技術協力に関する日本国政府とメキシコ合衆国政府との間の協定
技術協力に関する日本国政府とメキシコ合衆国政府との間の協定
 技術協力に関する日本国政府とメキシコ合衆国政府との間の協定
 日本国政府及びメキシコ合衆国政府は、
 技術協力により両国間に存在する友好関係を一層強化することを希望し、
 また、両国の経済的及び社会的発展がもたらす相互の利益を考慮して、
 次のとおり協定した。
第一条
 両政府は、両国間の技術協力を促進するよう努力する。
第二条
 両政府は、この協定に基づき、相互に合意する分野の技術協力計画を実施するための別途の取極を行う。
第三条
 日本国政府は、日本国の現行法令に従い、かつ、前条にいう取極に基づき、自己の負担で次の形態による技術協力を行う。
(a) 日本国における技術訓練のためにメキシコ国民を受け入れること。
(b) 日本人専門家(以下「専門家」という。)をメキシコ合衆国に派遣すること。
(c) メキシコ合衆国の経済及び社会開発計画の調査を行うため、日本の調査団(以下「調査団」という。)をメキシコ合衆国に派遣すること。
(d) 設備、機械及び資材をメキシコ合衆国政府に供与すること。
(e) 両政府間で相互に合意することのあるその他の形態の技術協力をメキシコ合衆国政府に対し行うこと。
第四条
 メキシコ合衆国政府は、前条に規定する日本の技術協力の結果としてメキシコ国民が取得した技術及び知識がメキシコ合衆国の経済的及び社会的発展に寄与するように必要な措置をとる。
第五条
 日本国政府が専門家及び調査団を派遣する場合には、メキシコ合衆国政府は、個別の技術協力計画を実施するメキシコ合衆国の機関を通じ、次の措置をとる。
(a) 専門家及び調査団の任務遂行に必要な土地及び事務所その他の施設を提供し、かつ、それらの運営費及び維持費を負担すること。
(b) 専門家及び調査団の任務遂行に必要な現地要員(専門家及び調査団の相手方となるメキシコ人要員及び、必要な場合には、適当な通訳を含む。)を提供すること。
(c) 専門家に係る次の諸経費を負担すること。
(i) 通勤費
(ii) メキシコ合衆国内の公用出張旅費及び滞在費
(iii) 公用通信費
(d) 専門家及びその家族に対し無料の住宅又は住居手当を提供すること。
(e) 専門家及びその家族並びに調査団の構成員に対し無料の医療上の便宜を提供すること。
第六条
1
(1) メキシコ合衆国政府は、次の措置をとる。
(a) 専門家及び調査団の構成員につき、海外から送金される給与及び手当に対し又はこれらに関連して課される所得税その他の課徴金を免除すること。
(b) 専門家及びその家族並びに調査団の構成員につき、次のものの輸入に関し、輸入許可証及び為替証明書の取得要件並びに領事手数料、関税、租税その他類似の課徴金を免除すること。
(i) 専門家及びその家族並びに調査団の構成員の携帯荷物
(ii) 専門家及びその家族並びに調査団の構成員用としてメキシコ合衆国に持ち込まれる身回品、家財及び消費財
(iii) 専門家一名につき自動車一台
(2) (1)(b)にいう物品及び白動車については、それらがその後メキシコ合衆国において、関税及び租税の免除又はそれらと同様の権利を有しない個人又は団体に売却又は譲渡される場合には、当該関税及び租税が支払われなければならない。
(3) 専門家及びその家族並びに調査団の構成員は、(1)(b)にいう物品及び自動車の再輸出に際し、輸出許可証の取得要件及び関税、租税その他類似の課徴金を免除される。
2 メキシコ合衆国政府は、また、次の措置をとる。
(a) 専門家及びその家族並びに調査団の構成員に対し、その任期中、メキシコ合衆国に入国し、同国から出国し及び同国に滞在することを許可し、かつ、外国人登録義務及び領事手数料を免除すること。
(b) 専門家及び調査団の任務遂行に際し、関係当局が必要な便宜を供与するために、専門家及びその家族並びに調査団の構成員に対し身分証明書を交付すること。
(c) 専門家及び調査団に対し、その任務遂行上必要なその他の措置をとること。
3 専門家及びその家族並びに調査団の構成員は、メキシコ合衆国において同様の任務を遂行している第三国の専門家及びその家族並びに調査団の構成員に与えられているものより不利でない特権、免除及び便宜を与えられる。
第七条
 メキシコ合衆国政府は、メキシコ合衆国における専門家及び調査団の構成員の任務の遂行に起因し、その遂行中に発生し、又はその他その遂行に関連して専門家及び調査団の構成員に対する請求が生じた場合には、その請求に関する責任を負う。ただし、両政府がその請求が専門家又は調査団の構成員の重大なる過失又は故意から生じたことに合意した場合は、この限りでない。
第八条
1 日本国政府がメキシコ合衆国政府に設備、機械及び資材を供与する場合には、それらは、陸揚港においてC・I・F建てでメキシコ合衆国政府の関係当局に引き渡された時にメキシコ合衆国政府の財産となる。これらの設備、機械及び資材は、別途の合意がある場合を除き、供与された目的のために使用される。
2 メキシコ合衆国政府は、1にいう設備、機械及び資材に関して、輸入許可証及び為替証明書の取得要件並びに領事手数料、関税、租税その他類似の課徴金を免除する。
3 1にいう設備、機械及び資材のメキシコ合衆国内における輸送のための費用並びにそれらの維持及び修理のための費用は、メキシコ合衆国政府が負担する。
4 専門家及び調査団がその任務を遂行するために携行する設備、機械及び資材は、別途の合意がある場合を除き日本国政府の財産である。
 専門家及び調査団は、設備、機械及び資材の輸入に際し、これらの設備、機械及び資材に対してメキシコ合衆国において課される領事手数料、関税、租税その他類似の課徴金並びに輸入許可証及び為替証明書の取得要件を免除される。専門家及び調査団は、これらの設備、機械及び資材の再輸出に際し、輸出許可証の取得要件及び関税、租税その他類似の課徴金を免除される。
第九条
 専門家及び調査団の構成員は、メキシコ合衆国政府が指定する機関を通じ、同政府と緊密に連絡を保つものとする。
第十条
 日本国政府及びメキシコ合衆国政府は、この協定から又はそれに関連して生ずることがあるいかなる事項についても相互に協議する。
第十一条
1 この協定の規定は、この協定が効力を生じた後に適用されるが、この協定が効力を生ずる前に両政府の間の合意に基づき実施されている個別の技術協力計画並びに当該計画を実施するためにメキシコ合衆国に滞在中の専門家及びその家族、調査団の構成員並びに当該計画を実施するためにメキシコ合衆国に持ち込まれた設備、機械及び資材については、この協定が効力を生じた後に、この協定の規定に従つて与えられるものと同一の特権、免除及び便宜が与えられる。
2 この協定の終了は、両政府が明示的に別途の合意をしない限り、実施中の技術協力計画の完了の日まで当該計画に影響を与えるものではなく、また、当該計画に関する任務を遂行するためにメキシコ合衆国に滞在中の専門家及びその家族並びに調査団の構成員に与えられる特権、免除及び便宜に影響を与えるものではない。
第十二条
1 この協定は、日本国政府がメキシコ合衆国政府からこの協定の効力発生のために必要な憲法上の手続を了した旨の文書による通告を受領した日に効力を生ずる。
2 この協定は、一年間効力を有するものとし、いずれか一方の政府が他方の政府に対し少なくとも六箇月の予告をもつて協定を終了させる意思を書面により通告しない限り、毎年自動的に一年ずつ更新される。
 以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの協定に署名した。
 千九百八十六年十二月二日に東京で、ひとしく正文である日本語及びスペイン語により本書二通を作成した。
 日本国政府のために
倉成正
 メキシコ合衆国政府のために
ベルナルド・セプルベダ・アモール