技術協力に関する日本国政府とヴェネズエラ共和国政府との間の交換公文
技術協力に関する日本国政府とヴェネズエラ共和国政府との間の交換公文
日本国政府及びヴェネズエラ共和国政府は、
技術協力の促進により両国間に存在する友好関係を一層強化することを希望し、
また、両国の経済的及び社会的発展を促進することがもたらす相互の利益を考慮して、
次のとおり協定した。
第一条 両政府は、それぞれの国の現行法令に従い、両国間の技術協力を促進するよう努力する。
第二条 両政府は、この協定に基づき、両政府間で合意する個別の技術協力計画の実施のため、相互協力を促進し、及び相互支援を行うものとし、この目的のため、外交経路を通じ別途の取極を文書によつて行う。
第三条 日本国政府は、日本国の現行法令に従い、かつ、前条にいう取極に基づき、自己の負担で次の形態による技術協力を行う。
(a) 日本国における技術訓練のためにヴェネズエラ国民を受け入れること。
(b) 日本人専門家(以下「専門家」という。)をヴェネズエラ共和国に派遣すること。
(c) ヴェネズエラ共和国の経済及び社会開発計画の調査を行うため、日本の調査団(以下「調査団」という。)をヴェネズエラ共和国に派遣すること。
(d) 設備、機械及び資材をヴェネズエラ共和国政府に供与すること。
(e) 両政府間で相互に合意することのあるその他の形態の技術協力をヴェネズエラ共和国政府に対し行うこと。
第四条 ヴェネズエラ共和国政府は、前条に規定する日本の技術協力の結果としてヴェネズエラ国民が取得した技術及び知識がヴェネズエラ共和国の経済的及び社会的発展に寄与することを確保する。
第五条 日本国政府が専門家及び調査団を派遣する場合には、ヴェネズエラ共和国政府は、自己の負担で次の措置をとる。
(a) 専門家及び調査団の任務遂行に必要な土地及び事務所その他の施設を提供し、かつ、それらの運営費及び維持費を負担すること。
(b) 専門家及び調査団の相手方となるヴェネズエラ人要員並びに専門家及び調査団の任務遂行に必要な支援要員を提供すること。
(c) 専門家に係る次の諸経費を負担すること。
(i) 通勤費
(ii) 国内の公用出張旅費及び諸手当
(iii) 公用通信費
(d) 専門家及びその家族に対し適当な住宅の確保につき便宜を提供し、また、事情が許す限り無料の住宅を提供すること。
(e) 専門家及びその家族並びに調査団の構成員に対し無料の公的医療便宜を提供すること。
第六条 1 ヴェネズエラ共和国政府は、次の措置をとる。
(a) 専門家及び調査団の構成員につき、海外から送金される給与及び手当に対し、又はこれらに関連して課される所得税その他の課徴金を免除すること。
(b) 専門家及びその家族並びに調査団の構成員につき、次のものの輸入に関し、輸入許可証の取得要件並びに領事手数料、関税、租税及びその他類似の課徴金を免除すること。
(i) 専門家及びその家族並びに調査団の構成員の携帯荷物
(ii) 専門家及びその家族並びに調査団の構成員用としてヴェネズエラ共和国に持ち込まれる身回品、家財及び消費財
(iii) 専門家一名につき自動車一台
自動車の輸入許可は、日本国大使館の申請があり次第ヴェネズエラ共和国大蔵省により発給される。
2 ヴェネズエラ共和国政府は、また、次の措置をとる。
(a) 専門家及びその家族並びに調査団の構成員に対し、その任期中、ヴェネズエラ共和国に入国し、同国から出国し及び同国に滞在することを許可し、かつ、外国人登録義務及び領事手数料を免除すること。
(b) 専門家及び調査団の任務遂行に際し、関係当局が必要な便宜を供与することを確保するために、専門家及びその家族並びに調査団の構成員に対し身分証明書を交付すること。
(c) 専門家及び調査団に対し、その任務遂行上必要なその他の借置をとること。
3 専門家及びその家族並びに調査団の構成員はヴェネズエラ共和国において同様の任務を遂行している第三国又は国際機関の専門家及びその家族並びに調査団の構成員に与えられているものより不利でない特権、免除及び便宜を与えられる。
第七条 ヴェネズエラ共和国政府は、ヴェネズエラ共和国における専門家及び調査団の構成員の任務の遂行に起因し、その遂行中に発生し、又はその他その遂行に関連して専門家及び調査団の構成員に対する請求が生じた場合には、その請求に関する責任を負う。
ただし、両政府がその請求が専門家又は調査団の構成員の重大なる過失又は故意から生じたことを合意する場合は、この限りでない。
第八条 1 日本国政府がヴェネズエラ共和国政府に供与する設備、機械及び資材は、陸揚港においてc・i・f建てでヴェネズエラ共和国政府の関係当局に引き渡された時にヴェネズエラ共和国政府の財産となる。これらの設備、機械及び資材は、別途の合意がある場合を除き、供与された目的のために使用される。
2 ヴェネズエラ共和国政府は、1にいう設備、機械及び資材に関して、輸入許可証の取得要件並びに領事手数料、関税、租税及びその他類似の課徴金を免除する。
3 1にいう設備、機械及び資材のヴェネズエラ共和国内における輸送のための費用並びにそれらの維持及び修理のための費用は、ヴェネズエラ共和国政府が負担する。
4 専門家及び調査団がその任務を遂行するために携行する設備、機械及び資材は、別途の合意がある場合を除き日本国政府の財産である。
専門家及び調査団は、設備、機械及び資材の輸入に際し、これらの設備、機械及び資材に対してヴェネズエラ共和国において課される領事手数料、関税、租税及びその他類似の課徴金並びに輸入許可証の取得要件を免除される。
第九条 専門家及び調査団の構成員は、ヴェネズエラ共和国政府が指定する機関を通じ、同政府と緊密に連絡を保つものとする。
第十条 1 ヴェネズエラ共和国政府は、日本国政府による技術協力の実施機関である国際協力事業団(以下「JICA」という。)の駐在員及び職員(以下「駐在員等」という。)を受け入れ、また、JICAの在ヴェネズエラ事務所(以下「事務所」という。)の開設を認める。
2 駐在員等は、ヴェネズエラ共和国における第二条にいう個別の技術協力計画の実施のための調査及び関係機関との連絡調整等の任務を遂行する。
3 (1) ヴェネズエラ共和国政府は、駐在員等及びその家族に対し、次の措置をとる。
(a) 駐在員等及びその家族に対する特権、免除及び便宜に関し、第六条を準用すること。
(b) 駐在員等がその任務の遂行のためにヴェネズエラ共和国に持ち込む設備、機械及び資材に関し、ヴェネズエラ共和国において課される領事手数料、関税、租税及びその他類似の課徴金並びに輸入許可証の取得要件を免除すること。
(c) 駐在員等の任務の遂行のための経費であつて海外から送金されるものに対し、又はこれに関連して課される所得税その他の財政課徴金を免除すること。
(2) ヴェネズエラ共和国政府は、また、事務所に対し次の措置をとる。
(a) 事務所の活動のために必要な設備、機械及び自動車並びにその他の物品の輸入に対し、又はこれらに関連してヴェネズエラ共和国において課される領事手数料、関税、租税及びその他類似の課徴金並びに輸入許可書の取得要件を免除すること。自動車の輸入許可は、日本国大使館の申請があり次第ヴェネズエラ共和国大蔵省により発給される。
(b) 事務所の活動のための経費であつて海外から送金されるものに対し、又はこれに関連して課される所得税その他の課徴金を免除すること。
(3) 駐在員等及びその家族並びに事務所は、ヴェネズエラ共和国において同様の任務を遂行している第三国又は国際機関による技術協力の実施機関の駐在員及びその家族並びに事務所に与えられているものより不利でない特権、免除及び便宜を与えられる。
第十一条 日本国政府及びヴェネズエラ共和国政府は、この協定から又はそれに関連して生ずることがあるいかなる事項についても相互に協議する。
第十二条 1 この協定の規定は、この協定が効力を生ずる前に両政府間で実施されている個別の技術協力計画にも適用され、また、当該計画を実施するためにヴェネズエラ共和国に滞在中の専門家及びその家族、調査団の構成員、駐在員等及びその家族並びに当該計画を実施するためにヴェネズエラ共和国に持ち込まれた設備、機械及び資材にも適用される。
2 この協定の終了は、両政府が明示的に別途の合意をしない限り、実施中の個別の技術協力計画の完了の日まで当該計画に影響を与えるものではなく、また、当該計画に関する任務を遂行するためにヴェネズエラ共和国に滞在中の専門家及びその家族、調査団の構成員並びに駐在員等及びその家族に与えられる特権、免除及び便宜に影響を与えるものではない。
第十三条 1 この協定は、日本国政府がヴェネズエラ共和国政府からこの協定の効力発生のために必要な国内手続を終了した旨の文書による通告を受領した日に効力を生ずる。
2 この協定は、一年間効力を有するものとし、いずれか一方の政府が他方の政府に対し少なくとも六箇月の予告をもつて協定を終了させる意思を書面により通告しない限り、毎年自動的に一年ずつ更新される。
以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの協定に署名した。
千九百八十八年四月六日に東京で、ひとしく正文である日本語及びスペイン語により本書二通を作成した。
日本国政府のために 宇野宗佑
ヴェネズエラ共和国政府のために へルマン・ナバ・カリリョ