場合に限る。
第四十条 軍隊との閉袋の交換
1 通常郵便物の閉袋は、次の者の間で、他国の陸運業務、海運業務又は航空業務の仲介によって交換することができる。
1.1 加盟国の郵便局と国際連合の用に供される軍隊の指揮官との間
1.2 国際連合の用に供される軍隊の指揮官の間
1.3 加盟国の郵便局と国外にある当該加盟国の艦隊、航空隊、軍艦又は軍用機の指揮官との間
1.4 同一国の艦隊、航空隊、軍艦又は軍用機の指揮官の間
2 1の閉袋に納める通常郵便物は、閉袋があてられ若しくは閉袋を差し立てる軍隊の構成員又は閉袋があてられ若しくは閉袋を差し立てる軍艦若しくは軍用機の将校若しくは乗組員が発受するものに限られる。当該通常郵便物に適用する料金及び送達の条件については、軍隊を提供した国又は軍艦若しくは軍用機の所属している国の郵政庁が自己の規則に従って定める。
3 軍隊を提供した国又は軍艦若しくは軍用機の所属している国の郵政庁は、特別の合意がない限り、関係郵政庁に対し、閉袋の継越料、到着料及び航空運送料を支払う義務を負う。
第四十一条 郵政庁間における責任の決定
1 郵便物を異議なく受け取り、かつ、すべての所定の調査に係る資料を受領した郵政庁は、当該郵便物を受取人に配達し又は他の郵政庁に正規に送達したことを立証することができない場合には、反証が提示される時まで責任を負う。
2 亡失、盗取又は損傷が運送中に生じ、その事実がいずれの国の領域又は業務において生じたかを確定することができない場合には、関係郵政庁は、平等に損害を分担する。もっとも、普通小包の場合において、重量一キログラムの一の小包につき第三十四条4.1の規定に従って計算する額を超えない額の賠償金については、仲介郵政庁を除き、差出郵政庁及び名あて郵政庁が平等にこれを分担する。
3 保険付郵便物に関しては、郵政庁は、いかなる場合にも、自己の採用する保険金額の最高限度額を超えて他の郵政庁に対し責任を負うことはない。
4 保険付郵便物の業務を行っていない郵政庁は、保険付通常郵便物及び保険付小包それぞれの閉袋継越しに関し、書留郵便物又は普通小包について定められている責任を負う。この4の規定は、自己が利用する船舶内又は航空機内にある保険付郵便物についての責任を認めない郵政庁に対しても適用する。
5 保険付郵便物の亡失、盗取又は損傷が、保険付郵便物の業務を行わない仲介郵政庁の属する国の領域において又は当該仲介郵政庁の業務において生じた場合には、差出郵政庁は、当該仲介郵政庁が負担しない損害を負担する。この5の規定は、損害の額が、仲介郵政庁が採用する保険金額の最高限度よりも高い場合にも適用する。
6 徴収が免除されなかった関税その他の課金は、亡失、盗取又は損傷について責任を負う郵政庁が負担する。
7 賠償金を支払った郵政庁は、当該賠償金の額を限度として、受取人、差出人又は第三者に対する権利につき当該賠償金を受け取った者に代位する。
第三章 通常郵便に関する特別規定
第四十二条 業務の質に関する目標
1 郵政庁は、自国あての及び自国から発送する優先郵便物、航空通常郵便物、非優先郵便物及び平面路通常郵便物の処理のための時間を定める。その時間については、内国業務の相当する郵便物について適用される時間よりも不利なものとしてはならない。
2 差出郵政庁は、自己及び名あて郵政庁が定める時間及び運送時間を考慮して、外国あての優先郵便物及び航空通常郵便物のための業務の質に関する目標を公表する。
3 郵政庁は、国際事務局若しくは限定連合が行う調査の枠内で又は二国間の合意に基づく調査により、定める時間が遵守されていることを定期的に確認する。
4 郵政庁は、3に規定する調査以外の管理システム、特に外部機関による管理により、定める時間が遵守されていることを定期的に確認することが望ましい。
5 郵政庁は、可能な場合にはいつでも、国際郵便の業務(自国あての郵便物及び自国から発送する郵便物に係る業務)の質に関する管理システムを実施する。当該管理システムには、できる限り、郵便物の差出しから配達までの間の業務の評価を含める。
6 すべての加盟国は、国際事務局に対し、国際郵便業務の運用に係る運送手段の最終到着時刻(LTAT)に関する最新の情報を提供する。最終到着時刻の変更がある場合には、当該変更が適用される前に同事務局が関係郵政庁に通報することが可能となるよう、当該変更が予定された後速やかに同事務局に通報されるものとする。
7 6の情報については、可能な場合には、優先郵便物及び非優先郵便物の別に提供する。
第四十三条 外国における通常郵便物の差出し
1 いずれの加盟国も、その領域内に居住する差出人が外国において適用される一層有利な郵便料金の利益を受けるために当該外国において差し出し又は差し出させる通常郵便物を送達し又は受取人に配達する義務を負わない。
2 1の規定は、差出人の居住国において準備された後に国境を越えて搬出された通常郵便物又は外国において作成された通常郵便物のいずれについても、区別なく適用する。
3 名あて郵政庁は、差出人に対し又は差出人から徴収することができない場合には差出郵政庁に対し、内国料金の支払を請求する権利を有する。名あて郵政庁が定めた期間内に、差出人及び差出郵政庁のいずれもがこの内国料金の支払を承諾しない場合には、名あて郵政庁は、1及び2に規定する通常郵便物を、差出郵政庁に返送し(この場合において当該名あて郵政庁は、このような返送の費用の償還を請求する権利を有するものとする。)、又は自国の法令に従って取り扱うことができる。
4 いずれの加盟国も、差出人が居住国以外の国において多量に差し出し又は差し出させる通常郵便物について受領する到着料の額が、当該通常郵便物が差出人の居住国において差し出された場合に受領したであろう額を下回るときは、当該通常郵便物を送達し又は受取人に配達する義務を負わない。名あて郵政庁は、その負担する費用に相当する報酬を差出郵政庁に請求する権利を有する。この場合において、この報酬は、同様の郵便物に適用される内国料金の八十パーセントの額又は郵便物一通当たり〇・一四SDRにその重量一キログラムごとに一SDRを加えた額のいずれか高い方を超えてはならない。名あて郵政庁が定めた期間内に、差出郵政庁が請求された報酬の支払を承諾しない場合には、名あて郵政庁は、当該通常郵便物を、差出郵政庁に返送し(この場合において当該名あて郵政庁は、このような返送の費用の償還を請求する権利を有するものとする。)、又は自国の法令に従って取り扱うことができる。
第四十四条 引き受けられる生物学上の材料
1 死滅しやすい又は変敗しやすい生物学上の材料並びに伝染性物質及びその冷却のための固形二酸化炭素(ドライアイス)については、適格性のある公認の研究所の間で交換する場合にのみ郵便により送達することができる。これらの危険物品は、国内法令、国際民間航空機関(ICAO)の有効な「技術に関する説明書」及び国際航空運送協会(IATA)の「危険物に関する規則」に従うことを条件として、航空路による送達のために郵便物の中に入れることができる。
2 通常郵便に関する施行規則の定めるところにより包装された死滅しやすい又は変敗しやすい生物学上の材料及び伝染性物質については、優先郵便物又は書留書状の料金を適用する。これらの材料又は物質を包有する郵便物の取扱いについては、追加の料金の納付を課することができる。
2.1 死滅しやすい又は変敗しやすい生物学上の材料及び伝染性物質を包有する郵便物の差出しは、当該郵便物を相互に又は一方的に受領することについて同意を表明した郵政庁の属する加盟国の間における交換のための差出しに限って認められる。
2.2 2.1に規定する郵便物は、最も速達の線路(通常の場合には、所要の航空増料金の納付を条件として、航空路)によって送達され、優先して配達される。
第四十五条 電子郵便
1 郵政庁は、相互間で電子郵便業務に参加することを取り決めることができる。
2 電子郵便とは、差出人から物理的又は電子的方式のいずれかにより差し出された情報を、原本を変更することなく、かつ、瞬時に送信し、受取人に物理的又は電子的方式のいずれかにより配達するため、電気通信を利用する郵便業務をいう。物理的方式による配達の場合には、情報は、できる限り長い距離を電子的手段により送信され、かつ、受取人に最も近い所で物理的方式による配達のため再生される。当該情報は、封筒に納め、受取人に通常郵便物として配達される。
3 電子郵便に関する料金は、郵政庁が費用及び市場の要求を考慮して定める。
第四十六条 継越料
1 第五十二条の規定が適用される場合を除くほか、二の郵政庁の間又は同一国の二の郵便局の間で他の郵政庁の業務(第三国業務)の仲介によって交換される閉袋については、継越料を支払う。継越料は、陸路継越し、海路継越し及び航空路継越しの業務の実施に対する報酬とする。
2 開袋継越郵便物についても、継越料を課することができる。
3 継越料の適用の条件及びその料率については、通常郵便に関する施行規則に定める。
第四十七条 到着料についての総則
1 第五十二条の規定が適用される場合を除くほか、他のいずれかの郵政庁から通常郵便物を受領した郵政庁は、受領した国際郵便物に係る費用に対する補償金を差出郵政庁から受け取る権利を有する。
2 到着料の補償金に関する規定の適用のため、大会議が作成する表に従い、すべての郵政庁は、「先進国の郵政庁」又は「開発途上国の郵政庁」のいずれかに分類される。
3 到着料の補償金の支払に関するこの条約の規定は、各国ごとの固有の要素を考慮した補償方式に移行する上での措置について定めるものである。
4 内国制度の利用
4.1 各郵政庁は、内国制度における料金その他の条件を、国内の利用者と同一の条件により他の郵政庁が利用することができるようにする。
4.2 差出郵政庁は、名あて国である先進国の郵政庁に対し、同様の場合においては、同様の郵便物について当該先進国の郵政庁が国内の利用者のために定める条件と同一の条件を適用するよう要請することができる。
4.3 開発途上国の郵政庁は、4.1に規定する条件による利用を承認するか否かを示さなければならない。
4.3.1 開発途上国の郵政庁が内国制度において定める条件による利用を承認することを表明するときは、その承認は、すべての連合加盟国の郵政庁に差別なく及ぶものとする。
4.4 名あて郵政庁は、内国制度の利用条件が差出郵政庁によって満たされているか否かを決定する。
5 大量郵便物の到着料率は、到着料に関する二国間又は多数国間の取決めにおいて名あて郵政庁によって適用される最も有利な料率を超えてはならない。名あて郵政庁は、差出郵政庁が利用条件を満たしているか否かを判断する。
6 郵便業務理事会は、大会議から大会議までの間において、次条から第五十一条までに定める補償金を改正することができる。その改正は,信頼し得るかつ代表的な経済上及び財務上のデータに基づくものとし,この条約及び通常郵便に関する施行規則の到着料についてのすべての規定が考慮されるものとする。決定された改正は、同理事会が定める日に効力を生ずる。
7 郵政庁は、1に規定する補償金の全部又は一部を放棄することができる。
8 関係郵政庁は、三国間又は多数国間の合意により、到着料の勘定の決済につきその他の補償方式を適用することができる。
第四十八条 先進国間における交換に適用される到着料についての規定
1 通常郵便物(大量郵便物を含み、M郵袋を除く。)の補償金は、名あて国における取扱いの費用を反映した一通当たりの料率及び重量一キログラムごとの料率の適用により設定される。当該費用は、内国料金と関係を有するものでなければならない。この料率の計算については、通常郵便に関する施行規則に定める条件に従って行う。
2 二千一年から二千三年までについては、一通当たりの料率及び重量一キログラムごとの料率は、内国制度における二十グラムの書状の料金の六十パーセントに基づいて計算された料率を上回るものであってはならず、かつ、次の料率を超えてはならない。
2.1 二千一年については、一通当たり〇・一五八SDR及び重量一キログラムにつき一・六八四SDR
2.2 二千二年については、一通当たり〇・一七二SDR及び重量一キログラムにつき一・六八四SDR
2.3 二千三年については、一通当たり〇・二一五SDR及び重量一キログラムにつき一・六八四SDR
3 二千四年及び二千五年については、郵便業務理事会が、各先進国ごとにその費用と料金との関係に応じ当該各先進国に適した最終的な料金比率を決定する。
4 二千一年から二千五年までの期間について適用する料率は、一通当たり〇・一四七SDR及び重量一キログラムにつき一・四九一SDRを下回るものであってはならない。
5 M郵袋について適用する料率は、その重量一キログラムにつき〇・六五三SDRとする。
5.1 重量が五キログラム未満のM郵袋については、到着料の補償金の計算においては重量五キログラムとみなす。
6 名あて郵政庁は、書留郵便物の配達については一通当たり〇・五SDR、保険付通常郵便物の配達については一通当たり一SDRの追加の補償金を受け取る権利を有する。
7 先進国の間で適用される規定は、これに従うことを希望する旨を表明し、かつ、この条から第五十条までの規定及び通常郵便に関する施行規則の関係規定の適用上先進国とみなされることを希望する開発途上国について適用する。
第四十九条 開発途上国から先進国への郵便物の流れに関し適用される到着料についての規定
1 補償金
1.1 通常郵便物(M郵袋を除く。)について適用する料率は、その重量一キログラムにつき三・四二七SDRとする。
1.2 M郵袋について適用する料率は、その重量一キログラムにつき〇・六五三SDRとする。
1.2.1 重量が五キログラム未満のM郵袋については、到着料の補償金の計算においては重量五キログラムとみなす。
1.3 名あて郵政庁は、書留郵便物の配達については一通当たり〇・五SDR、保険付通常郵便物の配達については一通当たり一SDRの追加の補償金を受け取る権利を有する。
2 料率の変更
2.1 差出郵政庁は、他の一の郵政庁との関係において年間総重量が百五十トンを超える郵便物を差し立てる場合において、自己が差し立てた郵便物の重量一キログラムに包有される郵便物の平均通数が十四通未満であることを確認するときは、1.1に定める料率を当該他の一の郵政庁との関係について変更することができる。
2.2 名あて郵政庁は、他の一の郵政庁との関係において年間総重量が百五十トンを超える郵便物を受領する場合において、自己が受領した郵便物の重量一キログラムに包有される郵便物の平均通数が二十一通を超えていることを確認するときは、1.1に定める料率を当該他の一の郵政庁との関係について変更することができる。
2.3 料率の変更については、通常郵便に関する施行規則に定める条件に従って行う。
3 補償方式の調和
3.1 名あて郵政庁は、年間総重量が五十トンを超える郵便物を受領する場合において、自己が受領した郵便物の年間総重量が通常郵便に関する施行規則に定める条件に従って計算される限界値を超えていることを確認するときは、料率の変更を適用していないことを条件として、この限界値を超える郵便物について、前条に定める補償方式を適用することができる。
4 大量郵便物
4.1 大量郵便物の補償金は、前条1に規定する一通当たりの料率及び重量一キログラムごとの料率の適用により設定される。
第五十条 先進国から開発途上国への郵便物の流れに関し適用される到着料についての規定
1 補償金
1.1 通常郵便物(M郵袋を除く。)について適用する料率は、その重量一キログラムにつき三・四二七SDRとする。
1.1.1 1.1に定める料率の適用による到着料は、開発途上国における業務の質を改善する資金調達のための基金としての名目で七・五パーセント分増額される。
1.2 M郵袋について適用する料率は、その重量一キログラムにつき〇・六五三SDRとする。
1.2.1 重量が五キログラム未満のM郵袋については、到着料の補償金の計算においては重量五キログラムとみなす。
1.3 名あて郵政庁は、書留郵便物の配達については一通当たり〇・五SDR、保険付通常郵便物の配達については一通当たり一SDRの追加の補償金を受け取る権利を有する。
2 料率の変更
2.1 名あて郵政庁は、他の一の郵政庁との関係において年間総重量が百五十トンを超える郵便物を受領する場合において、自己が受領した郵便物の重量一キログラムに包有される郵便物の平均通数が二十一通を超えていることを確認するときは、料率を当該他の一の郵政庁との関係について変更することができる。
2.2 料率の変更については、通常郵便に関する施行規則に定める条件に従って行う。
3 大量郵便物
3.1 内国制度において提供される条件による利用を承認しない郵政庁は、受領した大量郵便物について、一通当たり〇・一四SDR及び重量一キログラムにつき一SDRの補償金を請求することができる。
3.2 内国制度において提供される条件による利用を承認する郵政庁は、受領した大量郵便物について、これと同様の郵便物について国内の利用者に提供している内国料金を九パーセント分増額したものに相当する料率(ただし、第四十八条2に定める料率を超えてはならない。)を適用することができる。
第五十一条 開発途上国間における交換に適用される到着料についての規定
1 補償金
1.1 通常郵便物(M郵袋を除く。)について適用する料率は、その重量一キログラムにつき三・四二七SDRとする。
1.2 M郵袋について適用する料率は、その重量一キログラムにつき〇・六五三SDRとする。
1.2.1重量が五キログラム未満のM郵袋については、到着料の補償金の計算においては重量五キログラムとみなす。
1.3 名あて郵政庁は、書留郵便物の配達については一通当たり〇・五SDR、保険付通常郵便物の配達については一通当たり一SDRの追加の補償金を受け取る権利を有する。
2 料率の変更
2.1 名あて郵政庁は、他の一の郵政庁との関係において年間総重量が百五十トンを超える郵便物を受領する場合において、自己が受領した郵便物の重量一キログラムに包有される郵便物の平均通数が二十一通を超えていることを確認するときは、料率を当該他の一の郵政庁との関係について変更することができる。
2.2 料率の変更については、通常郵便に関する施行規則に定める条件に従って行う。
3 大量郵便物
3.1 内国制度において提供される条件による利用を承認しない郵政庁は、受領した大量郵便物について、一通当たり〇・一四SDR及び重量一キログラムにつき一SDRの補償金を請求することができる。
3.2 内国制度において提供される条件による利用を承認する郵政庁は、受領した大量郵便物について、これと同様の郵便物について国内の利用者に提供している内国料金を九パーセント分増額したものに相当する料率(ただし、第四十八条2に定める料率を超えてはならない。)を適用することができる。
第五十二条 継越料及び到着料の免除
1 第八条2.2の郵便業務の事務用通常郵便物及び差出元に閉袋で返送する配達不能の郵便物については、陸路又は海路の継越料及び到着料を免除する。空の納器については、到着料を免除するが、継越料は免除せず、その支払は当該納器を所有する郵政庁が行う。
第五十三条 航空運送料
1 全航空運送距離に係る運送料は、次の郵政庁が負担する。
1.1 閉袋については、差出国の郵政庁
1.2 開袋継越しの優先郵便物及び航空通常郵便物(誤送されたものを含む。)については、これらを他の郵政庁に引き渡す郵政庁
2 1の規定は、前条の規定に従って陸路又は海路の継越料を免除される郵便物についても、これらの郵便物が航空路によって送達される場合には、適用する。
3 名あて郵政庁は、自国内で国際郵便物の航空運送を行う場合には、これに利用する航空運送路の加重平均距離が三百キロメートルを超えることを条件として、当該運送に係る追加の費用の償還を請求する権利を有する。当該費用は、その免除について取決めがある場合を除くほか、外国から到着するすべての優先閉袋及び航空閉袋につき、これらの閉袋に包有される郵便物が航空路によって継送されるか否かを問わず、均一とする。
4 もっとも、名あて郵政庁が徴収する到着料が特別に自己の費用又は内国料金を基礎とするものである場合には、国内航空運送に係る追加の費用の償還は行われない。
5 名あて郵政庁は、加重平均距離を計算するに当たっては、特別に自己の費用又は内国料金を基礎として到着料が計算されるすべての閉袋の重量を考慮に入れない。
6 通常郵便に関する施行規則に定める継越料率は、関係郵政庁の間に特別の取決めがある場合を除くほか、航空閉袋につき利用される陸路又は海路の運送についても適用する。ただし、次の運送については、陸路の継越料を課さない。
6.1 同一都市の二の空港の間における航空閉袋の積換運送
6.2 いずれかの都市の空港と当該都市にある倉庫との間における、航空閉袋の継送のための往路及び復路の運送
第五十四条 航空運送料の基本料金率及び計算
1 航空運送に関する勘定の郵政庁間の決済について適用する基本料金率は、郵便業務理事会が承認する。当該基本料金率は、通常郵便に関する施行規則に定める方式に従って国際事務局が計算する。
2 閉袋並びに開袋継越しの優先郵便物及び航空通常郵便物の航空運送料の計算並びに差引計算方法については、通常郵便に関する施行規則に定める。
第四章 小包郵便に関する特別規定
第五十五条 業務の質に関する目標
1 名あて郵政庁は、自国あての航空小包の処理のための時間を定める。その時間については、通関に通常要する時間を考慮に入れるものとし、内国業務の相当する郵便物について適用される時間よりも不利なものとしてはならない。
2 名あて郵政庁は、また、できる限り、自国あての平面路小包の処理のための時間を定める。
3 差出郵政庁は、名あて郵政庁が定める時間を考慮して、外国あての航空小包及び平面路小包のための業務の質に関する目標を定める。
4 郵政庁は、自己が定める業務の質に関する目標についてどの程度達成されているかを確認する。
第五十六条 到着の陸路割当料金
1 二の郵政庁の間で交換される小包については、一個ごとに、小包郵便に関する施行規則に定める小包一個当たりのガイドライン料金及び閉袋の総重量一キログラムごとのガイドライン料金を適用して計算した各国別の到着の陸路割当料金を課する。
2 郵政庁は、1に規定するガイドライン料金を考慮して、到着の陸路割当料金を自己の業務の費用と関係を有するように定める。
3 1及び2に規定する陸路割当料金については、この条約に別段の定めがある場合を除くほか、差出国の郵政庁が負担する。
4 到着の陸路割当料金は、各国の全領域について均一とする。
第五十七条 継越しの陸路割当料金
1 二の郵政庁の間又は同一国の二の郵便局の間で他の郵政庁の陸運業務によって交換される小包については、当該陸運業務に参加する国のため、小包郵便に関する施行規則に定める距離段階に応じた継越しの陸路割当料金を課する。
2 仲介郵政庁は、開袋継越小包につき一個ごとに、小包郵便に関する施行規則に定める単一の陸路割当料金を請求することができる。
3 1及び2に規定する陸路割当料金については、この条約に別段の定めがある場合を除くほか、差出国の郵政庁が負担する。
4 郵便業務理事会は、大会議から大会議までの間において、継越しの陸路割当料金を改正することができる。その改正は、継越業務を実施する郵政庁に公平な報酬を確保する方法により、信頼し得るかつ代表的な経済上及び財務上のデータに基づくものとする。決定された改正は、同理事会が定める日に効力を生ずる。
5 次の運送については、継越しの陸路割当料金を課さない。
5.1 同一都市の二の空港の間における航空閉袋の積換運送
5.2 いずれかの都市の空港と当該都市にある倉庫との間における、航空閉袋の継送のための往路及び復路の運送
第五十八条 海路割当料金
1 自国の海運業務提供者が小包の海路運送に参加する国は、2に規定する海路割当料金を請求することができる。この海路割当料金については、この条約に別段の定めがある場合を除くほか、差出国の郵政庁が負担する。
2 海路割当料金は、利用される各海運業務提供者につき、小包郵便に関する施行規則に距離段階に応じて定める。
3 郵政庁は、2の規定に従って計算される海路割当料金をその五十パーセントを限度として引き上げる権能を有する。郵政庁は、自己の裁量により、海路割当料金を引き下げることができる。
4 郵便業務理事会は、大会議から大会議までの間において、海路割当料金を改正することができる。その改正は、継越業務を実施する郵政庁に公平な報酬を確保する方法により、信頼し得るかつ代表的な経済上及び財務上のデータに基づくものとする。決定された改正は、同理事会が定める日に効力を生ずる。
第五十九条 航空運送料
1 航空運送に関する勘定の郵政庁間の決済について適用する基本料金率は、郵便業務理事会が承認する。当該基本料金率は、通常郵便に関する施行規則に定める方式に従って国際事務局が計算する。
2 閉袋及び開袋継越しの航空小包の航空運送料の計算については、小包郵便に関する施行規則に定める。
3 二以上の異なる航空業務提供者によって相次いで運送される航空小包の同一空港における積換えについては、無報酬で行う。
第六十条 割当料金の免除
1 郵便業務の事務用小包及び捕虜又は抑留された文民が発受する小包については、航空小包に適用される航空運送料を除くほか、割当料金の割当てを行わない。
第五章 EMS業務
第六十一条 EMS業務
1 EMS業務は、物理的手段による郵便業務のうち最も迅速なものとする。EMS業務を提供することを決定した郵政庁の間の交換においては、EMS業務による郵便物は他の郵便物に優先する。EMS業務においては、極めて短い一時間で通信文、書類又は物品を取り集め、送達し及び配達する。
2 EMS業務は、二国間の合意により実施される。当該合意に明文の定めのない事項については、連合の文書の適当な規定に従う。
3 EMS業務は、できる限り、オレンジ色の翼、EMSという青色の文字及び三本の水平なオレンジ色の筋から成る次の意匠により識別する。この意匠には、EMS業務の国内における名称を付することができる。
4 EMS業務の料金は、差出郵政庁が当該業務に係る費用及び市場の要求を参酌して定める。
第三部 経過規定及び最終規定
第六十二条 小包郵便業務を提供する義務
1 第十条1の規定にかかわらず、この条約の効力発生前に小包郵便物に関する約定の締約国でなかった国は、小包郵便業務を提供する義務を負わない。
第六十三条 処罰に関する約束
1 加盟国の政府は、次の目的のために必要な措置をとること又は当該措置を自国の立法機関に提案することを約束する。
1.1 郵便切手(通用が廃止されたものを含む。)及び国際返信切手券の偽造を処罰すること。
1.2 次のものの使用又は流布を処罰すること。
1.2.1 偽造した郵便切手(通用が廃止されたものを含む。)、既に使用した郵便切手及び料金計器又は印刷機による印影であって偽造し又は既に使用したもの
1.2.2 偽造した国際返信切手券
1.3 加盟国の郵政庁が発行する切手類と混同しやすいような偽造又は模造の郵便業務用の切手類を製造しかつ流布する詐欺行為を禁止しかつ抑圧すること。
1.4 麻薬、向精神薬及び爆発性又は発火性の物質その他危険性のある物質を郵便物に入れることを防止し、かつ、必要があるときは、処罰すること。ただし、この条約がこれらの物質を郵便物に入れることを明示的に認めている場合は、この限りでない。
1.5 小児性愛又は児童ポルノの性質を有する物品を郵便物に入れることを防止しかつ処罰すること。
第六十四条 この条約及びその施行規則に関する議案の承認の条件
1 この条約に関する議案であって大会議に提出されたものは、実施されるためには、出席しかつ投票する加盟国の過半数による議決で承認されなければならない。投票の際には、大会議に代表を出している加盟国の二分の一以上が出席していなければならない。
2 通常郵便に関する施行規則及び小包郵便に関する施行規則に関する議案は、実施されるためには、郵便業務理事会の理事国の過半数による議決で承認されなければならない。
3 この条約及びその最終議定書に関する議案であって大会議から大会議までの間に提出されたものは、実施されるためには、次の数の賛成票を得なければならない。
3.1 改正に関する議案については、連合加盟国の二分の一以上の投票を条件として投票の三分の二以上
3.2 規定の解釈に関する議案については、投票の過半数
4 3.1の規定にかかわらず、加盟国は、提案された改正がその国内法令と矛盾する場合には、当該改正の通報の日から起算して九十日以内に、当該改正を受諾することができない旨の書面による宣言を国際事務局長に行うことができる。
第六十五条 この条約の効力発生及び有効期間
1 この条約は、二千一年一月一日に効力を生じ、次回の大会議の文書の効力発生の時まで効力を有する。
  以上の証拠として、加盟国政府の全権委員は、国際事務局長に寄託されるこの条約の本書一通に署名した。大会議開催国の政府は、その謄本一通を各締約国に送付する。
  千九百九十九年九月十五日に北京で作成した。