渡り鳥及びその生息環境の保護に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定
渡り鳥及びその生息環境の保護に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定
渡り鳥及びその生息環境の保護に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定
日本国政府及び中華人民共和国政府は、
鳥類が、自然の生態系の重要な要素の一つであり、また、芸術、科学、文化、レクリエーション、経済その他の分野において重要な価値を有する天然資源であることを考慮し、
多くの鳥類が、両国の間を渡り季節的に両国に生息している渡り鳥であることにかんがみ、
渡り鳥及びその生息環境の保護及び管理の分野において協力することを希望して、
次のとおり協定した。
第一条 1 この協定において、「渡り鳥」とは、次のものをいう。
(1) 足輪その他の標識の回収により、両国間において渡りをすることが明らかである鳥類
(2) 渡りをする鳥類のうち、標本、写真若しくは科学的資料又はその他の信頼することのできる証拠により、両国に生息することが明らかであるもの
2 (1) 1にいう渡り鳥の種の名称は、この協定の付表に掲げるとおりとする。
(2) この協定の付表は、両政府の合意により、この協定の本文を改正することなく修正することができるものとし、修正は、両政府間の外交上の公文の交換によつて確認された日から九十日目の日に効力を生ずる。
第二条 1 渡り鳥の捕獲及びその卵の採取は、禁止する。ただし、次の場合における捕獲及び採取については、それぞれの国の法令により、その例外とすることができる。
(1) 科学及び教育のため、繁殖させることを目的とする飼養のため並びにこの協定の目的に反しないその他の特定の目的のため
(2) 人命及び財産を保護するため
(3) 3に規定する狩猟期間中
2 1の規定に反して捕獲された渡り鳥及び1の規定に反して採取された渡り鳥の卵並びにこれらの加工品又は一部分については、その販売、購入及び交換を禁止する。
3 両政府は、渡り鳥の生息状況に照らして、それぞれの国の法令により、渡り鳥の狩猟期間を設定することができる。
第三条 1 両政府は、渡り鳥の研究に関する資料及び刊行物の交換を奨励する。
第四条 両政府は、渡り鳥及びその生息環境の保護及び管理のため、それぞれの国の法令により、保護区の設定その他の適当な措置を取る。両政府は、特に、
(1) 渡り鳥及びその生息環境に係る被害を防止するための方法を探求し、及び、
(2) 渡り鳥の保護にとつて有害である動植物の輸入及び持込を規制するように努める。
第五条
両政府は、いずれか一方の政府の要請があつたときは、この協定の実施について協議する。
第六条 1 この協定は、その効力発生のために国内法上必要とされる手続がそれぞれの国において完了したことを確認する旨の通告が交換された日に効力を生ずる。この協定は、十五年間効力を有するものとし、その後は、2の規定に定めるところによつて終了するまで効力を存続する。
2 いずれの一方の政府も、一年前に他方の政府に対して文書による予告を与えることにより、最初の十五年の期間の満了の際又はその後いつでもこの協定を終了させることができる。
以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けてこの協定に署名した。
千九百八十一年三月三日に北京で、ひとしく正文である日本語及び中国語により本書二通を作成した。
日本国政府のために 吉田健三
中華人民共和国政府のために 雍 文 涛
付表 二三 なべこう
二四 くろとき
一 あび 二五 へらさぎ
二 おおはむ(しろえり 二六 くろつらへらさぎ
おおはむを含む。) ニ七 こくがん
三 はしじろあび 二八 さかつらがん
四 みみかいつぶり 二九 ひしくい
五 はじろかいつぶり 三○ まがん
六 かんむりかいつぶり 三一 かりがね
七 あほうどり 三二 おおはくちょう
八 くろあしあほうどり 三三 こはくちよう
九 あなどり 三四 あかつくしがも
一○ ひめくろうみつばめ 三五 つくしがも
一一 ひめう 三六 おなががも
一二 むらさきさぎ 三七こがも
一三 ささごい 三八 ともえがも
一四 あまさぎ 三九 よしがも
一五 だいさぎ 四○ まがも
一六 ちゅうさぎ 四一 おかよしがも
一七 ごいさぎ 四二 ひどりがも
一八 みぞごい 四三 しまあじ
一九 ずぐろみぞごい 四四 はしびろがも
二○ よしごい 四五 ほしはじろ
二一 おおよしごい 四六 あかはじろ
二二 さんかのごい 四七 きんくろはじろ
四八 すずがも
四九 ビロードきんくろ 七四 ばん
五○ しのりがも 七五 たましぎ
五一 こおりがも 七六 みやこどり
五二 ほおじろがも 七七 たげり
五三 みこあいさ 七八 だいぜん
五四 うみあいさ 七九 むなぐろ
五五 かわあいさ 八○ めだいちどり
五六 つみ 八一 おおめだいちどり
五七 けあしのすり 八二 ちゅうしゃくしぎ
五八 さしば 八三 だいしゃくしぎ
五九 おおわし 八四 ほうろくしぎ
六○ はいいろちゅうひ 八五 おぐろしぎ
六一 ちゅうひ 八六 おおそりはししぎ
六二 しろはやぶさ 八七 つるしぎ
六三 ちごはやぶさ 八八 あかあししぎ
六四 こちょうげんぼう 八九 こあおあししぎ
六五 うずら 九○ あおあししぎ
六六 くろづる 九一 くさしぎ
六七 なべづる 九二 たかぶしぎ
六八 まなづる 九三 からふとあおあししぎ
六九 くいな 九四 いそしぎ
七○ ひめくいな 九五きあししぎ
七一 ひくいな 九六そりはししぎ
七二 しまくいな 九七きょうじょしぎ
七三 つるくいな 九八あおしぎ
九九 ちゅうじしぎ 一二五あじさし
一○○ たしぎ 一二六べにあじさし
一○一 やましぎ 一二七えりぐろあじさし
一○二 こおばしぎ 一二八まみじろあじさし
一○三 おばしぎ 一二九せぐろあじさし
一○四 とうねん 一三○こあじさし
一○五 ひばりしぎ 一三一まだらうみすずめ
一○六 おじろとうねん 一三二うみすずめ
一○七 うずらしぎ 一三三じゅういち
一○八 はましぎ 一三四かっこう
一○九 さるはましぎ 一三五つつどり
一一○ みゆびしぎ 一三六ほととぎす
一一一 へらしぎ 一三七しろふくろう
一一二 きりあい 一三八とらふずく
一一三 えりまきしぎ 一三九こみみずく
一一四 せいたかしぎ 一四○よたか
一一五 そりはしせいたかしぎ 一四一はりおあまつばめ
一一六 あかえりひれあししぎ 一四二あまつばめ
一一七 はいいろひれあししぎ 一四三ひめあまつばめ
一一八 つばめちどり 一四四あかしょうびん
一一九 とうぞくかもめ 一四五ぶっぽうそう
一二○ かもめ 一四六やいろちょう
一二一 せぐろかもめ 一四七はまひばり
一二二 おおせぐろかもめ 一四八しょうどうつばめ
一二三 ゆりかもめ 一四九つばめ
一二四 みつゆびかもめ 一五○こしあかつばめ
一五一 いわつばめ 一七七のびたき
一五二 いわみせきれい 一七八まみじろ
一五三 つめながせきれい 一七九とらつぐみ
一五四 きがしらせきれい 一八○からあかはら
一五五 はくせきれい 一八一くろつぐみ
一五六 まみじろたひばり 一八二しろはら(あかはら及び
一五七 びんずい まみちゃじないを含む。)
一五八 せじろたひばり 一八三つぐみ
一五九 むねあかたひばり 一八四やぶさめ
一六○ たひばり 一八五しませんにゅう
一六一 さんしょうくい 一八六まきのせんにゅう
一六二 きれんじゃく 一八七えぞせんにゅう
一六三 ひれんじゃく 一八八おおよしきり
一六四 ちごもず 一八九こよしきり
一六五 あかもず 一九○きまゆむしくい
一六六 おおもず 一九一めぼそむしくい
一六七 こうらいうぐいす 一九二えぞむしくい
一六八 こむくどり 一九三せんだいむしくい
一六九 みやまがらす 一九四まみじろきびたき
一七○ こくまるがらす 一九五きびたき
一七一 こまどり 一九六むぎまき
一七二 しまごま 一九七おおるり
一七三 のごま 一九八さめびたき
一七四 こるり 一九九えぞびたき
一七五 るりびたき 二○○こさめびたき
一七六 じょうびたき
二○一 さんこうちょう 二二六つめながほおじろ
二○二 にゅうないすずめ 二二七ゆきほおじろ
二○三 あとり
二○四 まひわ
二○五 べにひわ
二○六 こべにひわ
二○七 はぎましこ
二○八 あかましこ
二○九 おおましこ
二一○ いすか
二一一 なきいすか
二一二 うそ
二一三 こいかる
二一四 しめ
二一五 しらがほおじろ
二一六 しまあおじ
二一七 みやまほおじろ
二一八 あおじ
二一九 のじこ
二二○ ほおあか
二二一 かしらだか
二二二 こほおあか
二二三 しろはらほおじろ
二二四 ジベリアじゅりん
二二五 おおじゅりん
(渡り鳥及びその生息環境の保護に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定に関する交換公文)
(日本側書簡)
書簡をもつて啓上いたします。本使は、本日署名された渡り鳥及びその生息環境の保護に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定に言及するとともに、同協定の付表に掲げる渡り鳥の種の学名は、この書簡の付表に掲げるとおりであるとの両政府間の了解を日本国政府に代わつて確認する光栄を有します。
本使は、更に、閣下が前記の了解を貴国政府に代わつて確認されることを要請する光栄を有します。
本使は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かつて敬意を表します。
千九百八十一年三月三日に北京で
中華人民共和国駐在 日本国特命全権大使 吉田健三
中華人民共和国 林業部長 雍文涛閣下
書簡をもつて啓上いたします。本部長は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
本部長は、閣下の書簡に述べられた了解を中華人民共和国政府に代わつて確認する光栄を有します。閣下の書簡の付表は、中国名、和名及び学名の順に配列してこの書簡に添付します。
本部長は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かつて敬意を表します。
千九百八十一年三月三日に北京で
中華人民共和国 林業部長 雍文涛
中華人民共和国駐在 日本国特命全権大使 吉田健三閣下